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タイトル:主人公が得た力を無意味にしたくないですの返信 投稿者: 手塚満

> 仮面ライダーではそういうことが多いです。

最近の仮面ライダーはご覧になってないのでしょうか。もしかして昭和ライダー見たイメージで語ってるとか。

書いてみたら長くなりましたんで、結論を先に申し上げますと「その仮面ライダーが『主人公が得た力を無意味にしたくないです』の好例です。参考になさるべき」となります。

仮面ライダージオウが先日最終回でして、説明するにはちょうどキリがいい。それ以前のも遡って、最強フォームが出ると、以前のものがお払い箱かどうか、ちょっと考えてみることにします。

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・仮面ライダージオウ(2018年~)
主人公(ソウゴ=仮面ライダージオウ)の究極の敵が未来の自分(オーマジオウ)ということで、最強フォームは未来の自分ということになってます。つまり、歳さえとれば最強になる。そのオーマジオウは無敵とされています。

が、そのオーマジオウが不幸な世界を作ったということで、主人公がその未来を避けようというドラマになります。平成ライダー20作記念ということで、過去のライダーが続々登場し、主人公は彼らからライダーの力を託され、バリエーションとして強化されていく。最後には平成全ライダーの力を集めたグランドジオウが最強形態です(オーマジオウ以前としては、ですが)。

しかし、グランドジオウに至る前に、トリニティというフォームを主人公が得ます。名前の通り、3人の力によってなされるフォームです。主人公以外のいわゆる2号ライダー(ゲイツ)、3号ライダー(ウォズ)の協力がある形態。

ラスボス・オーマジオウはずっと孤独な存在であったため、主人公がトリニティとなり、オーマジオウとかなり戦えるようになったことに驚きます。仲間の重要性を若い頃の自分に教えられたわけですね(※ その時点でオーマジオウの若い頃と、歴史的な変化が生じたことも示唆される)。そのトリニティを主人公に授けたのが、授けることと引き換えに自分が消滅する重要キャラ(白ウォズ)であったことも見逃せません。

TV本編のラストへの流れを決定したのは、最強形態だったはずのグランドジオウではなく、もっと前のトリニティであり、仲間の(生死を超えた)協力であるというわけです。

その後、オーマジオウではない実質的なラスボス(スウォルツ)を打倒するのは、グランドジオウからオーマジオウに進化した主人公なんですけれども、既にラスボスは敗勢にあったたため、主人公の真の最強形態(オーマジオウ)が強調されるわけではありません。

では、真の最強形態の本当に使い道はといえば、それまでの出来事を全てリセットしてやり直すこと。これは主人公自身の否定にもなっています(リセットされた世界では主人公に仮面ライダーだった記憶がない模様等で察せられる)。最強形態は最強形態を用済みにするために登場していたわけです。

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・仮面ライダービルド(2017年~)
敵味方の軍拡競争が強調された感のある作品です。敵の先行する戦力強化に、主人公側も必死に装備開発を行って追いついていく。確かに終盤までは最強フォーム以外は余興的になってしまっていて、しかも最強の入れ替わりが激しく、最強フォーム三日天下みたいなことになってました。

が、その流れに主人公側が駄目出しする流れになります。ラスボス(エボルト)が途方もなく強化されてしまい、(ジオウのオーマジオウと同様)、誰にも手出しできくなってしまう。

ただ、それはハードウエア的には、なんですね。武器の威力だけを見れば、ということです。ビルドでは中盤辺りからメンタル面の重要性が示唆されるようになります。悪意より善意、敵意より共感のほうがライダーを強くする、みたいなことです。それが終盤に入って効いてくるようになっていました。

それだけではなく、単なるフォームの強化にも駄目出しするエピソードが加わっていました。主人公のビルドは最強のジーニアス形態にまで高められるんだけど、謎の初期型ビルドが出て来て、主人公のジーニアスを退けてしまう。初期型ビルドの主は実は主人公の父親で、ライダービルドは父親に合わせて設計したため、主人公では使いこなせていないということでした。主人公が単にパワーだけに目がくらんでいたと示唆したわけです。

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・仮面ライダーエグゼイド(2016年~)
ゲームシステムがベースにありまして、コンピュータRPGで使う「レベル」の概念があり、レベルが高いほど強い。ドラゴンボールのスカウターで見る戦闘力みたいな感じですね。

レベルが上がるとフォームも代わり、以前の形態は不要になる。レベル99で最強というシステムだったのが、なにせゲームベースのこととて、チートしてレベル100とか出たりする。まさに強さのインフレーションでした。

