確かに避けられる傾向にありますが、別に御法度なんてことはありません。
しかし、男女問わず「殺されるキャラクター」というのは、そもそも言うほど多くはありません。
「結果的に死んでしまう」というキャラはそれなりにいますが、御作の例で言えば「主人公が殺意を持って積極的に殺す」ということになります。こういう展開は、やはり「主人公が殺人者」でない限りはそうそう無いかと思います。
まず第一に、「敵キャラとはいえ魅力を出したほうが良く、魅力を出す以上そのキャラを気に入る読者もいるため、これを安易に殺してしまうのは良くない」という考えがあります。
よって「死亡フラグ」というのが活きるわけですね。前もって「これは死ぬキャラですよ」と暗に伝えることで気に入ったキャラが死ぬ展開になっても受け入れられやすくなる。
次に、「そもそも人が死ぬ展開をこころよく思う読者はいない」という道徳的な問題があります。
これは別に死ぬ展開を否定するわけではないのですが、もともと人死には「感じの悪い事」なので、それを「良いシーン」ないし「良い展開」に持っていかなきゃならない。
でなけりゃ後味の悪さだけが残るばかりでしょう。
そして最後に「「死ぬ」という展開を書くためだけであるなら、わざわざ主人公が手を下さなくても同じ展開は書ける」という、結果を考えるなら過程はどうにでもなる話だったりもします。
「少女が死ぬことになる」という結末であっても、それを主人公が直接殺すか、情けをかけた後に少女が自爆して死んでしまうか、「少女の死」という結果だけを考えればこれはどっちでも良い話です。
もちろんどっちを選ぶかで印象は大きく変わりますから、どっちでも変わらないということではありません。
で、ようやっと前提を書き終えましたが、この前提を要約すると、つまり死亡するキャラクターというのは「死んでも後腐れがない、気分が悪くならない相手」という事になります。
そのためにフラグを立てて暗に伝え、後味が悪くならないよう死んでもいいような悪党や自業自得なキャラクターとし、主人公は直接手を下さないトドメを刺さない、などといった事をします。
ほんで、この条件に合いやすい、つまり「死にやすい」キャラクターってのは「男性」「悪党(小悪党)」「自業自得な人」が挙がりやすく、次点で「有能で万能なキャラ」「主人公を導くような存在・支えになるような存在」といった「そのキャラが死なないと話が始まらない」タイプのキャラクターでしょう。
要するに男がよく死ぬのは、単に「条件に合うから」というだけで、別に女性が死亡する役でも何も問題はありません。
例えば、そもそも「気分の悪い、後味の悪いシーンにしたい」といった場合はワザと上記したような条件を外して「不幸に負けず健気に活きる少女」などが死んだりもします。
これは「後味の悪い場面」を書くのに「健気な少女」が条件に合うからというだけですね。
なので、「御法度」なんてのは気にせず、主人公のキャラクター性を描写するには「快楽殺人」をしてる場面すなわち「悪党」でも「善人」でもなく「普通の人」を殺す場面を書くのが良いだろうし、老若男女問わず「楽しむ」姿があったほうが良いでしょう。
そのためには、一般的に条件に合わずあまり見ない「少女」が主人公に殺されるというのは悪くない選択だと思います。
ただ、読者層というのも考えると、思春期男子は「女の子には暴力を振るわない」などフェミニスト的意識を強く持ってたりするので、そうした読者(中学生)の共感は得られないでしょう。
これの一工夫にもコツはありますが――ずいぶん長くなってしまったし、それはまた今度でいっか。
最後に
>そのキャラの性格上、殺人などを平気で犯している快楽殺人者なのですが、この場合はどうなるでしょうか?
「どうなるのか?」ではなくて、「どうしたいのか」です。
作者がどういう場面にしたいのかが問われる選択肢です。第三者に判断できないし、判断を委ねてはいけません。
「快楽殺人者」としての主人公のキャラクター性を強く出したいなら少女には殺されてもらったほうが良いし、快楽殺人者でも「人間」であるなら殺さずに仲間になるなどの少年漫画的展開でも良いでしょう。
繰り返しますが、「作者がどうしたいのか」が全てです。