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タイトル:クズ主人公の扱い方、あるいはその是非についての返信 投稿者: サタン

>それを冒頭シーンからやることには一抹の不安があります。
なぜ不安があるのか? と問えば、暗いシーンだからあるいはあまり面白くなさそうなシーンだから、と答えるのではないかと思います。
面白いと自信を持ってりゃ不安になる事はないでしょうから。

では、なぜそんな不安になるシーンを冒頭に置いてしまうのか、と考えると、これは
>その後の展開が主人公が成長して普通に格好いい人になる展開なだけに
とあるように、その成長のカタルシスを描くため、成功の前に失敗を書かなければならないという判断があるものと思います。

似たような作品を紐解くと、確かに冒頭ないし序盤のうちに主人公がダメな様子が書かれていることが多く、そもそもそれが成長する過程を書くのだから、ダメな様子が書かれているのは当たり前でしょう。
だから「最初にダメな様子を書く」という判断をする。
例えば、主人公がうじうじ苦悩する様子を延々と書いたり、家庭内が無茶苦茶になってる状況を丁寧に書いたり。
そういうのは、これから物語を楽しもうとする読者の姿勢を真正面から叩き壊すような冒頭になったりする。
だって、読者は主人公がウジウジする様子を読みたいわけじゃないもの。
相田さんは、自分の作品もそうなってやしないか、と不安になってるわけですよね。

これは、強いて言うなら描写に対する考え方の問題で、少し意識を変えるとまるっと解決します。
先ほど、「主人公がウジウジする様子を読みたいわけじゃない」と書きましたが、じゃあ読者は何を読みたいんでしょう?
言ってしまえば当たり前ですけど「物語を読みたい」んですよね。
「その様子」だけを書いても面白くないんですよ。
「物語」を書かなきゃ。

つまり、「クズな主人公の物語」を序盤に用意しなきゃいけないわけで、「クズな主人公の様子」を書いただけでは面白くないわけです。
さて。もう一度、似たような作品を手にとって、冒頭をよく読んでみて下さい。
短編か掌編規模の小さくまとまった物語がそこにはありませんか?
「ダメな主人公」をテーマにした一つの物語がそこにはあります。決して「ダメな様子を書いてるだけ」の冒頭ではありません。
「楽しもうとする読者の姿勢を叩き壊すような冒頭」は、ほぼ100%が「様子を書いてるだけ」の冒頭です。
ヒロインとキャッキャウフフして友人と漫才コメディーして、そういう楽しい雰囲気の物語であれば「様子」だけでも面白さはある(つまり雰囲気を楽しむ物語の場合)ので、でも、その調子でウジウジな主人公も「様子」だけを書いちゃうと上手くいかないわけです。
「様子」ってのはこれ、要するに「雰囲気しか書けてない」わけだから、「ウジウジ」や「クズ」「ダメ」といったシーンで同じ表現をするとマイナス方向の雰囲気しか表現できてないわけですね。そりゃ面白くないのも当然だわ。という感じ。

作者側から言う「描写」というのは、読者側からすれば「読み取る」という事です。
そして読者は「物語」を読みに来てるんだから、物語から「クズな主人公」が読み取れれば良いわけです。
別に「クズな様子」を書く必要はないわけですね。読み取れりゃいい。
つまり、物語で描写すると考えれば解決します。
そもそも作品自体が「作品全体でテーマを描写している」と言えるんだから、普段からみんなやってる事のハズなんだけど、物語の中の1要素の描写となると、割りと多くの人が説明で済ませたり「様子」を書くだけにしたりしてる。
この意識改革というか「物語で描写する」ということを覚えると、物語の内容で「読者にウケるだろうか」と悩むことの多くはスッキリ解決します。

何故かって、ホラーが嫌いな人はホラーを読まないでしょ。
冒頭がクズにしても、冒頭にまとまった物語があるんだから、その物語を読んでる時点で読者はクズな主人公を受け入れてます。
個人的に気に入らないなど個人差まで考えたらその限りではないけど、少なくとも新人賞などで「個人的な好み」の如何で作品を落とすようなことはありません。
そのうえで冒頭が受け入れられないのだとしたら、そりゃ単純に「クズ主人公の物語」として用意した冒頭の小物語の内容が面白くなかったというだけ。
「クズな主人公の冒頭」自体にはさほど問題はありません。

冒頭に盛り上がりそうもない不安なシーンを持ってくること自体は何も問題ありません。
しかし「様子」を書くだけのものでは難しく、物語で描写していくなど工夫が必要です。
また、
>現代のラノベにおいてクズ主人公は認められるか否か
実は昔からクズ主人公は一定の人気があります。
古いラノベで言うと「無責任艦長タイラー」ですかね。どことなく憎めないキャラですが。
ファンタジーでは「魔術士オーフェン」や「スレイヤーズ」は当時の主人公像を考えると主人公らしからぬ言動が多いです。
それらの影響があって今があるので、今からするとさほど強烈には思えないでしょうが。
漫画も考慮に入れれば、いつの時代も一定数はいます。
というのも「クズ」というのはわかりやすい「個性」だからですね。
そのなかでリゼロは「ライトノベル層に受け入れられるよう工夫・アレンジした」からこそ受け入れられたわけで、「そのキャラクター性が」というわけじゃないです。

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