なるほど。ボトムズはそういう話なんですね。ありがとうございます、機会があったらチェックしてみます。
ところで(お分かりとは思いますが)、私が換骨奪胎と言う場合は、多くの人を感動させる物語があるときに、その感動の元になる共通要素を抽出するみたいなことを指しています。
カリオストロで人気のあるシーンを二つあげると、「今は、これが精一杯」「やつは大変なものを盗んでいきました。あなたの心です」。どちらも主人公とクラリスの関係性の変化を描いています。
「優しい泥棒」→「純粋さ故に人間の本質的な優しさを素直に見抜いてしまう美少女」→「世間知らずの素直さに危うさを感じ、身を引く泥棒」
こういう流れになっています。で、ルパンを執拗に追い回す銭形みたいなキャラが、ルパンのそういう一面をちゃんと見ているっていうのもグッとくるんですね。
ここまで還元すると、この構造に別のキャラを代入してやればプロットはできてしまいます。
大野さんなら言うまでもないと思いますが、それはパクりではないんですね。
他人の作品を労せずに借用するのがパクりですから、変換作業に手間暇・技術・オリジナリティが加えられていればパクりではないし、そもそもそこまで換骨奪胎した作品は赤鬼とボトムズくらい違ったものになるので、言わなければ気づく人はまずいません。
ちなみにローマの休日。
ヒロインは王女様なので、めちゃくちゃ世間知らず恐いもの知らずに無謀な行動に走ります。そのハラハラさせるような天然っぷりが可愛いんですね。主人公はそれにほだされてしまうという流れ。
ローマの主人公が身を引くのは、まあ身分違いだからなのですが、ドラマとしては最後の共同記者会見のシーンがクライマックス。大勢の人々の中で、二人だけで通じ合う有名なシーンがあります。王女は主人公に想いを伝えようとし、主人公は王女の純粋さを守るために身を引くというのが現実はさておき「創作的真実」なのだと思います。
ラストシーンで主人公は両手をポケットに入れて立ち去りますが、これがズボンのポケットの唯一正しい使い方だと思ってしまったほどです。
* * *
他の方への返信に、
>俺自身がそういう書き方をしている事には自覚もあるし、なんでそんな人間になっちゃったかは自覚もあるので、
とあり、すみません興味をもってしまいました。
不躾かもしれませんが、なんでそんな人間になっちゃったのか聞いてみたかったり。
もちろん差し支えなかったらでかまいません。
* * *
スレの論点にもどすと、エンタメ作品には感動を作る基本要素があった方が良いし、それを見定めたら基本要素に効果的ではないアイデアや設定は盛り込まない方がよいと。なので「気の抜けるおふざけ」もそういう視点から必要か不要かを判断すればよいのだと思います。
今後もご活躍をお祈りします。