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タイトル:書いたプロットから文章を書こうとしても詰まる。書けない。の返信の返信の返信 投稿者: 日暮一星

『ト書きにする』以外に、『シーンの意義を明確にする』『大雑把な文章を使わない』も交えて説明します。多少ややこしいと思いますがご容赦ください。

 例えば以下のプロットがあるとします。

【敵地から自分の拠点へ戻る→(①)、宿敵と出くわし戦闘→圧倒的な宿敵の力に重傷を負い、死を覚悟する主人公の心境(②)→救援に来た仲間の力を借りて逃げ出す】

 さらに細かいプロットにするに当たり、分からない部分を①と②に置き換えましょう。

 まず①は『拠点へ戻る途中に宿敵と出くわすまでのシーン』です。これをどう書くべきか分からないとします。

 結論からいって、この答えは二つあります。シーンとして確立して描くか、いっそ省いて次のシーンに行くかです。

 まずシーンとして確立して書く場合。まず『そのシーンにでてくるキャラたちがどんな目的を持っているのか』を考えます。具体的には『互いにそのシーンで達成しようとするキャラの目的』です。
 この『目的のための取引』がない場合、自分はそのシーンを省きます。これがないと、キャラたちの動きがない退屈なシーン(例えば説明するだけのシーンなど)になってしまうからです。

 話を戻します。
 主人公はまだ敵地にいるので、宿敵の仲間である追っ手が来ている、鉢合わせした敵を蹴散らす、あるいは敵を掃討したあとで相棒と一緒に引き上げるなど、さまざまなシチュエーションが考えられます。ここでは『追っ手に追われる主人公』を例としましょう。
 主人公が敵と出くわしたのなら、いわずもがな敵の目的は『主人公を逃がさないこと』です。敵からして主人公は『敵』に当たる人物なので仕留めようと必死です。そして主人公の目的は『追っ手から逃れること』です。

 ここでシーン①にでてくるキャラ(追っ手と主人公)の目的、すなわちシーンの意義は定義されました。このシーンで、このキャラクターたちは互いの目的を達成しようと出来る限りの手段を使います。
 では『大雑把な文章は使わない』『ト書きにしてでも分からない部分は明確にする』を交えてプロットを書いていきます。

――――――
 廃れて閑散とした地帯へ、主人公は背を向けるべく来た道を戻る。風が吹き抜ける・砂塵が人影のように巻き上がる・どこか胸騒ぎを覚える主人公・風が止む・一瞬の静寂・かすかに聞こえた足音
 振り返ることもせず主人公は駆けた。それと同時に、荒々しい怒号が彼の背中をつつく。敵の追っ手だ。一人だけではない。塀の入り組んだ路地に駆け込み、複雑に曲がりながら前に走る。
 走りながら主人公は悩む・迎撃するかこのまま逃げ切るか
 その時、不意に前から敵の姿・しかし敵も思ってもみなかったのか、突如として見つけた主人公の姿に面を食らっていた。神経を尖らせていた主人公は、その隙を逃さない。鳩尾に鋭い拳・思わず屈んだ敵の頭を掴んで塀に叩き付ける・昏倒する敵
 即座に周囲へ注意する主人公・警鐘のように鳴り響く自分の心臓・取り戻せない考える冷静さ・ふと主人公は足元へ転がる敵に目をやった。
 主人公は敵の装備をあさる。安っぽい拳銃と申し分程度のマガジン・武器の代わりにはなるだろうが過信はできない・威嚇のための発砲がいいところだろう・迎撃することを諦める
 続いて再び周囲へ・傍らには袋が乱雑に放られたゴミ置き場・入り組んだ路地は相変わらず・よくよく考えてここは敵地・土地勘は敵のほうが充分に上・しかも敵の仲間が来ているとも考えられる・もしかすると、退路へ先回りされているかもしれない。
 隠れてやり過ごすことを主人公は決断・敵の銃を空へ発砲・そのまま奪い、放置されたゴミ袋の山へ身を隠す・ゴミに視界を覆われる・得体の知れない粘液が肌に触れる・鼻の曲がりそうな臭いが堪らなく不快だった。
 駆けつけた敵・なにかを話し合ったのち、この場を去って行く足音・しばらくして、彼らのものとおぼしき車が走っていく音も聞こえた。やはり退路を塞いでいたらしい。それからしばらくの時間が経つ。人気は感じない。落ち着きを取り戻したところでゴミ袋をどかしてその場をあとにする主人公
――――――

