本格SFとファンタジーは、読者の嗜好がかなり異なるのだと思います。
私見では本格SFの論理性や「疑似科学」性は、「嘘っぽくなさ」を演出するのが目的ではないと思うんですね。そうではなく、論理性にこだわることによって「思考実験」を愉しむことが好きなのだと思います。
その点ミステリと似ていて、読者が作品の設定に対してせっかく論理的に考察しているのに、辻褄の合わない展開を突然ぶつけられて演出で胡麻化されたら腹が立ちますよね?
しかしファンタジーを好む読者は、そういうことよりも日常生活を忘れさせてくれるようなムードに浸りたいのではないかと。理屈っぽさはむしろ雰囲気を損ないますから最初から興味がないんじゃないかと思いますよ。(読者としてのレベルが低いと言っているわけではなく、単に好みの違いの話です)
だからファンタジー、特にハイファンタジーにあっては、論理的な飛躍はむしろ世界観の広がりとして歓迎されるのではないでしょうか?
ただし、説得力を持たせることはやはり必要なわけで、そこに論理を使えないとなると、作者の直観的なセンスで乗り切るしかありません。
というわけなので、ハイファンタジーにはこうすれば優れた作品になるというセオリーはなく、一にも二にも作者の感性の勝負ということになります。
>これは一見、読者が作品から現実世界へと引き戻され、「嘘っぽくなさ」としても「形相」としてもマイナスの効果になると思うのですが、実際にはどのような効果を狙ったものでしょうか。
高級なフランス料理を食べる時に店の中がラーメン屋みたいだったら気分がでないでしょう?(フランス料理って高級なの? という突っ込みは禁止。笑)
ハイファンタジーのファンはムードに浸りたいので、そういった演出が気にならないんです。ただし、繰り返しますが演出のセンスが良くないと台無しになります。
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なお、上の文中、「本格SF」「ハイファンタジー」と書きました。
非本格SFはどちらかというとファンタジーに近いものが多々見られます。例えばスター・ウォーズって宇宙を舞台にした「剣と魔法」型のファンタジーと捉えた方がしっくりしませんか?
一方でローファンタジーは、現実寄りの土台作りも重視されるので、SF的な論理性がしっかりしている方が面白くなることが多いようです。