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タイトル:ファンタジー小説のキャラにも、ハリウッド映画のような有色人種枠、LGBT枠は必要?の返信 投稿者: 手塚満

結論から申せば、お考えのことは大切ではありますが、作者の意図次第です。以下、少し説明してみたいと思います。

1.米国フィクションの状況(ローカル)

米国映画・ドラマにおけるPC(ポリティカル・コレクトネス)は、日本とは事情の違う、必然的なものです。仮に米国内でドラマや映画で起こったような事件と経緯があったとして、白人ばかりが巻き込まれるというのは不自然です。

人口比率からいっても、黒人、ヒスパニック、中国系などのアジア系が全くいない確率はかなり低いでしょう。

昔ですと、実際の事件を題材にしても、黒人やアジア人の関係者を白人で置き換えたりしていました(ホワイト・ウォッシングなどと呼ばれる)。黒人役を出すにしても、白人が黒人メイクをして出演することも行われました。適当と思える黒人の役者がいるのに、です。

そりゃおかしいだろう、不自然だ、という声は当然起こってきます。映画、ドラマ等のフィクションでも、黒人、ヒスパニック、アジア人等が現実と同様に作品世界に登場することになります。それぞれの役柄もそれぞれの人種の役者が演じることにもなります。

2.日本との差異(ローカル)

翻って日本の状況はどうでしょうか。歴史的経緯により、東アジアの出身者は多いですが、見た目には日本出身と見分けはつきません。東アジア外からの移民はあまり多くない。必然的に、日本人か日本人的な人が多くなります。実際の事件を題材にしても、そういう人だけが関係者のことが大半です。

日本ないしは日本的な舞台のフィクションで、日本人的な容姿の人が大半であっても不自然ではないわけです。人種的マイノリティであっても米国では無視できない比率でも、日本ではもっと低い比率です。米国の人種的なPCとは状況が違います。日本が舞台であれば、人種的マイノリティが登場しても全く問題はないけれど、登場しなくても不自然ではなわけです。

3.LGBT(普遍的)

LGBTだと、ちょっと事情が違います。おそらくですが、どの国、地域でも一定数いて(2~9、4~8%等の推定がある)、無視できないレベルです。アメコミ原作のドラマですが、フラッシュやアローには、主要キャラにLやGが頻出している印象があります。

(個人的な印象ですが、それにより主要登場人物の男女比率を調整しているようにも見える。特に生死を共にするチームの結束に説得力を与えたりもしている。実際の事例では古代ギリシア・テーベの「神聖隊」はGカップルで構成され、国への忠誠だけでなく、恋人への愛情で勇猛果敢に戦ったそうです。)

ただ、主人公キャラはLGBTではありません。LGBTに理解がありますが、自身はそうではない。おそらく、恋愛を描くにあたって、制作側には手法が、観客・視聴者・読者側にはまだ知識が普及していないことがあるように思います。商業的には、マジョリティから感情移入してもらわないと売り上げに関わり、マジョリティはヘテロですからLGBT恋愛に感情移入は難しいこともありそうです。

これが日本で作るフィクションでも同じです。普通にいるわけですから、フィクションでも登場したほうが自然かもしれない。ですが、主人公やヒロイン等のメインキャラだと作劇が難しいわけです。サブキャラに担当させておくくらいが無難でしょうか。

小説読者としても、感情移入してくれる層は薄い(1割以下に減少する)。しかも、現実においては未だに難しい問題でもありますので、話を軽くしにくいでしょうし、作者に深い理解がないと間違った描写で誤解を広めることにもなりかねない。

4.まとめ

人種、LGBTのPCを反映させたいということ自体は志が高いといえます。問題は上記しましたように、

A. 日本においてのマイノリティ人口比率はどうか(自然さ)。
B. 作者に各マイノリティへの豊富な知識、深い理解があるか(作劇)。
C. マイノリティ描写に理解力がある読者数はどれくらいか(鑑賞)。

になるように思います。

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