 普段書くものと比べてかなり雑ですが、自分が書くとこのようなプロットになります。主人公の目的は達成された時点でこのシーンは終わりです。

 続いてシーン②の『圧倒的な宿敵の力に、死を覚悟した主人公の心境』です。シーン①と同様、まずはこの場面に出てくるキャラの目的を考えます。
 宿敵…追い詰めた主人公を仕留める
 主人公…隠し持っていた爆弾で道連れにしようとする

 以下、同様のプロット。

――――――
 全身から泣き叫ぶような激痛・口から血を吐き、途切れそうな意識の中、主人公は体を起こそうと壁を這うようにして立ち上がる。曲がらない足・額から伝う生暖かな血の感触
「細い割にはなかなか丈夫な体してんじゃねーか、おい!」
 そこに宿敵の豪腕が容赦なく主人公の首元を掴みかかる。喉ごと潰れるような息苦しさに、主人公の意識はさらに揺らぐ。
 それでも宿敵の思うようにはさせまいと、力の入らない両手の爪を立て、彼の豪腕を掴んだ。おぼつかない視界の中に宿敵の顔を捉える。がたついた体に反して、その眼差しは刃のように鋭さを増す。
 そんな児戯にも等しい彼の行動に宿敵は笑みを浮かべた。
「感動だねぇ、そんなにオレを殺してーのか? そんなボロ雑巾みてーな格好でよぉ!」
 宿敵の顔に血を吐き捨てる主人公
主人公「」宿敵に対して挑発の台詞
 小馬鹿にしたように笑う・宿敵の顔から笑みが消えた
 その途端、主人公の体が勢いよく舞い上がる。投げ飛ばされたと気付いた時には地面に叩き付けられていた。
 呻き悶える主人公・激痛を無視し、主人公は辛くも仰向けになる
 空がいつも以上にまぶしい・それでも目を閉じることはない・死は、とうに覚悟の上だった・まだ動く左手をどうにか腰へ持っていく
(アイツさえ殺れば、俺は死んでも……ッ!)
 ぬっと、そこへ主人公へ影が覆う。すかさず動かした主人公の左手よりも早く、宿敵の足が彼の左手を踏み潰した。
「がああぁぁぁぁっ!!」
 皮の中から小骨が砕けるような音は、主人公の悲鳴に掻き消される。
宿敵「」隠し持っていた爆弾に気付いていたことを明かす
 万力のかかった踵・虫をすり潰すよう・おもむろに銃を向ける宿敵
「ボロ雑巾が街のゴミになるなんざ、皮肉なもんだよな」
 勝ち誇ったような宿敵の声色・銃口に怯えることなく、主人公は眼差しだけでも彼に反撃した・それも空しく宿敵は余裕綽々とした表情だった。
 その確かな現実が、主人公の宿敵に向けられた殺気をふつふつと沸き上がらせた。そして悔やんでもいた。彼を仕留められない自分の無力さを。仲間の仇を取れない、この瞬間を。
 銃声が轟く。銃弾が、衣服に血を滲ませたのを宿敵は見届けた。
 主人公へ向けられた銃口が朽ち葉のように落ちる。主人公の眼差しは、忽然と鋭さを潜めた。彼もまた、その瞬間を目の当たりにしたからだ。
「助けに来た、とでもいっておこうか?」仲間の声
 思わず膝を着く宿敵・後方から響く、主人公の聞き慣れた声
――――――

 相変わらずいつもよりも雑なプロットになってしまいましたが、形としてはこんな感じです。ト書きというよりも箇条書きに近いような気もしますが、とりあえず『分からない部分が、あらかじめ考えてあれば』問題ないかと。
 かなり長くなってしまいましたが、参考になれば幸いです。

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