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タイトル:ラブコメにドラマ性は必要なのかの返信 投稿者: 手塚満

書いてみたら多少長くなりまして、結論を先に申せば「読者の感想には無暗に反発せず、むしろ活かしましょう」ということになります。

1.大枠過ぎる疑問と細かすぎる選択肢

「ラブコメにドラマ性は必要なのでしょうか?」については、あまりにも大枠な問いで、「作者が決めること」であり「作品の作り方や狙い次第」と申し上げるしかありません。

かつ、そのような大枠な問いを立てておきながら、

A> 露骨にシリアスな展開を挟むと、ストレスに耐性のない読者様が離れてしまいそうな気がして
Z> やはり主人公とヒロインが好きあっている甘々展開だけではダメなのでしょうか?

と極端な2例の選択肢を作るのも不適切です。こんなの、物語を作っていて重大な分岐点に差し掛かって悩むような問題です。

2.しかし作者にはよくあること

しかし、ご質問文にお書きということは、自然とそういう発想が出たということではあるんでしょう。実はよくあるケースだったりします。それは「読者の感想に反発したくなる」という、作者ならたいていはある経験だからです。

もちろん誤読しておいて断定するとか、理不尽な感想ならそう思っても可です(程度問題で、「では誤読させない書き方はあったか?」とか考えてみるのも悪くなかったりする)。

が、どうもそういうケースではなさそうな印象をご質問文からは感じます。例えば、うまく否定することができないんだけど、受け入れたくないといった気持ち。ですが、作品も知らない他人に、それがどういうことは分かりません。

ただ、感想がなんとなく気に入らないときは、否定してしまうと損なことがよくあります。該当する作品を知らないですから、勝手ば想定で考えてみます。以下、具体化が恣意的ですから、大ハズレになるのは当然ですが、考え方の参考とお受け取りくださると幸いです。

3.「ストーリーの最序盤から主人公の全てを全肯定する高感度マックスの彼女がいるのは如何なものか」

これは「『彼女』はなぜ主人公全肯定&好感度マックスなのか?」という興味が読者に生じたということでしょう。「彼女」が主人公に強い好意がある、という点で目を引くのに成功している傍証となります。

そういうとき、読者は「なぜそこまで好きなんだ?」は気になることが多いし、可能性をいくつか考えてみたくなるものだし、いずれ作者に明かして欲しいと思うのもほぼ必然です。

読者の期待の表れはあったわけです。しかし一向に首ったけな理由や、なれそめとかが明かされないので、期待は不満として表明されます。

繰り返しですが、ストーリーに欠けたものに読者が気づいたということがあるわけです。しかもそこに面白さの可能性を感じてくれた。これはチャンスだったということになります。興味を持たれたら、その興味を活かした話作りができるわけですから。

4.「ヒロインが主人公を好んだ理由が”一目惚れ“だけではドラマ性が薄い」

リアルでもよくある一目惚れはたいてい理由がない直感らしいです。ただし、一目惚れでゴールインしたカップルの離婚率が有意に低いなど、割と正確に相性を察知できている面もあるそうで。

つまり、一目惚れするのは、既に自分の理想であり、相性のいいタイプが(無意識に)確立しているらしい、ということですね。その脳内イメージと、リアルの相手がマッチングすると一目惚れが発生する。

リアルですと、理由なしでOKです。アプローチするのに、条件を確認するなんて不要です。ですがフィクションです。偶然を必然のようにしないと、逆に不自然な感じがします。あるいは無雑作な話に感じる。

となると、一目惚れする前に何があったかは描写しておいたほうがよさそうです。それ以外に、一目惚れで交際スタートとして、直感との落差はどうなったのかも、読者の目を引き付けます。

これらはリアルでも、有名人の交際や結婚でのゴシップでネタにされることから、フィクションでも有効に使えそうです。

上記感想も、読者がその辺りを感じ取って期待した可能性があるわけです。上記を言い換えるなら、「一目惚れだけで済ますにはもったいない、こういうカップルのなれそめとか、面白そうなのに」となります。

5.「主人公がヒロイン達とイチャイチャしてるだけの甘ったるいストーリーではドラマ性がちっともない」

これについては「イチャイチャ」「甘ったるい」は現象論的なものに過ぎない可能性は低くありません。ときどきイチャイチャしない、ときどき甘ったるくないシーンがあればいいのか。たぶんそうではない。

これは、変化がないことが問題なのかもしれません。例えば、付き合いが深まる、逆に浅くなる、近づく、離れるといった揺らしが足りないとかの可能性があります。

同じテンションで話が続くと、読者としてはテンションが下がっていく感じがするのが普通です。しかしテンションを上げ続けるのは難しい。ですので、テンション1つにしても、緩めたり張ったりします。

あるいは性質を変化させる。「イチャイチャ」だとして、仲良いだけでもありません。痴話げんかも周囲からみたら「イチャイチャ」の印象を受けることはよくあります。あるいは、。ちょっと悲しくてたくさん嬉しいみたいに、ちょっとスパイスを利かせる。

6.のろけ話としての「賢者の贈り物」

例えば、行き違いなのに感動するのが、古典「賢者の贈り物」だったりします。夫は妻のために父の形見の懐中時計を売って、高価な櫛を買う。妻は長く美しい髪をしていたから。しかし妻はそれを知らずに自分の髪を売って、プラチナの鎖を買う。夫の大事な懐中時計に鎖がついてなかったから。どちらのプレゼントも表面的には無駄になってしまった。

プレゼントの本質を語る物語でもありますが、これも「イチャイチャ」の一種です。無駄でも妻も夫も喜ぶのは、結末を書かれずとも分かりますよね。ちょっぴり悲しいからこそ、幸せが際立っているとも言えます。

繰り返しですが、以上、スレ主さんのお悩みの具体的事例とは異なるとは思いつつ、例えばこんな受け取り方もあるということで、ご了承をお願いします。

7.読者の指摘・不満は作品分析ではない

読者の不満を別の面でも考えてみますと、例えば、読者の感想は直接的に作者に役立つものではないということがあります。読者が不満に思ったことは、仮にそれが欠点だとして、直接的に欠点を表すとは限りません。

例えば、あるシーンのある台詞が不自然だったとして、その台詞自体が悪いとは限りません。台詞を発生させる段取りが悪いということはよくあることです。

もちろん、読者の指摘が正しいとは限りません。これは読者が間違うということより、作品ターゲットではない読者の反応であることのほうが多いでしょう。その場合も、一応は「なぜターゲットでない読者を呼び込み、しかも最後まで読ませてしまったか」を考えるのは、作者的な収穫が期待できます。

感情的には反発したくなったものほど、収穫が期待できると考えたほうがよいと思われます。褒めてくれ、作者的にも「そうだよ、そういうことを書いたんだ」と思える感想は、筆力向上には寄与しないのが普通ですが、自信を与えてはくれます。

どちらも大切です。好意的な感想は苦も無く自分にしみこんで来ますから、反発したくなる感想は努めて身の肥やしにしてはどうかと思います。人気作家でもない限り、感想を貰えるなんてなかなかないわけですので。

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