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タイトル:書いたプロットから文章を書こうとしても詰まる。書けない。の返信 投稿者: 手塚満

1.プロットを進められない点について

プロットから小説本文を起こそうとして、行き詰るという相談がこの間ありました。

・プロットから執筆する際、ストップしてしまう要因
https://www.raitonoveru.jp/counsel/novels/thread/2789

スレ主さんですと、プロットで行き詰まりということですから、違う現象のように見えますが、気になる共通点があります。上記ですと「書いては消すの繰り返し」と仰っています。スレ主さんですと「あーじゃないこーじゃないといって文字を書いたり消したり」ということですね。回答も多く寄せられていますので、参考になさってはどうかと思います。

いずれにせよ、とりあえずのものも書き上げることができないという点で、お悩みが共通しているようです。類似のお悩みをいくつも見かけました。書き出してみるとなんか違う気がする、途中でおかしいと思って進まない等々です。

途中で引き返すのは正しい方法の1つではあります。間違いと分かっていながら、突き進んでしまっては破たんするかもしれない。プロならいざ知らず、アマチュアないしは趣味で小説書いてて、失敗しても大怪我するわけではないですが、やはり避けたいものではありますね。経験から来る予感、直感は大事にすべき。

ですが、いつも途中で詰まって消してしまうとなると、別の原因も考慮しておく必要があります。特に、完成させたことがあまりないなら、予感、直感自体が信頼性が低い可能性が高いのです。経験から来るものが大きいですからね。

まだ作り始めていない、あるいは途中段階ですと、その先は可能性の塊みたいなものです。例えば、主人公がこうしたとして、次はこうもできるし、ああもできる、あるいはそうすることも、みたいな感覚です。

このことを、お金に喩えてみます。今日、好きに使っていいお金が千円あるとします(使わなかったら没収される、と考えてみてもいいかも)。旨いラーメン食おうか、好きな映画の廉価版DVD買おうか、興味があった物語の本を買おうか、とか嬉しく悩めますよね。千円札1枚がいろいろなものを買える可能性を持っているからです。

だけど、可能性に過ぎません。ラーメンを選んだら、映画や本は諦めないといけない。映画を選んでも同様ですね。手に入るのはたった1つ、千円分だけです。千円札1枚を物に具体化すると、可能性から現実に変わります。数多の可能性に対し、たった1つの現実です。

プロット・物語作りでも同じです。主人公にはいろんな選択肢が生じる。主人公が選べる可能性は数多とある。だけど、選べるのはたった1つになります。ある選択をすると、他の選択肢は消滅する。

途中で行き詰る人に少なくないのが、事前に想像した数多の可能性がもたらす楽しさを、実際に書いてみたたった1つの結果にも面白さとして求めてしまうというものです。でも、当たり前なんです。

書く前に思っていたほど、実際に書いてみたものが面白くないのは当たり前と覚悟すべきです。いくつものの可能性をそのまま同時に書き表すのは不可能です(量子力学の「シュレディンガーの猫」でいえば、生きていて、かつ死んでいる猫みたいなもの)。文章ではたった1つの現象しか描けませんし、そもそもいくつもの可能性が塊になったものなんて、どう表現されても理解できません。

どんなに違和感が生じても、まずは書き上げてしまうことです。しかし、書き上げたら完成でもありません。なぜ書き上げることが重要かといえば、「叩き台」になるからです。「叩き台」とは「批判・検討などを加えて、よりよい案を得るための原案。」(デジタル大辞泉)です。

一度で最高の完成度なんて、ごく限られた天才にしかできません。普通は、小説本文なら推敲し、改稿して改善していきます。プロットだって同じです。頭の中だけで練っていてもなかなか上手く行きません。たとえ短い話でも、情報量は膨大になります。キャラ1人だって、性格とか経歴とか出自等々、いろいろ考えとかないといけないですよね。頭の中だけで練れるような単純なものではありません。

だから、まずは書いておくんです。すると、全体を見渡して扱えるようになります。さらに、書いたことから発想を得ることもできます。創造は大変な作業ですが、改善は比較的楽なんです。元になるものがあれば「ずらしたら」「大きくしたら」「入れ替えたら」等々で変更案を思いつくことができます。

さらに、たとえギクシャクする感じでも、一応はプロットに形に書き上げれば、誰かに見せて相談できます。このサイトでもプロット相談用の掲示板がありますよね。「騎士が姫を救う話を書きたいんだけど、プロットが書けない」では誰も手助けできません。曲がりなりにもプロットとして書いたものがあれば、上記の改善という段階となり、他人でも思いつくことが出てくるでしょうし、手伝うことも可能になってきます。

