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タイトル:学園物の主人公を平凡、凡人にしたくないの返信 投稿者: サタン

意見としてはオミクロンさんとだいたい同じなので特に新しいことは書けないかと思いますが、言いたいことが出てきたのでちょいと返信してみようかなと思います。

まず、
>学園物や現代物の男主人公は顔はイケメンではない普通、勉強も運動も特別得意ではないということが多いです。
この分析は間違いではないと思うけど、「現代モノ」「学園モノ」とジャンルを限定してしまうと人気を得られそうな主人公像も限定されていくので、ある程度はしょうがないことです。
ちなみに「人気だからよく使われる」という事じゃなくて、「人気だからそういう主人公が残る」という話であって、広く見れば「ごくごく普通の高校生」という主人公像はそんな多くないかと思います。
まあ、これも「主人公の時点で平凡ではない」という意見に通じてしまうんですが、もともと「平凡な高校生」という主人公の流行りはエロゲの主人公が走りでした。でも、エロゲ主人公だから異様にモテるわけで、この時点で平凡じゃないんですよね。
そういったものを除外して、強いて言うのであれば、「涼宮ハルヒの憂鬱」に出てくる主人公「キョン」のようなタイプが「平凡な主人公だ」と言えるでしょう。
ツッコミしか取り柄がないけど、これは物語進行上の役割でしかないし、個性的なツッコミをするわけでもないし。
ただ、「涼宮ハルヒの憂鬱」は正確には主役はヒロインである「ハルヒ」で、主人公として見える「キョン」は物語の語り部であるだけなんだよね。
こうした「主役をサブキャラ視点から語る物語」というのは古くからあって、有名所ではコナン・ドイルの「ホームズ」なんかがそうですね。
語り部であるワトソンの視点から超天才のホームズの活躍を書いていく、という物語。これも言ってしまえばワトソンは凡人の域を脱しない「普通の人」を代表するキャラクターになります。
つまり、「平凡な主人公」というのは実際こうしたモデルの物語以外にはほとんど無いので、今問題にされてるいわゆる「自称平凡主人公」というのは「設定でそう言ってるだけ」の存在でしかないわけです。

そんなわけで、極端な話、「俺は秘密組織でNo1のエージェントで女の子にモテモテだけど基本的には平凡などこにでもいる高校生さ」とか言ってるのと何も変わらないんですよね。
原作エロゲから一般に入ってヒットした有名作で言うとFateシリーズの主人公「衛宮士郎」が、物語開始時には「平凡な人物」として描かれてるけど、実際ぜんぜん平凡じゃないんですよね。
設定的な魔術云々って話を抜きに考えても、「両親はおらず、広い武家屋敷で一人暮らし。近所付き合いのある若い担任のお姉さんが毎日のように入り浸り、後輩が朝食を作ってくれる」という時点でツッコミ入りまくりの「特殊性」を持ってます。
それで何が凄いのかというと、そんな「ありえないほど特殊な人物」を、「平凡」として書いてる書き手が凄いんよ。

ええっと、わかるだろうか……。
「平凡であることが必須」なのではなくて、「そう見せる」ことが大事なんです。
「平凡でどこにでもいるような男」が、「異様にモテる」という展開になるから面白いわけです。
「凡人と思ってた人物」が「活躍して頼られる」から面白いわけです。
凄いヤツが凄いことしても、これは当たり前の結果なのでなんも面白くないでしょ。
だから、世にある「自称平凡」という主人公は、その特徴を抽出してみるとぜんぜん平凡じゃありません。むしろ特殊性の塊です。

物語のロジックの話をすると、そもそも物語というのは「変化」があることが面白味を得やすいです。
例えばジャイアンが敵をぶんなぐっても、大して面白くない。ジャイアンなら殴りそうだし、ジャイアンにとって普通の行動じゃん?
でも、のび太が敵の前に立ちふさがると、何故か盛り上がる。それでのび太が負けたとしても「のび太のくせによく頑張った」みたいな感じになる。
これは「弱者」の象徴であるのび太が「強者」に挑むから面白いわけで、「弱い」から「強い」の変化、「勇気がない」から「勇気ある行動」への変化、そうしたものに人はカタルシスを得やすいので、面白い、という事になる。

で。話を「平凡」に戻すと、
物語の結論として、つまりオチを考えてみると、恋愛モノなら「勇気をだして告白」とか戦闘モノなら「強敵に打ち勝つ」とか、そういう感じなわけです。
じゃあここで「のび太の例を取ってカタルシスを考えてみた場合、序盤で主人公はどのような人物像が適切か?」という命題に答えた場合、その多くの回答は「平凡」になりませんかね?

ただ、この話だけを真に受けると「主人公は平凡なのがベストなんだ」って誤解される人もいるかもしれないので念の為書くと、
この話は「物語モデルの一つとして、こういう考えもある」というだけです。
例えば「僕は友達が少ない」など「平凡な主人公と個性的なサブキャラ」という図においては、これはどっちかっていうと主役は個性的なサブキャラで「個性的なサブキャラに振り回される主人公」を楽しく読む物語なので、この手の主人公は終始変化なく平凡であることが多いです。
変化あるのは主旨である個性的なサブキャラの方って事が多いですよね。主人公像は問題ではないし、サブキャラを立てるために主人公を無個性にしてるだけですから。
この話題もオミクロンさんの回答の焼き増し的な感じになりますがw
あるいは「ひぐらしのなく頃に」の主人公は特殊性なんてほとんどありませんが、別に「強者に打ち勝つ」など「凡人から変化するポイント」にカタルシスを置いてるわけじゃないので、逆に凡人でも超人でも問題ない、という感じです。単に超人だったらすぐに事件が解決しちゃうので凡人になってるだけであって。

まあ、もっと漠然とした話を無責任に言ってしまうと、主人公無双や転生モノなど主人公の特殊性を押し出したモノが流行っているのは事実なので、「自称平凡」という特殊性を隠す(無いのではなく隠す)主人公像は正直なとこ相当古いんじゃないかなと感じます。
それこそ学園モノや創作部系が流行った「涼宮ハルヒの憂鬱」の時代がピークで、今は、そのノリが好きな読者だけが残ってるってのが現状ではないかなと。
だから、主人公無双や転生モノはファンタジーが主流だけど、別に学園モノで似たようなことをして特殊性を押し出す主人公像でもウケると思いますよ。
「30代のオッサンが事故で死んで、気がついたら中学生に戻ってた」なんて設定の話は昔からありましたし、超強い不良の主人公が無双する不良漫画とかテーマが不良だから無双に見えないだけで実際無双してますよね。
そういう学園モノ、現代モノのラノベは確かに最近あんま見かけないので、狙い所じゃないでしょうか。

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