砲撃支援をいつまで行うかというと、戦線が射程外まで前進するまでです。作者様が砲の射程を戦艦クラスと想定されるのならば、小笠原諸島くらいのサイズの島だったら最終盤まで続けるのも問題ありません。
ただ、問題は射程ではなく通信です。目標を砲側に伝える手段がなければ長射程も宝の持ち腐れに終わります。魔法で伝達、もしくは決死隊が目標に肉薄して狼煙などで目標位置を示す、などの方法が使えないならば臨機応変な支援はできません。
しかしながら、単純に進撃の支援を行うだけなら前線との通信手段が貧弱でも手段はあります。スケジュールを組んで着弾地点を前進させ、その後を歩兵が進むようにすればいいのです。現代まで多用された戦術ですが、前線で動きがあっても歩兵が独断で進撃できない、撃ち漏らしがあっても砲撃を呼び戻せない、といった欠点があります。
計算機がないというのはさしたる問題ではありません。戦車砲のような直線に近い弾道での砲撃もしくは精密な誘導弾を使用するでもなければ、とりわけ間接砲撃は大なり小なり数うちゃあたるの面制圧です。第二次大戦当時だって、高射砲や艦砲など特殊な場合を除けば弾道計算に使えたのは計算尺くらいです。
なお、誤射の可能性がある、という程度ならともかく、味方の損害を計算に入れて砲撃を行うというのは現実的ではありません。味方が防御側で堅固な陣地にこもっているから砲撃しても大丈夫、という場合ならともかく、混戦で味方撃ちしそうなときは砲撃は中止されます。味方諸共砲撃するというのはほとんど記録が見当たらないので、近現代のみならずとも創作の中だけと考えて良さそうです。
また球形の実体弾の加害範囲は思っているほど狭くはありません。低い角度で地面にあて、水切りのように跳弾させることで左右方向はともかく前後方向に幅広く歩兵などを跳ね飛ばすという手法が実在します。ついでながら砲撃目標が森林地帯ならば、榴弾がなくとも鎖付きの砲弾(実在、本来は帆柱等が目標)で木々を吹き飛ばし、倒木や落ちてくる枝で相手にダメージを与えるといった戦術が使えそうです。