聖トレロがアイルに下した診断は、「進行性呪因性石灰化症候群」並びに「心的外傷後ストレス障害(通称PTSD)」だった。
前者の進行ステージは「スタージャ・トレイ」。
つまり、進行ステージⅢ、末期症状の一歩手前だ。
「進行性呪因性石灰化症候群」とは、体が徐々に呪いに侵されて、石化していき、最終的には死に至るという難病だ。
余命は五年。
アイルにはそう多くの時間は残されていなかった。
石化自体を治す方法はあるという。
だが、解呪療法と投薬療法による複合療法のため、強い副作用があった。
余命が三年縮まるというのだ。
だが、「どうせ死ぬなら、どんなに短くても精一杯余生を楽しみたい」というアイル本人の強い希望から治療が行われることになった。