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タイトル:一人称での戦闘シーンの書き方についての返信の返信の返信 投稿者: あまくさ

>その戦闘する主体的な人物は主人公ではなくヒロイン(頭脳を最大限働かせるのもヒロイン)という設定?です。
>あくまでも主人公はその戦闘を影から見ている感じです(最終的には協力するようになりますが。主人公の成長具合も作品の中に取り入れたいという趣向です)。
主人公が戦わないとなった場合、一人称ならば主人公視点で書く必要があるという前提のもとでは主人公が思ったことを書くことになると思うのですが(スポーツの実況みたいな感じ? 情景描写をしつつ「これはこういう事だろうか」的な)、それ以外にどういった書き方なら大丈夫でしょうか?

あ、そういうの書いたことがあります。

視点人物(主人公)が傍観者の場合は、一人称でも三人称に近い感じに書くことが可能です。視点の所在が離れて見ているキャラクターなのか、空中にあるキャラ不在のカメラなのかの違いですから。
一人称を活かすなら、傍観している人物の感情や印象を盛り込むことになるかと。主人公がヒロインを好きなら応援しながら見るだろうし、彼女がピンチになればはらはらしますよね? そういうのを入れるか入れないかが一人称と三人称の違いになりますが、一人称でも主観や感情を排して淡々と書くことも可能です。

先の書き込みでは即興の文例を書いてみましたが、調子に乗って以前書いた自作から抜粋してみます。まあ、大したシロモノではないですが、余興と思って。

(抜粋はじめ)

「貴様ら、一対一じゃあ歯が立たん。三人で行け」
 その声と共に、三人の男が走り出た。
 それを見て姫花は、はじめて腰を落とし戦闘ポーズをつくった。表情が嬉々として輝きはじめる。
「そう来なくっちゃあ。やっと面白くなってきたわ」
「調子にのるんじゃねえ!」
 三人がいっせいに襲いかかる。
 姫花は磐田との闘いと同じように、しばらくは反撃せずに彼らの攻撃をかわしつづけた。しかし、今度はバカにしたような小さな動きではなかった。その防御の動作は、しだいにリズミカルになっていった。一連の動きがまるでダンスを踊っているように優雅に見えた。
 そして。彼女の華麗な反撃がはじまった。
 敵の拳による突きをかわす。かわした動作がそのまま鋭いキックとなって、逆に襲いかかる。相手はその蹴りをよけきれず、かろうじて両腕でブロックする。受けたことは受けたが、その場にうずくまってしまう。ほぼ同時に別の一人が、背後から少女を襲った。彼女は後ろにも目がついているのか。わずかに体を沈めて背後からのびる腕に空を切らせ、素早くその手首をとって関節を極めると、他愛なく男の体が半回転して地に倒れた。そして、次の瞬間にはもう少女は凄まじい踏み込みで三人目の男に突進していた。
 男たちも強い。そして三人がかりだったため、さすがの姫花も彼らに決定的なダメージは与えられないらしい。だが形勢は明らかに彼女の優勢に見えた。姫花の目まぐるしい動きに三人は翻弄され、右往左往していた。
 それまでじっと彼らの闘いぶりを見ていた水無月が、この時組んでいた腕をといた。その表情が鬼のようにゆがんでいた。
「こしゃくなあ!!」
 そう叫んで、彼は闘いの場に突進した。
 水無月の動きは、他の四人とは段違いだった。鋭く、無駄がない。格闘技の心得がありそうだった。
「来たわね!」
 驚いたことに姫花は、三人との乱戦の中で水無月の動きを正確にキャッチしたらしい。そして彼女の声音は、まるで最愛の恋人に出会ったかのようだった。それほど嬉しげに、躍動していた。
 美少女が跳躍した。
「なに?!」
 並みの人間とは到底思えないジャンプ力だった。
 なんと、疾風のように襲いかかる水無月の頭上を跳び越えたのだ。
「み、見えてるぞ!」
「何がよ?!」
 姫花の回し蹴りが、水無月の側頭部を襲った。

(抜粋ここまで)

ま、お恥ずかしいですけどね。

これ、実は三人称だったんですよ。でも、主人公はヒロインの戦いぶりを離れたところから見ているわけですから、一人称でもほぼこのまま通用するんじゃないかと思います。加えて「まるでダンスを踊っているように優雅に見えた」とか「彼女の華麗な反撃がはじまった」といった文章に、主人公のヒロインに対する憧れという「主観」を込めてみたつもりです。

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