2.複数の状況の説明

お示しの例文とは異なりますが、同時に起こっていることでも、文章だと分けて書かないといけないですよね。コミックなどの絵での表現だと、同時のものを同時に表せるんですが、文章だとそうはいかない。

お示しの例文とて、ほぼ一瞬に起こるものではないかと思います。目を覚ましたら見慣れない風景でしょうし、目を覚ましたら体動かすのは普通ですんで、動けないと思うや否や縛られていることに気づくか、あるいは目を覚ましたときに自分を縛るロープが見えて混乱するか。

コミックなら2コマでしょう。1コマ目:単に目を覚ます(顔アップ)→2コマ目:縛られて転がされている状態で「なんじゃこりゃ!」と叫ぶ、みたいに表現してしまえます。だけど、文章の描写ではできない。名詞に限っても、何らかの順番で出していくしかない。読者側では、名詞ごとに物がイメージされ、全部で揃ってようやく全体像がイメージできるわけですから。

お考えのように、優先順位をつけるしかないわけですね。しかし、シーン内だけで考えて、優先順位をつけられることは少ないように思います。シーンの前後もよく考える必要がありますお示しの例で考えてみます。

> 例:敵につかまってどこかに拘束されているキャラクターが目を覚ますとき

これはシーンの前提となるものですね。その次以降からすると、「気を失っている状態で拘束された」ということになります。

> 目を覚ます ⇒ ここはどこなのか? ⇒ 動こうとする ⇒ 縛られている

シーンでの詳細な各アクションですね。数字を振って、箇条書きにしてみます。

0:???
1:目を覚ます
2:ここはどこなのか?
3:動こうとする
4:縛られている
5:???

キャラは過去の経緯を踏まえて行動します。1~4ではとりあえず驚いているだけですから、目を覚ます以前のことはまだ気にできるほど落ち着いていないはず。しかし、このシーンの後(5以降)もあるわけですよね。

1~4だけだと、もう1つの例と大差ありません。「わけがわからない」も書いてないけど、上記には含まれるはずです。2で場所を疑問に思う直前に「わけがわからない」と感じるはずです。

0:???
1:目を覚ます
2:わけがわからない
3:ここはどこなのか?
4:動こうとする
5:縛られている
6:???

しかし、「わけがわからない」と感じるには、周囲の異常に気付かないとおかしいはずです。いつも寝ているところで目を覚ませば(拘束に気づく前の一瞬なら)おかしいとは思わないはず。

0:???
1:目を覚ます
2:目に入った光景は周囲が見慣れない場所
3:わけがわからない
4:ここはどこなのか?
5:動こうとする
6:縛られている
7:???

これでも足りない。なぜ最初の思考・疑問が「4:ここはどこなのか?」なのか。そこは0に入るべきシーンの前提が影響するはずです。だからシーン直前までの経緯を考えないと、3→4をうまくつなげられなくなったりします。

例えば3と4の間が「3.5:何があったか思い出せない」となれば、とりあえずはこのシーンはそこまでの経緯をあまり気にせず作れそうです。しかし、「3.5':○○で●●していて、そこから思い出せない。あのとき敵に襲われたか?」(0:???に相当する事情)という思考が生じると、主人公に何らかの目的意識(敵の狙いをかわす行動を考える等)が生じるのが自然となります。

5→6は自然でしょう。ですが、6でシーンを終えるからには、7は「この拘束を解くには?」と考えることになりそうです。続くシーンは拘束をいかに解くかにつなげると自然な運びにしやすい。

もう一方の例文では、シーンの最後が「ここはどこなのか?」という思考・疑問です。縛られていることは既に気づいていて、そのままで自分の今いる場所について考えている。これも、シーン前にどうだったかが影響したはずですし、続きのシーンは場所が分かったら脱出のヒントが得られる、みたいな感じで続けるのが自然となります。

どちらがいいとは言えない。決まるとしたら、このシーンの前後のストーリーの要請です。あるいは、拘束を解いて脱出するアクションを見せたいのか、自分の置かれた状況の謎を推理し看破するシーンを見せたいのか、という問題ですね。

以上は一例にすぎませんが、どの情報をどの順番で出すかは、シーン前後から決まって来るという点が大事です。シーンだけ取り出して考えても結論は出ません(たいてい、どういう順番でも大差ないとしかならない)。

ことわざを借りて言い換えてみますと、「木を見て森を見ない」のでは、シーン描写の文章はうまく作れないということになります。シーン内の事情(木)だけではなく、シーンの前後(森)を考慮して、上手くつながるように、見せたいものを印象付けられるにはどうするか、で考えてはどうかと思います。

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