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タイトル:掴みどころのないヒロインを惚れさせるためにはの返信の返信の返信 投稿者: あざらし

まずは返信が遅れましたことをお詫びいたします。ちょい仕事のスケジュール調整に時間がかかってしまいました。申し訳ない。あと、普段は30分程度の一気書きで書き込みさせて頂いているのですが、今回スケジュール上ぶつ切り足かけ三日です。途中のものをつぎはぎ最終的にコピペで貼り付けてますので、段落ずれや文字ずれ等で読みづらい点があるかも知れません。予めご了承を。

ご挨拶はこれぐらいで、本題に。
煮詰まりを感じた故に別のアプローチを提案させて頂いたわけですが、余計に悩みを深くさせてしまった面があるようで、この点も陳謝いたします。
ただ、ですね。
返信頂いた内容を拝読してかなり安心しました。
是非とも、もう一歩、そこから踏み込んでみてください。
以下、前回の書き込みを噛み砕いたもので、直接的な答えは私には書けません。参考になることがあれば幸い。

>「恋愛は理屈ではない」とよく聞きますがそういうことなのでしょうか。

現実の話しとしては、程度の話しでもありますが(多くの場合)そうだと思います。
程度というのは事由を分岐点として、です。『こんな出来事があり、それから好きになった』というような恋愛ですね。
理屈ではない、というのは客観的に理論づけられない。第三者に説明しがたい。
ありていには、個人的な趣向により。
単純に「可愛い」だとか「自然と仲が良くなり、付き合った」というようなケースです。
こういった確たる理由、分岐点がなく、客観的に見れば『なんとなく』カップルになっているというのは現実ではよくある話しだと思います。

ところが、これをそのままストレートに小説に採用することが得策だとは、私には到底思えません。
どこがダメかというと読者が納得できない。
現実での付き合った理由として『なんとなく』
これは、結果ですよね。

小説に限りませんが、物語は出来事の経過を読んだり、鑑賞したりするものです。
物語開始時点で付き合っているふたり。このカップルが付き合った理由、例えば物語中で友人に聞かれた答えとして『なんとなく』これならば読めます。
なぜ読めるかというと、それは物語開始時点に既に定まっていることだからです。
一般小説ならばよくありますが『主人公には妻子がいます』ラノベなら『主人公には妹がいます』これらと同じようなことです。

ところが御作ではそうではありませんよね。
物語開始時点で、ヒロインは主人公のことが異性として好きではない。
つまりヒロインが主人公のことを好きになっていく経過を書く必要があります。
経過というのは、
『なんらかのイベントがきっかけになり、主人公のことを意識する(理由を物語に落とし込む)』
『無関心だったヒロインが、徐々に主人公のことを意識していく(理由ではなくエピソードの積み重ね)』
こういうことです。

>たいしたきっかけなくてもヒロインが好意を明確にすればそれが恋愛になると考えていいのでしょうか。

言葉尻を捉えるわけじゃないのですが、それでは恋愛になりません。
主人公が応えて、初めて恋愛になりますよね。

ですが、ヒロインが好意を表現した時点で物語の恋愛要素は大きく動きます。
物語の帰結、結果として主人公がヒロインを選ぶかどうかは、今回のご質問とは別のことだと思います。これは、恋愛要素がある物語で、ふたりが付き合い出すと(基本的に・多くの場合は)物語は終幕を迎えますので『どう終わるか』もしくは『その後、どう展開させるか』という話しです。

そうではない物語、たとえば現在連載中の漫画【畑健二郎著:トニカクカワイイ】なんかは、モロモロをすっ飛ばして結婚しますが、それにしても『主人公とヒロインの時間、恋愛の経過』を描いていることに変わりありません。
まずは『恋愛要素のある物語は、読者に経過を楽しませる』という所に立ち戻ってみて下さい。変化球を投げるのはストレートを投げる能力があってこそです。

さて。

>恋愛に関する価値観も大きく常人とは違うのではとも思いました。

安心した、というのはコレです。
ご自分で答えに近づいていらっしゃると感じたのです。
それで良いと思いますので、もう一歩踏み込んでみてください。

どういうことかと申しますと、
『恋愛に関する価値観も大きく常人とは違うのでは』
これは、おおよそ読者の予想でもあるわけです。
金村さん自身の謎でもあり、著者として理解不能であることを書くわけではありませんから、おおよそ思考をトレースしていけば『天才と凡人の価値観の違い』というのは書きやすくもあるはずです。
読者の予想(になるであろう)を強化する、ということです。

