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タイトル:戦記物を読んで思うのですがの返信 投稿者: にわとり

 ある一人の活躍、ある一つの知識、ある一つの決断が戦局を左右したっていうのがエンタメの王道。その時歴史が動いた、ってやつ。因果関係がはっきりしていて、知識がなくても誰でも楽しめる。
 一方で複雑な要因が絡まったリアルな人間ドラマも捨てがたい。戦争には敵味方合わせて多くの人間が関与していて、一人一人に人間らしい苦悩やら野望やらがある。そうした糸を織り合わせた壮大な織物としての戦争、という視点。

 すぐれた戦記物の作家は、このふたつの立場を両立させます。複雑な人間ドラマを描きながら、それらの行く末が、たったひとりの活躍、一つの知識、一つの決断によって左右されたかのように、すべての描写がそこに収斂していくように描くことができる。でも普通の書き手、とくに趣味で書いている程度の素人はそんな高等テクなんて使えない。
 じゃあ前者と後者、どっちを優先するかって言ったら、ストーリーテラーの感覚からすると圧倒的に前者なのです。その結果として生まれるのが『チートを使って無双』(=複雑な情勢を無視して一人の人物が活躍し、戦況を左右する)、『付け焼刃な知識で敵軍を蹂躙』(=複雑な現実的問題を無視して、一つの知識が戦況をひっくり返す)、という物語の一つの"型"です。逆に後者を優先してしまうと、面白くもない架空世界の歴史書になってしまいます。そんなものを読みたいと思う人間は普通いない。

 まあそれに、チートが実在する世界観なら、それで無双するのはよく練られた合理的戦術だしなあ。しかも、それも結局、チートがそのまま通用しない強敵が現れて主人公は挫折したり悩んだりするわけでしょ。少なくとも人気作はそういう構成になってる場合が多い。なら結局、入り口がそう見えなくても最終的には『主人公に苦悩や刺激、それを解決するために行う努力などがある作品』になっていくわけで、じゃあ敬遠されているっていうのは思い込みじゃないのかって思う。

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