悲しいという感情を作者がまったく持ち合わせていなかったら、悲しいシーンは書けないでしょうね。なので、
自分がどんなときに泣くのかを良く分析し、理解していれば、読者を泣かすことができる。
とは思います。しかし、
「自分が泣けないと読者も泣かすことができない」
という意見は、尾田さんの真意は別として、あまり額面通りには受け取らない方がよいと思いますよ。まあ、あの人の作品は本当に作者の感情を全力でたたき込んでいる感じはしますが。そういうタイプの作者としての実感なんだろうなとは思います。
しかし。
注意してほしいのは、作者の感情移入と読者の感情移入は別物だということです。「ONE PIECE」のような作品を書くためには作者自身の感情の振幅が大きいことは不可欠ではあるでしょうが、同時に自分の感情を客観視できることも不可欠です。それでなければ単なる独りよがりになってしまうのがオチでしょう。
小説でもマンガでも、泣かせるシーンを作り上げる基本は、そこに至るストーリーの流れです。「ONE PIECE」だって、ストーリーによってキャラの感情をじっくりと溜めに溜めてから、それを正念場で大爆発させるように描かれていると思いませんか? そういうストーリー的な部分にも注目することをお勧めします。