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タイトル:陰キャの成長は陽キャとなることなのか?の返信 投稿者: 手塚満

1.陽キャは無条件に良いものか

単純に考えれば、陽キャだったら問題が生じないのに、陰キャであるから話が進まないわけで、陰キャの解消は最もシンプルで分かりやすい解決です。特に(御作と外れるかもしれませんが)、何かのきっかけで人間不信に陥り、陰キャに変わってしまったとしたら、再び近しい人を信頼し、結果的に陽キャに戻るのは、勝利条件として納得しやすい。

しかし、疑問を抱かれたわけですね。例えば、陰キャはダメキャラと決まったものなのかとか。確かにそれは一理あります。性格なんて裏表みたいなもんです。臆病と慎重は似ています。勇気と無謀も似ています。どんなときにどう性格を発揮したかで評価が分かれるだけで、元の性格自体は中立的な価値を持っています。

例えば、高校で1人だけ寡黙で、食事も1人でボッチ飯だとしたら、普通は好感度低いキャラとなりそうです。しかし、状況を「高校」→「禅寺」と変えたらどうなるか。ごく当たり前に良いキャラになるはずです。騒がしい陽キャはダメキャラになります。

例え普通の学校だとしても、キャラの流行り廃れはあります。涼宮ハルヒシリーズですと、無口キャラの長門有希は人気キャラでした。キョンのちょっとした一言で少し変わったりしただけで、ファンは騒然でした。長門有希が事実上主役の原作もあり、劇場版も作られました(「消失」)。

2.陰キャが好まれたこともある

ハルヒブームの頃に「陰キャは無口で嫌なキャラだよね」と言ったら、たぶん理解すらされないんじゃないでしょうか。陰キャはダメキャラ、というのは作られた流行でしかないと考えるべきです。要は現在の一時的なテンプレです。万古不変に「陰気はNG」「内向的はネガティブ」ということはありません。

ですので、スレ主さんなりに話を突き詰めていって、疑問が生じるのも当然です。陰キャは邪悪なわけではないですから。むしろ、陰キャではダメな理由を考えていくと、理不尽な思いがすることも多いはずです。なぜ陰キャをそんなに迫害する必要があるのか、みたいな感じですね。

3.陰キャ主人公の苦悩の原因は?

お考えのプロットは、もしかすると「陰キャ主人公が陽キャサブキャラの同調圧力にさらされて苦しんでいる。しかも最大の圧力は主人公本人からかかっている」かもしれません。

もちろん、主人公の意思ではありますんで、主人公が己が望む通りになる結末でもいいです。しかし同質化することによるハッピーエンドですよね。最近の流行はちょっと違って来てるんじゃないでしょうか。よく言われる多様化です。

みんな同じじゃなくてもいい。物静かな内向的人間でもいい、というのも流行に応じた結末の一つになり得るはずです。自分が陰キャであることを苦手に思っていたが、陰キャとして生きてきた自分を認められるようになった、でもいいはずです。必ずしも他のキャラから是認される必要もありません。主人公が納得し、読者が共感できれば成功です。

4.お示しの二案について

> 一 他と関連、比較させてみて、初めて自身の存在をとらえ、最下位という劣等感を克服しようとする、相対的な判断をする主人公 

これは言い換えれば、自分を測る尺度やプライドが自分の外にある状態といえます。独善に陥らないためにはこういう視点も必要です。しかし、下手をすると自尊心が他人依存になります。他人が認めてくれない限り、自信が得られない。

> 二 他と関連、比較などはせず、出会いを経てカースト最下位という自身の存在をとらえ、劣等感を持っている自分も自分だとする、絶対的な判断をする主人公

これは自分の中に尺度もプライドもある状態。他人を尊べない独善に陥る危険性をはらんでいます。その一方、悪口雑言の類には揺るぎにくい。信念を貫けるタイプでもあります。

話作りを進めて、陽キャに変わる結末がおかしいと思える方向性が出たとのことですから、二に落ち着くのが正道ではないかと思います。しかしそれでだけでは落差のある山場が作りにくいですね。

一だと、お考えのように方向的に真っ直ぐ上がっていく感じになりやすい。それはそれで悪くはない。そういう話で面白いのはたくさんありますから。方向が同じだとしても、挫折することもあるから、盛り下げの谷だってできる。主人公が目指すものが読者に分かりやすい利点も見逃せません。中高生ターゲットで考えると、学校的であるために分かりやすかったりする。与えられた課題をいかにうまくこなすかが学校でやってることですので。

二だと主人公に対してサブキャラ等が関わって来にくいですね。結末としては「もともとの自分を良しとする」ことになりそうです。一だと陰キャ→陽キャのひねりがあるのに、二ではそれが作れません。乗り越えずに戻って来る感じになる恐れもあります。要は、物語の転換とか山場が作りにくそうです。

そこで、最初は一を目指す主人公で始めてはどうかと思います。陽キャになろうと思い、ヒロイン等のサブキャラも力を貸す。陰キャのままなら馬鹿にできると思う悪役が邪魔もしてくる。

それでも主人公は頑張り続ける。ほとんど陽キャのように振舞えるようになった頃、例えば何らかの大事件が起こる。偽の陽キャゆえの失敗、とかです。そこまで、ときどき主人公が「これでいいのか?」と疑問を持ったりしてもいいかと思います。

で、主人公は選択を迫られる。あと一歩踏み出して陽キャとなるか、今までを踏まえての新たな陰キャとなるか、みたいな。

あくまでもざっくりした、この場での思い付きですので、とっかかりでしかなく、しかも不出来なサンプルとお受け取りください。要は一も二も長所も欠点もある魅力的なものですから、その二つの間で主人公(やサブキャラも)揺らしてやってはどうかということです。

主人公を揺らしているうちに、おそらく主人公自身がどちらかを選んでくれるはずです。作者が選んだ選択肢、特に結末を主人公に演じさせても、なかなかいい感じにはなりません。キャラが行動を選んでくれるようだと、自然な運びになりやすいようです。

(そのためには、実は主人公らのキャラ作りをしっかりやっておく必要があるし、話を作り込みながらキャラを深める必要もある。)

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