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タイトル:補足 投稿者: あまくさ

先の書き込みだけではご質問への答えになっているかどうか分からないので、補足を試みます。

例えば柔道を例にして考えてみます。一本背負いとか大外刈りとか、かなり細かい技名がありますよね。あれは技術を伝えるという必要性から、名前をつけるのはむしろ当然です。技でも物でも名前がないと会話ができません。

ただしこれは合理性を重視する現代ならではの話で、中・近世の柔術・剣術の場合は「道」という宗教に近い観念論や一子相伝的な慣習が強かったため、技名も「金翅鳥王剣」(実在したらしい)なんて感じだったり。しかしながら、それはそれで神韻縹渺とした技名がつく社会的な背景があったわけです。

次に、野球で考えてみます。
バッティングや守備にこれといった技名はありません。野球の打撃の技術は基本からそれほど大きく外れたものになりようがないので、一々こまかい技名なんてつけにくいし、つける必要もないのでしょう。
ただし、変化球にはフォークボールとかスライダーとか名前がつけられています。それらは一つ一つ個別の技術なので、名前が必要になります。でないと「ストレートを主体にフォークをまじえてピッチングを組み立てる」みたいな会話ができないわけです。
また「一本足打法」のように、その技術が世間の目を引くほど特徴的だったり、その技術の使い手にスター性がある場合には、特別仕立てな技名がつくことがあります。

では、ライダーキックとそこから派生したヒーローもの特有の技名はどうか?

これは先の書き込みで述べたように、リアリティではなく受けるための演出としてスタートしたものです。なぜそういうものがあるのかということは最初から考慮されていないので、冷静にみると不自然さがあるのは避けられません。
別にそれを否定しているわけではなく、エンタメにはそういう感覚も必要だと思っています。
ただ、多かれ少なかれ不自然さがつきまとうのは宿命のようなもの。そこを工夫する作者もいますが、敢えて憎まれ口を言えば不自然さに不自然さを上塗りするような結果になってしまうことが殆どです。

例として、技名ではありませんが、有人人間型戦闘用ロボットという日本アニメ独特の伝統芸。どうして人間型である必要があるのかという疑問を払拭しきれません。
不自然さを何とかしようという工夫としては、ガンダムの「モビルスーツ」はわりと秀逸だったとは思います。ロボットをそう言いかえるだけで、ファンタジー寄りのマジンガーZよりもかなりSFっぽくなりました。ただ、それでもビジュアル的にはマジンガーZの流れに強く影響を受けているように見えます。
こうした流れの最果てに位置すると思われるエヴァンゲリオンは、変容に変容を重ねて機械でさえなくなってしまいました。それでもマジンガーZ以来脈々と受け継がれてきたコクピット状の何かがちゃんとあったりしてね。作画的にはやっぱりマジンガーZの末裔と私には見えるし、実際あのアニメの設定やストーリーを知らない人はエヴァはロボットだと思っているんじゃないですか?

とか何とか言ってる一方で、現実世界の方に人間型ロボットは出現してしまいました。
実用面での若干の疑問に対し、例えば介護問題という社会的な要請がでてきました。また、災害などの対策。放射能事故という人間が近づけない決定的な要因を私たちは思い知らされ、かと言って瓦礫を乗り越えるというような場合に車輪は不適切です。なかば倒壊した建物に入るなどの必要性が生じる場合もあり、単一機能に限定された機械よりも様々な状況に柔軟に対応できる人間型の方が適しているのではないかという考え方が、実際に出てきているようです。

すみません、能力名から離れたことを長々と書きました。
何が言いたいかというと、不自然さをきらいリアリティをもとめるのなら、創作の世界で受け継がれてきた常識は一旦わきにおいた方がよいということです。

格闘系の技に名前がつく現実的な理由は、最初に書いた柔道と野球の例でだいたいカバーできているんじゃないかと思います。
技ではなく異能力の場合は、その能力が社会的に認知されているかどうかによるかと。もう一つは広い意味での「呪文」という要素ですね。
世間に知られた能力であれば、マスコミが勝手に名前を付けたり、誰かが言い出した名称がSNSなどで拡散するといったことが考えられます。
知られていない能力の場合は、妙にそれらしい名前があると不自然に思えるケースもありそうです。しかし「呪文」ならそれを唱えないと能力が発動できないという理由付けは比較的容易かと。

そこで注意しなければいけないのは、ジャンルにおいて知らず知らずのうちに確立している常識にとらわれないことです。それを捨てきれないと、いかに巧妙な理由付けを思いついても「こじつけ感」が残ってしまうことが多いと思います。

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