文中には直接は書かず、エピソードにより読者の心の中に『(ヒロインは)恋愛に関する価値観も大きく常人とは違うのでは?』これを発生させてください。
(念のために書きます。ここでのエピソードはアニメ全12話の第一話といった意味ではありません。辞書どおりの意味、本筋以外に挿入される部分、挿話です。前回例に出した【もののけ姫】なら、たたら場へと向かうアシタカが旅の途中で戦に遭遇するシーン。「押しとおる!」のセリフと共に放った矢が武者の腕やら頭を吹き飛ばします。呪いを受けた腕ではあるが、だからこそ人知を超えた力も発揮する、というエピソードですね)

この時点での読者に、
『主人公とヒロインがいる。恋愛要素もありそうだが、この状態でどうやってヒロインは恋に落ちるのだろう?』
こう感じさせるために、徹底的に、けれどエピソードを利用して簡潔にやって欲しいのです。

ここまでが見事成功すると、読者の心はどう動くでしょう。
もちろん『好ましく思える主人公とヒロイン』というような応援したくなる気持ちや、主人公と同調できるといった土台が必要ですが、
『主人公とヒロインがくっついて欲しい(期待)』
こう(なるように書くべき)ですね。

これらが読者の心の中に完成した時点で、恋愛要素のある物語は重要なハードルをひとつクリアしたことになります。
是非とも全力で取り組んでください。
『読者の予想は大きく裏切る、けれど期待には、読者の希望以上に応える』
面白い物語を端的に言い表すと、こういうものだと思うのです。

>ほかにもこれという展開があれば教えてください。お願いします。

ご質問の問い、これにズバリお答えできる内容は私には書けません。
ここまでの書き込みと重複しますが、読者の予想を裏切る展開が見えないのです。
1)そこに至るまでのストーリー
2)主人公とヒロインの関係
3)主人公とヒロインの性格
他にもありますが、少なくともこれらによって読者の予想が形作られていくということです。

重要なのは『読んだ読者はどう予想するだろうか』という著者の想定であり、もっといえば『そう予想するように読者を誘導する』ことだと思うのです。
ひとついえることは、よほどの閃きがないかぎり、すぐに思いついた案では読者の予想を裏切ることは難しいのではないでしょうか。

最後になりますが、お勧め書籍と映画を一本ずつ。
おそらくは既に読んだり観たりしている作品を選びました。
ネタバレを含む注目ポイントを併せて書かせて頂きます。
【新海誠監督:君の名は】
観衆の認識力を疑い、丁寧に解りやすく描く。
観衆の認識力を信じ、全ては描かない。
ふたつの相反するさじ加減がお見事です。
本作ですが、まず間違いなく観た人は「両思いであるふたりのハッピーエンド」として捉えているはずです。
で、
『どの時点でヒロインは主人公のことが好きになったのか?』
『どうしてヒロインが主人公のことを好きだと(観ていて)感じたのか?』
これを考えながら観ることで素晴らしく参考になるはずです。

【谷川流著:涼宮ハルヒの憂鬱(シリーズ)】
超有名作のラノベですね。
主人公であるキョンの一人称ですので、キョンの考えていることは読者も解りますが、他の人物の心情は不明です。キョンと読者は、他人物の『言動』や『行動』を通して心情を(推察も含め)察することになります。もちろんヒロインに対しても例外ではありません。また、一人称ですのでキョンが存在しないシーンはありません。
つまり、ヒロインの心情は、ヒロインが発言するか行動するか、もしくは第三者からの発言や行動によって推察することになります。
本作を読んだ読者ですが、『ヒロインかつキーパーソンの涼宮ハルヒは、キョンのことを(自覚の有無は別として)異性として意識している』と読んでいるはずです。
これは、まず読んだ人ほぼ全員の共通認識になっているはずです。
シリーズを通して読んだ人は、長門に対しても(ニュアンスが難しいですが)キョンに普通以上の感情を持っていると読んでいるはずです。
物語のロジックが驚くほど上手く機能している点もありますが、エピソードの使い方が抜群に上手です。
参考になるはずです。

前回の補足を中心に書き込みさせて頂きましたが、
『理由を物語に落とし込む』
『理由ではなくエピソードの積み重ね』
これは本当にどちらでも良いと思うのです。
ですので、ここでは悩まずに、読者の予想を裏切る展開(できれば斜め上にぶっ飛ぶ)で悩んで欲しく思います。

ではでは執筆頑張って下さい。
応援いたします。

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