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タイトル:世界観構築の共通点についての返信 投稿者: 【本人から削除依頼】

「「驚き」を作り出すときは、「信じられないけれども可能である」ことがらよりも、「ありそうでありながら実際には不可能である」ことがらのほうを選ぶべきである。(アリストテレス)」

なんて格言があったりしまして、古代ギリシアで既にコツを発見していたようです。

 上記では「驚き」とありますが、説得力あるツカミと言い換えてよさそうです。「そんなバカな」と思わせておいて、いや実際にあり得ることなんです、とやれば、「へーなるほど」となります。しかしフィクションと割り切れば、「うわー自分にも起こりそう」と思わせたほうがいい、後で「いや、あれはあり得ないな」となっても構わない、ということだと思います。

 他にも方針はあるかもしれませんが、とりあえずアリストテレス以来の路線を採用するとします。すると当然、実はあり得ないけど、起こりそうだと思わせる必要があります。難しいですね。流行りの異世界で考えると、実はあり得ません。事故に遭えばほいほい異世界に行けるのなら、その異世界で事故に遭った人だって、こっちの世界に来るはず。でもそんな異世界人はいない。だから異世界はない。少なくともほいほい行けるようなものはない。

 でも異世界ものは、少なくとも今までのところは隆盛を極めています。ニシンさんもいろいろと実例をご存じで、「あり得そう」感があるわけですよね。じゃあ、なんであり得そうもないものがあり得そうと感じられるのか。

 ちょっとダイエット広告に寄り道してみます。ネットで怪しげなのが膨大にあります。曰く「寝ている間にみるみる体重が減る」「たらふく食っても痩せていく」「我慢なし、運動なしで体脂肪激減」とかとか(実際は巧妙に言質を取られない文章テクが駆使されているが、消費者が感じるものに意訳)。全くあり得ない。だけど信じて買う人がいるんです。「そんなのあり得ない、怪しい」と助言しても聞き入れません。そういう人には共通の特徴があります。「痩せたいと切実に思っている」です。

 自分が欲しいものは、欲しくない人から見れば怪しげでも、割と素直に信じてしまうんですね。ですので、不可能だけどあり得そうと思わせるコツは、異世界であれば「欲しいものを異世界に置け」です。魔法などの異能はかなり普遍的に使われてますね。願っただけで思い通りのことが起きるって、現実世界でも「そんなもんがあればなあ」と誰でも何度も思ったことがあるはず。それを「この異世界にはありますよ」としてやれば、フィクションと知りつつも、つい引き込まれてしまうわけです。

 しかし、異世界に行きました、欲しいものが手に入りました、では盛り上がりませんね。話としてもすぐ終わってしまう。

 ですので、一つあります。欲しいものと対極的なものです。怖いものです。ホラーなどは特にそうですね。容易く人を取り殺せる亡霊とか、常套手段になっています。上記の現実のダイエット広告事例でいえば、「〇〇すると太ってしまうよ!」(骨盤の歪みとか、糖質とか、いろいろパターンがある)みたいな脅しですね。これも、痩せたいと思う人(自分が太っていると思い込んでいる)からすると、「そうか、それが自分が太った原因(≒敵)か、それさえ排せば(≒倒せば)」と信じたくなるわけです。

 異世界ものでいえば、例えばドラゴン。非常に強力で、太刀打ちが難しい敵として登場したりします。魔法も、悪の大魔導士がラスボスだったり。そういう敵がいるから、主人公(≒読者)が欲しいものがすぐそこにあるのに、目に見えるほど近いのに、手に入らない。その敵というのは「主人公(≒読者)が欲しいものを、先に手に入れている者」であるわけですね。魔力とか強さとか。そういう難敵が山場を作ります。

 具体的に説明するため、あくまでも一例という程度ですが、まとめてみますと、

1.不可能だけどあり得そうに思わせる。
2.それには読者が欲しいものを用意する。
3.しかし入手を困難にする。
4.邪魔するのは欲しいものを既に持っている敵。

という感じになります。ものすごくよくあるパターンです。お好きな作品がどうして面白いのかを分析してみると、さらにいろいろ見つかるのではないかと思います。

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