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タイトル:現在「看護師」 昔「看護婦」 使うときの返信 投稿者: あまくさ

小説を書いていると、そういう言葉の選択にはしばしば悩まされますね。
そこには似て非なる二つの問題が複合しています。一つは「考証」の問題、もう一つは「情緒」の問題です。
また、作品の地の文が一人称か三人称かにも係わってきます。一人称の場合はより厄介なので後述するとして、以下は三人称の場合で考えてみます。

大正~昭和初期を舞台とした三人称であれば、地の文では「看護師」。セリフの中では「看護婦」。安全策を重視するなら、これが無難です。
時代を考えればセリフの中にまで「看護師」と書いてしまうと時代考証として違和感が強すぎます。昨今問題視される用語の中でも「看護婦」は身体や精神の障害を指す言葉ではないので、セリフとして使うくらいはセーフでしょう。
一方で三人称の地の文はあくまで客観的叙述になりますから、大正時代を舞台とする小説で現代用語を使っても問題ないのです。それがダメだと言い出すと、すべての用語や言い回しを当時のものにしなければいけないことになってしまい、それをやったら現代人にはかなり読みにくい文章になってしまいまうでしょう。

以上が「考証」の問題になります。
しかし「情緒」の問題となると話が違ってくるんですね。

>看護師は私の感覚的に堅い感じでより行政的な感じで、極めて現代風な映像しか浮かびません。最新鋭の機器に囲まれた清潔な病院とか。このように人によっては言葉の持つ映像がついてまわるのではないかと思うんです。

これは「考証」というよりも、どちらかと言うと「情緒」の問題です。あえて語弊をおそれずに言えば、「看護師と書くと雰囲気がこわれ、作者の表現したいイメージにそぐわないからイヤだ」ということかと。
と言っても、けして情緒を軽んじているわけではありません。小説は論文でもビジネス文書でもありませんから、言葉の選び方によって伝える情感が大切なのは論を俟ちません。
ただ前述したように、すべての用語と言いまわしをその時代に即したものにしてしまうのは現実的ではありません。なので小説は、多かれ少なかれ現代的な文章をベースにして、そこに時代にあった言葉を適当に散りばめるなどのアレンジを施して書かれているものなのです。
「看護師」ではイメージが伝わらないというお気持ちは分かりますが、一つ一つの用語にこだわらない文脈全体やエピソード、人物描写によっても情感は表現できます。そういうテクニックにも目を向けることをお勧めします。

さて、後述すると書いた一人称の場合です。
一人称の地の文はその時代の誰かが語っているという設定になりますから、「看護師」という当時使われていなかった用語を入れるのは少し厳しいですね。
なので三人称のセリフと同じ考え方で「看護婦」くらいは許容範囲(身体的・精神的な障害を示す用語と比べたら)と割り切って使っておいてもいいんじゃないでしょうか。
もし心配なら、あざらしさんが提案されているように冒頭にでもその旨の但書を入れておけばいいのではないかと思います。

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