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タイトル:人の心がわからなくても心を打つ作品は描けますか?の返信の返信 投稿者: 手塚満

(No: 14の続き)

5.悪い面を見る癖は、他人の個性を見る目を曇らせる

他人の悪い面を見る癖がついてきますと問題が起こります。いずれ、他人が分からないような気がしてしまうのです。悪い面を見る癖といっても、特に「悪い点が1つあると、全部悪く見える」悪癖です。

これ、個性を消してみてしまう悪癖になるんです。例えば、和月伸宏さんは数多のエピソードを描いているわけですよね。本人の私生活としても、児童ポルノしかないなんてことはあり得ない。友人、知人もいるし、飯も食えば、仕事もしているわけですから、当たり前です。

然るに、児童ポルノ所持の1点が気になって、他のすべてを覆い隠すような見方になってしまうと、和月伸宏さんの個性を消す見方となります。「児童ポルノの和月」みたいな抽象化です。そうなると、「和月」はどうでもよくなる。他の児童ポルノ所持者と区別はつかなくなります。

この掲示板で時折、例えば「女性キャラが描けない」という悩み相談があったりします。質問文には「女性特有の考え方が分からないから」とある。女性キャラが描けなくなって当たり前です。女性である前に、1個人としてキャラなんですから。世界広しと言えど、その作品にたった1人しかないキャラであるわけです。それを「女性」という大枠で捉えては、個性が消えます。個性を失ったキャラは動かしようがなくなります(動かせてもモブが限界)。

6.自分を正しいと信じ続けると劣化する

女性が分からないからキャラが、というのはまだ救いがあります。曲がりなりにもどうにかしたいと思ってるわけですから。だからアドバイスなどで目が覚める見込みがある。他人の悪い面を見る癖は違います。あいつは悪いと思うのは、例えば正義感を高揚させたりします。自分の正しさを疑わない方向になるということです。つまり、泥沼に沈む一方です。

悪い面を持つ相手と直接に接触するなら、悪い面について注意する必要があるでしょう。しかし、その相手が作ったフィクションしか接点がないなら、相手の性質、言行は無関係です。現実に行った悪事を以て、フィクションに現れてもいない点を読み取る必要は一切ない。だって存在してないんですから。つまり妄想です。しかも上述の通り、有害。

大事なことなので言葉を変えて。「悪い点」を「ある性質/属性」と一般化しておきます。ある人の持つ、ある性質/属性は、その人を理解する一助にはなるでしょう。しかし、その性質/属性を前面に出し、その人本人が背景になる見方は「差別」の一形態です。

例えば「ある女性」なら、その個人を見ずに「女性なんだから、こういう人だ」と決めつけたらマズいのはよく知られるところです。そういった人の女性観も問題ではあるんですけど、一個人ということを無視するのは、すなわち、その人を見ていないということです。見ていないでこうだと決めつける。ひどい話であるのは自明です。

7.結論再掲:創作者でありたいいなら、一事で万事を測るべからず

ですので、作者が児童ポルノ所持で逮捕歴があるとか、強制わいせつを行ったとか、作品の外の事象で作品を判断すべきではありません。作者の作品外の一面で作品を否定的に見てしまっては、作品から学べません。

人気作は人気になるだけの理由が必ずあります。そこを見たらいい。キャラがどうしているかも見えてきます。それを続ければ、人の心があるかのように、空想上のキャラが動いている例がデータとしてスレ主さんに溜まってきます。そのうえで作品を書いて試行錯誤すれば、キャラを人の心があるかのように動かす技術も練れてきます。

そうなれば、「人の心の機微が分からないから」という、おそらくは表層的な偽の悩みも解消していくはずです。

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