ですが、最後の最後でそれを否定するのです。実は最低のレベル1でしかできないことがあり、それを使ってラスボスを完全打倒する。レベル1でできることは序盤で一応示されるんですが、(ストーリー進行により)すぐに使い道がなくなって序盤で既に忘れ去られたものになってました。

それを土壇場で持ち出したわけです。観ていて、「そうか、そうだった」と感心、感動する作りになってました。

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・仮面ライダーゴースト(2015年~)

この作品はちょっと特殊で、最強フォームが出ると以前のは、で語れない面があります。前作の仮面ライダードライブが一部、過酷なストーリ進行があり(2号ライダーによる実質的な父親殺し等)、反動で「頑張ればなんでもできる」「みんな助けられる」みたいな作風になったようです。

そのため、最強フォームが次々と出るんですが、敵より先行して強くなったりしまして、最強フォームの使いどころからして分からないような面もありました。

スレ主さんの疑問からすると、ジオウ~エグゼイド等とは違った意味で、最強フォームが出ると以前のは不要ということから外れているように思います。

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・仮面ライダードライブ(2014年~)
これも主人公の仮面ライダードライブは、敵(ロイミュードなるアンドロイドたち)を追っかけてどんどん強化されていきます。

が、主人公の当初目的(父親の濡れ衣を晴らす)は中盤で達成されてしまいます。依然として敵打倒する必要はあるんですが、キャラ的にはほぼ完成となる。

代わってドラマに魅力を与えているのがいわゆる2号ライダーなどの主要サブキャラです。ドライブに続いて登場したのが仮面ライダーマッハで、主人公の仕事パートナーであるヒロインの弟という設定。

ですが、実はラスボスがマッハの実の父親ということになってます(正確にはいったん死んで、機械としてよみがえった)。敵も父親が開発・製造したもの。その父親を最後に倒す(殺す)のが、マッハです。特にフォーム強化はありません。後述するチェイスの助力によるものです。

チェイスは3号ライダーというよりは0号ライダーで、ドライブ以前に開発されたプロトタイプということになっています。人間ではなくアンドロイドという特殊性がある。このチェイス、敵(ロイミュード)に改造・洗脳(プログラム改ざん)され、いったん魔進チェイサーなる強敵となるも、洗脳が解けて味方キャラの仮面ライダーチェイスとなる。

しかし上記のマッハから憎まれてるんですね。父親が作った敵と同類だということで。が、チェイスは機械であるだけに憎悪に憎悪で返すことがない。マッハも次第に態度を変えていきまして、ラスボスたる父親と対決するときはチェイスと共に、になります。主人公が中盤で解決したドラマより、重くて凄みのあるドラマです。

そして、チェイスはマッハをラスボスから庇っていったん倒れ、ライダーの能力も失われるんですが、魔進チェイサーとなって最後の力を振り絞ります。これもラスボスに退けられ、なかなか燃える展開でしたよ。マッハがチェイスの力をついで強化されるんですが、ラスボスを打倒し、チェイスの遺品で止めを刺してます。最強形態になったから以前のは不要、とは程遠い印象です。

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その前が仮面ライダー鎧武なんですが、主人公とヒロインが文字通りの神となる終盤ですんで、ライダーのフォームがどうこうなんてのはどっかに行っちゃってました。それ以前はきちんと視聴しておらず、詳しいところは分かりません。ラーダーマニアになると昭和ライダーから映像ソフト買い込んで見知ってたりするんですが、私は「長く受けてるシリーズって、どう作ってるのか」という疑問から見てますし、ファンであるわけでもない。

それでも上記くらいは分かります。主人公が最強形態を得たら、それ以前のは不要になるライダー物って、どうも心当たりがありません。

> 仮面ライダーではそういうことが多いです。

これは何をどう見て、そう思われたんでしょうか? そもそもライダー物を見たのでしょうか。見たとして、なんとなく眺めただけではなかったのでしょうか。そして、ネットなどの批評からなんとなくそう思い込んだんじゃないでしょうか。

ご質問を拝読して、そんな疑心暗鬼に陥りそうです。そういう邪推が生じますと、以前のご質問も同様ではなかったかという疑心がぬぐい切れません。そういうのがあるらしい、だけで嫌いと決め込んでしまった恐れがあるんじゃないかと。もちろん邪推は邪推でしかないことはよく分かってはおりますが。

しかしながら、最強形態以降も以前の形態を活かしたいとお考えでありながら、そこを実現しているライダー物に学べていないらしいのは、実にもったいないように思います。上記説明しました通り、最強形態に至る過程もずっと活用している作品群ですから。

ここで意見を求めるのも大事ですが、例に挙げるほど気になる作品でしたら、調べなおしてみてはいかがでしょう。なさりたいことについて、参考になる事例がいろいろ見つかるはずです。

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