小説の創作相談掲示板:小説の書き方Q&A。執筆の悩み相談をしよう!

返信する!以下は元記事

タイトル:学校で…の返信 投稿者: 黒鐘 黒ぅ

読み始めたときの印象は、「え!? これのどこが不得意なの!?」って思うくらい、凄く読みやすかったです。
ただ、読み進めるほどに、どんどんわかりづらくなっていった気がします。
これはおそらく、情景描写の減少でしょう。

例えば僕が凄く読みやすいと感じた「oneday」の辺り。ここでは女性が守隆を起こすたった一言に対し、

けたたましい女性の声で僕の意識は覚醒する。

僕はようやく自分が何をしていたのか理解出来た。
どうやら僕は学校の昼休みから放課後までの時間、うたた寝していたようだ。
僕の視界に映る女性は
そんな僕を起こしてくれていたようだ。

これだけの描写が使われています。
他にも、その場の状況を、

教室には僕と彼女の他に人はいなかった。
教室の窓を見ると茜色に空が染まり校庭には部活動が終わり帰り支度を始める生徒が少数人見受ける。

これだけの文をつかって表しています。
ところが「twoday」になった途端、

「守隆はどうしてそう寝てばかりなの?」
どうして?
「寝たいから寝るんだよ」
「守隆くん…必要でない睡眠程、無駄なことはないよ。」
睡眠は生きる上で大切なことだ。
僕は決して無駄ではないと思った。
「その守隆が寝ていた時間で何ができたのか考えてみて。」
「…」
「まぁいいわ。帰りましょうか」

地の文には主人公の簡単な感情しか書いていません。
つまり、情景描写がなくなってしまったんですね。
状況から、onedayと同じく教室にいることはまぁまぁ予想できるのですが、逆に言えば、「予想しなきゃいけない」。
書いてあったらそれで済むのに、読者に余計な負担をかけることになります。つまりこれが、読みにくさにつながるのです。

さらに情景描写は、感情を表すのにも効果的。

緊張感が走ったなら、当然「緊張感が走った」って書けばいいのです。が、情景描写を使えば、直接書くより臨場感が出ます。

例えば、

「……なぁ、B」
「なに?」
突然発せられたAの低く静かな声に、Bは振り向く。
Aは顔色ひとつ変えやしない。
「ごめんな、ずっと黙ってて」
「……え?」
「ごめんな」
Bには、Aの言いたいことが全くわからなかった。
それも当然、Aはなかなか肝心な部分を言わないのだから。
だがそんな沈黙も、次の一言で引き裂かれた。
「Cを殺したのは俺なんだ」
辺りに緊張感が走った。

最後の「辺りに緊張感が走った」って表現は、ちょっと客観的すぎるんですよね。言ってしまえばもはや他人事ですよ。
でもここに情景描写を使うと。

「……なぁ、B」
「なに?」
突然発せられたAの低く静かな声に、Bは振り向く。
Aは顔色ひとつ変えやしない。
「ごめんな、ずっと黙ってて」
「……え?」
「ごめんな」
Bには、Aの言いたいことが全くわからなかった。
それも当然、Aはなかなか肝心な部分を言わないのだから。
だがそんな沈黙も、次の一言で引き裂かれた。
「Cを殺したのは俺なんだ」
瞬間、一際強い風が木の葉を撒き散らした。

こっちのほうが臨場感が出ますね。
情景描写は、その場にいるようなリアリティを演出してくれるのです。
例えば、雨は悲しいイメージがありますし、花はしみじみとした趣があります。そういった人間のイメージを利用するのです。
まぁ情景描写が多すぎても変なのですが、基本的には、多ければ多いほど読みやすくなります。

では実際、情景描写をもっと増やした文に添削してみます。

「あら?今日は起きているのね。」
いつもの教室。相変わらず二人きりのこの空間で、彼女は僕の顔を覗き込んできた。
まるで珍しいものでも見たかのようだ。
「なんでだろうね。」
午後4時。いつもなら寝ている時間。
僕は眠たい目を擦りながらも今日は今日だけは何とか起きていた。
そんなぼんやりとした思考を覚まさせるかのように、外に広がる夕焼けのような声色で、彼女は、
「ねぇ、良ければなんだけど…」
……珍しく、口を濁らす。
「私とデートをしない?」
夕焼けが、赤さを増した。

あくまで自己流なのでこれが答えとは言いきれませんが……。
それでも、描写の多いほうが、読者に対して読みやすい文章になります。

また、一つの描写の長さを上手く調節するのも、テクニックの一つです。
長くするほど、その描写に重みがでるのです。
重要でない描写は、逆に短めに終わらせたりします。
描写の内容の濃さ、重要さによって、長さを調節してみることも大切です。

このように、情景描写によって読者に与える情報量を増やし、よりわかりやすい文章にすることができます。
質問者様の文章は深みがあって面白かったです。
ですが、この手の文章を書いていると、どうしても地の文が心の声ばかりになってしまう、ということによくなります。
地の文は本来、ほとんどが何らかの描写によって構成されています。
心の声を演出するのも感情が滲み出てリアリティが出ますが、描写によってそれをしっかりと固め、補うことをお忘れなく。
長文失礼しました。

コメントは4500文字以内。

「私はロボットではありません」にチェックを入れてください。

トップページへ 「学校で…」のスレッドへ

小説の書き方Q&A:創作相談掲示板の使い方・利用規約(必ずお読みください)。お問い合わせ