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タイトル:敢えて場違いな設定を組み込む場合の返信 投稿者: 手塚満

宇宙人に限定せず「(作品世界現時点で)未知の高度科学文明が影響している」と考えると、かなり以前にはよくあった設定ではないかと思います。

例えば「スクラップド・プリンセス」(榊一郎著、1999~2005年)ですと、中世ヨーロッパ風の剣と魔法ですが、どうも先進文明的な痕跡がある世界になっています。最後のほうで、世界が太古の科学技術文明から作られたものだったとなります。

コミックですと、例えば「BASTARD!!」(萩原一至著、1988年~)ですと、かなり初期から世界観が提示されていまして、科学技術の旧世界が戦争で滅んで中世的に戻ったものの、一部で科学技術が温存されており、世界に影響を及ぼしていることになっています。

敵の正体も、例えばAIが持て囃されてからは(80年代以降が顕著)AIだったりしますし、遺伝子技術が世間的にも知られてからは、遺伝子改変の生物なども当たり前に出てくるようになりました(それまでは突然変異くらいだった)。

類例を探せばまだまだ出ると思いますが(古代の超科学文明やら宇宙人由来ってよくあったネタなんです)、これくらいにしまして。以上のような感じですので、たとえ作品の舞台が中世ヨーロッパ風の剣と魔法の世界であっても、高度文明を持つ異星人がラスボスというのは、特異な設定ではありません。単に最近は見かけることが少ないといった程度でしょう。

古代~中世的世界が、実は隠れた先進文明の産物というのは、リアリティを生む手段の一つです。なんで亜人やらドラゴンやらがうようよしてて、魔法みたいな不思議な現象が普通に起こってるの、という疑問に、リアルとリンクしそうな一応の答を与えておく。すると、いかにもありそうな感じを出すことが可能です(注:科学と言いさえすればいい、というわけではないですが)。

あるいは、現代文明への批判ですね。例えば、高度に発達した科学技術は危険ではないか、というのを未来予測シミュレーション風に取り入れて見せる。原子力、遺伝子組み換え技術、AIとか、いろいろな作品で敵役や災難の元凶にされたりしています。中世風ファンタジーで始まったと思ったら、実は昔々にカタストロフがあって、みたいにもなります。

ですので、ファンタジーのラスボスが先進文明の宇宙人という設定は目新しさを生じるわけではないと思います。先行作がいろいろあることを考慮すると、場違いどころか設定的な親和性は高いかもしれません。それだけに、ラストで突然、世界の真相を意外性のある作品のウリとして開陳したりすると、がっかりされる恐れがあります。「そんな陳腐なことのために、今まで引っ張って来たのかよ」と。

亜人、ドラゴンなどのファンタジー生物は当たり前のように受け入れられるようになっていますし、魔法も同じです。単に「そういうものがある」でいい。どうしてそういうものがあるかという合理的な由来・必然性を付与しなくていいし、実はこういうものでしたという仕掛けを施しても感心してもらえない可能性が高い。

ヨーロッパ中世風ファンタジーの舞台が、実は宇宙人の作為だったというアイデアが、そういうものがあるとする普通のファンタジー仕立てよりどこかどう面白くできるのかがはっきりさせられるなら、取り入れたらいいと思います。そうでないなら、避ける方法を考えたほうが無難です。間違っても、実は宇宙人の仕業でした、をどんでん返しのネタにしないほうがいいと思います。

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