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タイトル:哲学書は小説の参考文献になりますか?の返信 投稿者: あまくさ

せっかくなので、ニーチェについての私見を少し。

>「神はもとから存在していない。神は人間が作り出した存在である。神がいないと言うことはすなわち、人間は死後、天国に行くことも、地獄に行くこともない。死後は虚無である。」

……というのがニーチェの思想なのかどうか、少し疑問です。これですと、ただの無神論ですよね?
ニーチェの生きた時代ならともかく、21世紀の現在、無神論は別に特異な思想ではありません。むしろ常識に近いでしょう。

まあ。
19世紀に無神論を考えたニーチェに先進性があると擁護する人が居るかもしれませんが、その考え方だと逆に言えばニーチェの哲学は21世紀には通用しない過去の遺物ということになってしまいます。

でも、そうなのかなと。

ニーチェの問題意識は、神が実在するかどうかなんて底の浅いことではないと思うんですよ。
それよりも一歩進んで、神を否定した先の地平を彼は考えています。もし神が居なければ、人間は「規範」を喪失してしまうのではないか。それをニーチェは問題視したのではないかと思います。すなわちニヒリズム(虚無主義)です。
これは21世紀であっても先鋭的な問いかけを我々に突き付けてくるのではないでしょうか?

つまりですね。
神を信じない21世紀の人間でも、たいていは人を殺すことは悪だと考えていると思います。
しかし、そんなこと誰が決めたの? という話です。
自然状態であらかじめ定められた絶対的な善悪なんて、本当に存在するの? ということ。

これは、ドストエフスキーの問題意識でもあります。
『罪と罰』の主人公は、人殺しは絶対悪ではないと考えたんですね。

神はいない。神はいないという前提で突き詰めて思索すれば、人殺しが悪である根源的な理由を発見することはできない。
よって人殺しは悪ではないと結論づけた主人公は、金貸しの老婆を殺害します。ところが殺人を実行した主人公は、その後徐々に自分がやってしまった行為の重圧に押しつぶされてしまうんです。

神にしろ道徳にしろ、外から与えられた「規範」にすぎません。しかしそれを捨て去った人間は、自分自身の意思と責任によって生きる道を模索しなければならなくなります。
「それってけっこうしんどいよね」というのが、ニーチェの思想なのだと思います。

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