ガラスの仮面じゃあるまいし、いまどき"経験が足りないから恋愛しろ"なんていう人はいないでしょ。かりに恋愛経験があったとして個人の体験がどの程度の一般性を持つかだってわからないわけだし。
『恋愛を知っている』というのはリアルで恋愛の経験があるということじゃなくて、フィクションにおいて恋愛がどのように描かれるかを"知っている"っていう意味なんじゃないの? 恋愛要素が含まれる物語を一冊も読んだことがない人なんて創作界隈にはふつういないし、それは知ってる前提で話しても問題ないよね。
というかそもそもラノベにおける恋愛って、1.主人公(=読者)の承認欲求をみたす茶番か、もしくは2.キャラが事件に巻き込まれるための使い勝手のいい動機という程度のものなので、リアリティを真剣に考えてしまう時点でアプローチの方向を間違えているとも思う。生々しい恋愛それ自体をテーマにしたラノベって多分ほとんどないし、現実にありがちな恋愛ってたいていそんなにドラマチックなものでもないし。
恋愛要素をいれたほうがいいかどうかについては、まあないよりはあったほうがいい場合が多いよね、とは思う。ラノベって料理に例えると一品料理というよりはコース料理みたいなところがあるので、メインディッシュが美味しかったとしても「デザートないの?」みたいな空気感にはなりがちな気がする。