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タイトル:リアリティがなくても面白い作品の返信 投稿者: サタン

>全てバグではなく仕様通りです。」みたいな設定を作ってあらかじめ明言しておけば、「この展開おかしい。整合性が取れてない。リアリティがない。」とか言われず、「そういう世界観ならいい。この作品の世界では何が起きようとリアルなんだな。」と納得してもらえるでしょうか?

偉そうに言えば、半分正解。
とはいえ持論でしかないけども、正確には「そういう世界観を作る」のが優先で、明言しただけでそれは作れない。
学園ハンサムは、たまに例に挙げるけど実は未プレイで実況動画をチラッと見てただけだったりする。
なのであんまり内容に深く切り込んでいけないけれど、印象だけで評価しても優秀な作品だと思う。
それは、まずタイトルがすごい。「学園ハンサム」この時点で「ふざけた内容のゲームだろうな」ってわかるでしょ。イラストはおふざけに拍車をかけてぶっ飛んでるし、プレイしなくったって「超展開」の作品だってわかる。
本編を一文字も読んでなくても、「リアリティがない世界観なんだな」という納得(リアリティ)を読者にプレイヤーに与えている。

「リアリティ」というのはこういうこと。
「現実的」という意味ではない。
「そういう世界観・展開が納得できる」という読者に「納得」を与えるための要素や道具、またその納得それ自体を、創作においてはリアリティと言うと思う。

だから、「この物語の世界観がぶっとんでいる」ということを如何に素早く読者に認識してもらうか、どのように「荒唐無稽なストーリーが面白味ですよ」と読者に伝えるか、それが問題。
そして最初に書いたけども、それは「明言する」というだけでは足らない。

個人的には、正直文字だけの小説ではキツいジャンルだと思う。
漫画やゲームでは「絵」というツールがあるから、何気ない普通の学生の通学風景を描いていても、その背景が廃墟になった東京だったりすると、この「普通の通学風景」と「廃墟の東京」というミスマッチな組み合わせが異化効果を生んで「普通ではない世界観」を演出できる。
一方で小説は文章だけだから、実際効果的に扱える道具は「言葉の先入観」と「物語・展開」しかない。
すると「展開」で読者の予想の斜め上を行くような手段を持ってくるしかなくて、センスが問われる。
例えば、うーん……
「女子高生二人が登校してる通学路」「二人は浮かれた恋バナのようなものをしている」「女子高生の一人が狙撃されてヘッドショットで即死する」
「残った女子高生は物陰へと逃げて、先程の恋バナはやっぱ間違いだった変だったと叫んで怒る」「スポーツバッグからマシンガンを取り出してやけくそに外へ出る」「そこへ背後から静かに後頭部へと銃を当てられ、絶命する」
「量子ポットから出てきた女子高生はVRが「恋愛シミュ」ではないとキレる」「時代設定は同じだし前文明のデータ発掘なんてこんなもの、との声でオペレーターが女子高生をなだめる」「全員が量子ポットから出てきて報告。発掘データに生存者は確認されなかった、量子データの海で迷子になった前文明の全人類を救出するなんて無謀だな、とボヤいた」
と、少し予想の斜め上を行きそうな感じで考えてみたけど、この通りぜんぜんぶっ飛んでない。
単に予想外の事態にさせて、それを納得できる形に収集しただけ。

絵がある漫画やゲームやアニメなら、ストーリーで突飛なことをさせても絵でまとめられるけど、小説は文字だけなので、まとめようとすると「まとまっちゃう」んですよね。
だから突飛なストーリーを思いついたなら、それをまとめたうえでどう崩すのかが重要じゃないかなぁ、とは思います。
例えば上の例で言えば、
「女子高生二人が登校してる通学路」は普通に通学シーンをするけど、あえて背景や世界観は描写せず、すると読者は先入観から日常モノっぽい普通の通学シーンを想像するから、「ヘッドショットで即死」からは、瓦礫に身を隠す とか 崩れた建物の中から とか背景の情報を書きまくる。
こうすっと、読者は「普通の平和な日本の通学シーン」を想像してたのに、全然違う終末っぽいものが出てくるから、混乱する。突然廃墟になったような違和感を与えて、「量子ポットから出てきた」ことでSFだと知ってもらい、先程の「突然廃墟になった違和感」はデータ世界の描写だと納得してもらえる(かもしれない)。

うーん。ここまで書きながら例はスレ主さんが求めてるものではない気がするんだけど、
とりあえず「リアリティ」は「現実的」ってことじゃないよ、「納得させる」ってことだよ、ということと、
小説においては、話をまとめようとすると表現ツールが文字しかない小説では「まとまっちゃう」のであまりぶっ飛んだ世界観は表現しにくい、ということと、
そのうえでやるならセンスとか技術とかいろいろ必要で、かなり難しいと思う、という感じです。

個人的には、ぶっ飛んでるってほどじゃないけど、おバカなラノベを書く人では阿智太郎が好きです。
「僕の血を吸わないで」でデビューして「住めば都のコスモス荘」はアニメ化もした。
例えば「住めば都のコスモス荘」では、主人公が宇宙人からパワースーツの性能試験のテスターに選ばれて地球に現れる宇宙犯罪者を捕まえようとするって内容なんだけど、
パワースーツには勇気や闘争心を高める洗脳ソングが流れてて誰でもヒーローになれるって設定なんだけど、犯罪者を追い払って一段落したときに洗脳ソングの洗脳機械に欠陥があって洗脳効果は無いって事が発覚し、じゃあ主人公は洗脳ソングのメロディにノッてるだけで犯罪者を追い払ったの、ってオチになる。
これは「んなバカなw」って現実味のない展開なんだけど、これのおかげで以後の展開では「主人公はノリやすいバカ」って事が強い説得力になって、どんな変な展開でも「この主人公だもんなw」で納得できるんよ。
創作において「リアリティ」っていうのはこういう「納得」のこと。

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