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タイトル:戦記ものについてなのですが……の返信 投稿者: あまくさ

まず、古代的な都市国家と、中世的な都市国家は本質的に性格が異なります。中国の周をイメージされているのなら古代的な都市国家ということになりますが、そこは理解されているでしょうか?

古代的な都市国家について、ざっとご説明します。これは簡単に言うと、自然発生的に成立した農耕集落の発展形と考えてください。
都市国家よりも広い領域に広がる上位の権力構造は、事実上まだ存在しません。したがって上位の権力によってもたらされる「制度」「法律」もありません。経済も自給自足が基本なので、「金」というものは実質的には機能していませんでした。
「制度」「法律」「貨幣」というものが機能してくるのは、歴史の発展プロセスからいうと次の段階になるんですね。

古代都市国家は、成立した段階では「農耕集落」に毛が生えた程度の小さな単位です。まだ法律や上位の権力が存在しないため、いつ外敵から侵略されるかわからない状態に置かれています。それでは危険なので、集落のまわりに城壁を築いたり、武装を整えたりするようになります。また都市国家同士で手を結んで敵に備えたり(外交)、「交易」によって力を蓄えたり(経済)、武力によって他の都市国家を支配下に組み込む(軍事)勢力も現れてきました。
このようなプロセスを経て広大な領域を支配する「大国」という存在が割拠する時代に移行し、大国の支配者は「王」を名乗り、その流れの中で初めて原始的な形での「制度」「法律」「貨幣」などが作られるんです。
中国の周~春秋戦国時代はまさにそういうプロセスの渦中にあった時代で、戦乱の中で未熟な形ながら農耕集落の域を超えた国家が成立し、この状況は秦の始皇帝による中国統一によって一応の完成をみます。中国において「制度」「法律」「貨幣」「度量衡」「官僚制度」などが確立したのは秦の時代以降ということになります。
秦の時代以降何度も統一王朝が崩壊し、一時的に戦乱と群雄割拠の時代に逆戻りしたことがありますが(三国志の時代が有名)、秦が基礎を作った制度・社会・経済・権力構造が完全消滅はしなかったため、中央と地方の制度が混在する複雑な状況になったんですね。

このような前提からご質問に回答するなら。

>その都市国家間で戦争を行うことは可能なのでしょうか?

可能です。というより、上記のように小勢力の統合が進んだ時代であり、統合の大きな原動力が戦争でした。

>戦争を行う為には金が必要ですが、

金は必ずしも必要ありません。必要なのは金ではなく、人間集団に対する「動員力」です。
例えば日本の歴史に置き換えて考えてみてください。平安時代末期の源平合戦では、源氏や平家の軍勢は別に金で雇ったわけではないんですね。平家の方の平清盛は日宋貿易で経済力を蓄えるということも進めていましたが、これは当時としては物凄く先進的。対する源頼朝は東国の武士たちが自ら開拓した土地への権利を保障するという形で主従関係を結び(封建制)、貨幣の力は使わずに平家に勝利しました。要するに金がなくても集団を従わせる手段があれば、農業も栄えるし軍隊だって作れるじゃないですか。もちろん支配者には農民や兵士を食わせていく力は求められますが、それは現物支給でもかまわないわけです。(正確に言うと封建制というのは自分で農作物を作って確保する権利を保障する形をとります)
それから何百年かたった戦国時代でも、織田信長が現れるまで武将たちは貨幣をそれほど重要視していません。武田信玄の軍団も主力は元々の家臣団と農村から徴発した兵力です。だから農繁期には戦が起こしにくいという弱点があったりしました。堺の商人との結託や楽市楽座(自由経済の推進)で金を蓄え、それによって足軽を雇ったり鉄砲を購入したりしたのは織田信長の革命的なアイデアだったんです。

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