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タイトル:一回の台詞文は何行までが最適ですか?の返信 投稿者: 手塚満

台詞の長さ何字といった客観的、あるいはシーン状況等によらない一般的な基準があるわけではないです。例えば、一文の長さということでしたら、30字程度まで、ときどき40字みたいな目安はあるんですけど。

シーンにたった1人しかおらず、独白しているケースですと、1人称の地の文のようなものですから、制限はないも同然です。制限が出てくるとしたら話し手と聞き手がいる会話でしょう。話を多岐に渡らせてもなんですので、とりあえず2人の会話を想定してみることにします。日常でもよくあるケースですよね。

Aが喋って、Bが聞いているとします。もしAが長々喋ったりすると、Bが遮る可能性は高くなります。が、そのレベルで一般的な法則を見出すのは困難です。

例えばBが焦ってAに何か聞き出したい状況だとすると、Bが聞きたいこと以外をAが喋ったら遮るはずです。この場合、Aがどれだけ喋る続けるかより、Bが聞きたい情報からAが逸れるか否かが大事ということになります。

Bが話したいことがある場合も、Aが長話になると遮るはずです。Aの話でBが何か思い出すことがあっても同様ですし、反感を持つような内容が出てきたりしても同じ。

逆にBが感心するような話をAができれば、Bは長話でも黙って聞くでしょう。あるいは、Bが立場上、Aの話を聞かなければならないケースでは(AがBの上司、教師、顧客等々)、Bは話したいことがあっても我慢するのが自然です。

要はシーン上、聞き手がどれだけ聞き続けるのが自然か、ということで1つの台詞の長さ上限が決まります。続いて、話し手が話したいことの長さでしょう。

仮にたった1人のシーンの独白と同じくらい、聞き手Bが話し手Aの話を聞き続ける姿勢になっているとします。この場合は台詞の長さ上限はないのか。よく考えると、聞き手はもう1人います。読者ですね。

読者が話を聞き続けられるか、興味を維持できるか、という点も大事です。飽きる前に台詞を切り、話を切り替えねばなりません。しかし、シーン、ストーリーの都合上、長台詞が必要な場合もあります。

その場合は、スレ主さんが仰るように「地の文で区切って、その後にまた台詞文の続き」というスタイルが最も便利でしょう。台詞と台詞の間の地の文は、読者に気分転換してもらいつつ、注意を再び引き付ける必要があります。

話し手がニコっとして聞き手の目を見たり、人差し指を立てて聞き手の注意を引いたり、みたいな感じですね。台詞は聴覚情報中心で動きを感じにくいので、視覚的に注意を引く動きを見せるような描写が効果的になりやすいと思います。

しかし、台詞を続けながら読者の注意を喚起する方法もあります。ちょっと落語に立ち寄ります。故米朝師匠は2人の会話を、台詞主をぱっぱと切り替えながら話すのがとてもうまい方でした。見ているのは米朝師匠なんですけど、スパスパ別人に切り替わるような感覚がしました。

一方、故枝雀師匠ですと、延々と登場人物の1人(主人公)が喋り続けます。それでも、聞き手含む周囲の人物が目に見えるように演じてました。話し手が聞き手に反応する様子を演じるからです。それを模してちょっと捏造しますと、例えば次のような感じ。

「(前略)それで花子が言うにはさ、俺と一緒に飯食いたいって、ちょちょ待った、おまえ剣抜いてどうするって、え? デートじゃないよ、魔王退治の相談したいって、そうそう、そういうこと。それでね(後略)」

聞き手の反応をイメージさせられれば、台詞をいったん区切るような効果があります。他にもいろいろ会話テクはあるでしょう。そういう感じですので、一般的に3行、といったことは言いにくいわけです。

要点を繰り返しておきます。台詞の長さは、

・聞き手がどれくらい待てるか。
・読者がどれくらい待てるか。

が大事で、待てない長さと踏んだら、

・地の文を挟むことで、聞き手と読者の気分をリセットする。
・台詞中に相手の反応などのリセット効果を混ぜ込む。

といった手法が使いやすいでしょう。

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