室町時代をモデルにしながら史実の室町時代ではない。『もののけ姫』がほぼそんな感じでした。
室町時代というのは、確かに難しいかもしれませんね。戦国時代や幕末と違って一般の読者にはなじみが薄いですから、説明なしに描写だけで室町を感じさせること自体が困難です。
ただ、日本人なら誰でも知っていることも少しはあります。それは時の政権が足利氏の征夷大将軍を戴く室町幕府だったということ。
なので、
>主権や出来事、登場人物の持ち物に至るまで、全く史実の室町時代とは異なります。
主権については、どういう構想を考えていらっしゃるのでしょうか? そのあたりをうまく使えば、日本史にさほど興味のない読者にも「室町のようで室町ではない」イメージを伝えやすいのではないかと思います。
あとは人名・職名かな。これも世界観次第ですね。
ちなみに『もののけ姫』には「アサノ公方」というのが出てきました。
公方というのは当時は征夷大将軍のことです。ただ、『もののけ姫』ではアサノ公方を「大侍」と呼んでいましたから将軍ではないですね。
実は史実でも「鎌倉公方」とか「古河公方」とかいうのが存在していました。足利氏の傍流が関東でそう名乗っていたのですが、室町幕府傘下の正式な機関であるような無いような変な存在だったんですね。(公と私の区別が曖昧なのが中世の特徴。官僚制国家と封建制国家の違いです)
アサノ公方というのは、それに近いイメージなのだろうと思います。
そんな感じの室町っぽいけど何か違うみたいな人名か職名を捻りだし、冒頭で主人公と悶着を起こすエピソードを作れば、わりと自然に伝わるのではないでしょうか?