最初に一つ質問します。
野乃さんは、仮に世界で最後の一人の人間になったとしても小説を書き続けるでしょうか?
これは、小説を自分一人のために書くのか、誰かに読んでもらうために書くのかという質問です。プロを目指しているわけではなくても、自作を誰かしらには読んでもらいたいという人もいますよね?
そうであるならば、そして書こうとしてる作品がエンタメであるならば、ストーリーとは「読者を物語に引き込むための段取り」になります。
冒頭のつかみが重要というのも、そういう理由。また、やや高度なプロット理論(三幕構成など)がストーリーのターニングポイントの重要性を説くのも、読者を日常から非日常に誘い込み、終盤に向かってしだいに盛り上げて行くタイミングを設計しようとしているんです。
小説でもマンガでもアニメでもいいから、そういうことを意識して読んだり観たりしてみることをお勧めします。気がつくことがあると思いますよ。好例としてはアニメの『まどマギ』はかなり参考になると思います。
で、最初の質問に戻ります。
仮に野乃さんが自分一人の楽しみとして小説を書かれる方であっても。
エンタメ・ストーリーは、読者・視聴者を楽しませることを目標として方法論が整備され、型ができてきているんですね。ただ闇雲に書くのではなく、そういう完成された形を目指すことも創作の喜びの一つだと私は感じています。
なので、ストーリー=「読者の心を惹き込み、誘導する手順」と考えながら創作することが、私にとっては分かりやすい方法論になっています。