>その人物が50代の独身だった場合は「ああ、欲求不満で書いてたんだな」などと変な推測をされ、作品が“そういう目”でしか見られなくなる
そんなものは下衆の勘繰りでしかない。あなたは『こういうことは良い悪いの問題ではなく』と言いますが、違います。これは良いか悪いかの問題であり、悪いことです。
最近だとあまり聞かないけれど、昔はよく"映画などで悪役を演じた俳優や女優が嫌がらせを受けた"とか"私小説風の文体でインモラルな小説を書いたら心配した知人から電話がかかってきた"みたいなひどい話はあったわけで、作者(出演者)と作品とのあいだにちゃんと線を引かないとろくなことにならないんですよ。
もちろん作家にもプライバシーはあるから、素性を知られたくない気持ちは尊重されるべきだし、ペンネームでキャラを作ってロールプレイングするのも面白いとは思うけれど、だからといって、作者と作品を単純に同一視してしまうようないわゆる"厄介読者"の目線にそのまま迎合してしまうのは違うと思うんだ……。
>・誰かと一緒に作っているとして、自分はほんのアシスタントにすぎないとする
>・誰かから聞いた話を再構成しているとする
それっていわゆる"ゴーストライター"ってやつでは? それはそれで倫理的な問題があると思うけど。たとえば極端な場合、作品が盗作などで炎上したとしても責任をなすりつけて名前を出さずに逃げられちゃうわけでしょ?
そもそもの話として、匿名を貫く(=作品と自分自身を徹底的に切り離す)っていうのは作品に対して責任を取らないこととニアリーイコールだからあんまり著作者の態度として褒められたものではないんだよな。覆面作家はべつにいいんだけど、逮捕された場合まで個人情報を流出させたくないっていうのはそういうレベルを超えている。記事の信憑性の担保や、今後の防犯のためにな実名報道を含む犯罪者の身辺情報の報道ってある程度は必要だし、作品イメージを崩したくないとかいう個人のわがままで押し通せるような状況じゃないよそれ。