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タイトル:主人公の目標の有無についての返信 投稿者: 手塚満

どういうタイプの主人公なのかは、物語世界がどうなっているかに依存しますので、「主人公に目的あるべきか否か」の前提となる、世界観を考えてはどうかと思います。以下、少し説明してみます。

1.「とある魔術の禁書目録」は巻き込まれ型主人公が受動的に活躍する

「とある魔術の禁書目録」の主人公:上条当麻が、仰るような巻き込まれて大騒動になっていく主人公でした。現在の「とある」は既にエピソードを重ねて上条当麻の立ち位置は意味があり、目的も生じていますが、最初の「学園都市編」の出だしから第3巻までは主人公は無目的の巻き込まれ型です。

これはひとえに主人公の性格によるもので、「目の前に困っている人がいると助けずにいられない」から。かつ、どこまで助けたいかといえば「その人が平和な日常生活に戻れれば充分」という非常につつましいものです。決して「王侯貴族になりたい」みたいな望みには応じない。

2.正ヒロインに巻き込まれる

出だしは、ずっと後まで控えめな正ヒロインとなるインデックスがベランダに引っかかっているところから。主人公:上条当麻はとりあえず飯を食わせてやる。しかしインデックスが三千冊の魔導書を暗記させられ、その記憶の維持のために定期的に魔導書以外の記憶を消去させられていると知る。

上条当麻は、それはさすがに気の毒(せっかく出会えた友達も忘れる等)として記憶の消去をさせないようにしようとしたら、裏で魔術組織が絡んでいて、そいつらを何とかしないとインデックスの記憶を守れない、となって騒ぎが大きくなっていきます。

3.サブヒロイン(のクローン)に巻き込まれる

それがなんとかなったら、サブヒロインの御坂美琴の妹と称するそっくりさん(御坂妹)と出会い、姉(美琴)と違ってどうにも頼りないんで手助けしてたら、実はクローンだと分かり、実験のため2万人も作られたと分かり、しかももう半数は殺害されていると分かり、殺害しているのが一方通行(アクセラレーター)なる能力者だと分かり、殺害を指示しているのが大組織上層部だと分かり、ということで騒ぎのインフレになります。

しかし、いずれも主人公:上条当麻の勝利条件は「目の前の困っている人に平和な日常を」で変わりません。敵の強力でデカい組織を倒そうとか、そのトップになり替わろうとかしない。「もし敵が手を引いてくれたら、それでいいのに」でやろうとして、結局、全面対決に至ります。

4.巻き込まれるのは主人公の望みも力も小さいから

そういう主人公:上条当麻にそぐうよう、設定および作中の公称では「最弱」とされています。「とある」は異能者が当たり前の世界ですが、上条当麻は無能力とされており、唯一隠し持ってる能力が「右手で触れば異能系の能力・現象を封じられる」という相手が先手を打たないと何もできない受動的ななもの。自分から事を起こせる能力ではないわけですね。巻き込まれ型に徹するため、そこまで設定されているわけです。

5.弱さを売りにするのが流行ったほどの人気パターン

「とある」は第1巻当初から人気が出て、類似の作品がプロ、アマとも多数出ました。一時期は「学園異能バトル」のジャンルを成したほどです。ですので、お考えのタイプの主人公はあったし、人気ですらあったわけです。流行りが別に移っていきましたので、今は目立たないだけで、巻き込まれ型主人公は実績ある人気要素であるわけです。

6.ゲームモチーフでは能動型主人公にするしかない

ゲーム由来の「勇者と魔王」フォーマットが流行り、ゲーム内の中世欧風の剣と魔法の世界が流行り、異世界ブームになっていったわけですが、ゲームってプレイヤーが能動的に動かねば何も起こりません。ゲームを模したフィクションも自然と自分から動く主人公になりやすい(ゲーム設定取っ払ても、作風的には残る)。

「学園異能バトル」が大本の「とある」シリーズ以外が廃れてきますと、世界観がゲーム的であるものが相対的に増え、ゲームプレイヤーを意識した能動型主人公が目立つこととなり、巻き込まれ型/受動型主人公が減ってきた感じになります。

7.主人公のタイプは世界観の要請で決まる

が、物語世界のモチーフの問題が大きいといえます。言い換えれば、ゲーム的な世界観ではない世界観を作れば、巻き込まれ型/受動型主人公は今でも充分あり得るはずです。主人公に目的意識が必要か否かは、物語の世界観に依存する部分が大きいわけですから、世界観がどうかということで、お考えになってはどうかと思います。

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