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タイトル:キャラクターに関して 復讐物、ざまぁ物における主人公の性格設定の返信 投稿者: 手塚満

ざまぁ系って、カタルシスを得るパターンの1つですよね。下げてから上げる。半人前の成長物語ですと、最初は無能な主人公をストレートに成長させて勝利条件を満たすようにする。単調に上げて行く。

半人前主人公と違い、ざまぁ系主人公は最初から潜在能力の高さが、少なくとも読者/視聴者/観客に明かされることが多い気がします。だけど主人公は我が道を行かず、低評価してくる連中に固執するわけですね(あるいは読者に固執させる運びにする)。

1.主人公の不遇で読者の共感を得る

つまり、主人公の能力に比べて周囲の扱いが悪いことがよく見える演出を最初からする。これは冒頭から不公平感が出ます。似たパターンは不遇な善人の物語ですね。最後は神とか神の思し召しなどで救われる。シンデレラですと、みすぼらしいけど実は美しいという主人公設定があり、継母や意地悪姉さんがそこを隠しても、魔法使いとガラスの靴で王子に見いだされてハッピーエンド。そうなったシンデレラは継母たちを一顧だにしません。

2.主人公は敵の立場と入れ替わりたい

ざまぁ系ですと、文字通り、虐げていたりバカにしていた連中を主人公が「ざまぁみろ」見返すことが勝利条件となります。屈辱を与えた連中が主人公に負けたと思ったことが、読者にあからさまである必要があります。主人公が味わった悔しさを、虐げた連中が倍悔しがるさまを主人公が間近で見ることで解消する。だから復讐的な話も多くなるわけですね。

3.主人公は他人の評価に依存している

となると、どんな主人公なのかは、部分的ながら見えてきます。主人公が納得するためには、虐げた連中が悔しがるのが必要。ということは、主人公の納得する要因は主人公の外にあります。つまり、主人公は他人の評価を気にしている。特に虐げた連中の評価ですね。

虐げた連中は最初、主人公を低評価する。そこが主人公の不満の核心です。だから、虐げた連中が高評価して初めて、主人公は満たされる。これは半人前主人公の成長物語でも発生します。が、ざまぁ系で必要なのは立場の逆転です。例えば、厳しいが親身な剣の師匠の稽古に主人公は耐え、ようやく免許皆伝と言われ、これからは独り立ちしてより強くなることを決意、ではいけません。

4.主人公は敵のポジションになることで敵からの承認が欲しい

虐げてくる奴らが悔しがることで実質的に褒められたい、という承認欲求が大事です。例えば、えこひいきしてロクに剣を握らせてもくれない師匠のもと、主人公は隠れた素質を開花させ、木の枝一本で師匠にえこひいきされていた師範代を打ちのめし、それを見て恐れる様子の師匠から「ぜ、せひ師範代に」と乞われ、しかし「師よ、もうあなたに興味はない」と言い捨て、道場の看板叩き割って出ていく(面目丸潰れの師匠は没落)、みたいな段取りになります。

これは独立独歩の主人公ではできません。師匠から不遇に扱われたら他所に行くからです。自立心が強い主人公なら、自分の最大の評価者は自分自身です。他人からの低評価なんぞは参考程度にしか思わず、自己評価と欲求の通りに振舞います。他人に依存する主人公だからこそ、「見返してやる」が勝利条件となり、カタルシスも発生するわけです。それも、主人公自らが見返したい他人を評価する側に回ることによって納得するわけです。

5.まとめ:ざまぁ主人公は他者への依存から脱却する

まとめますと、ざまぁ系の主人公の基本的性質は以下の感じ。

・依存心があり、他人の評価で自分の価値や存在意義を感じたり知ったりする。
 →特に不当な評価に敏感で名誉挽回にのめりこみやすい。
・だからこそ、他人を評価することに憧れる。
 →自分が他人の値打ちを決める存在になりたい。
  →そうなると自己評価で納得できるようにもなる。
・それも他人を見下すことによって得られる快感≒勝利条件が最も大きい。
 →自分の優位性を確認できる
  →これも自己評価で納得できるようになる要因。

こう書くと、とても嫌な主人公に見えるかもしれませんが、そうではありません。虐げてた連中を見返した後、たいてい主人公は気持ちから連中を切り捨て、自信を得て独立独歩となります。最後にドカンと大成長(した結果)を見せるわけです。本当のカタルシスは、そこにあるのかもしれません。

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