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タイトル:頭脳戦を書きたいの返信 投稿者: 手塚満

自分も頭悪いんで、天才やら頭脳戦とかは、書こうと思うと未だにビビります。苦手分野となりますんで、参考程度に受け取って頂けると幸いです。ただ、苦手分野ほど「うまい人はどうやっているのか?」と思うものでして、気の付く点も出てきます。

1.演繹より帰納

手塚治虫さんなどが言っている、物語作りの手法で「演繹と帰納」というのがあります。演繹は「こうなったら、どうなる」と時系列順に発想するものです。物語での現時点から、未来を予測し、選択していくわけですね。天才・頭脳的でないキャラですと、充分に使える手法です。

言い換えますと、天才・頭脳的なキャラだとやりにくい。先の読めなさが大事ですから。天才キャラが何かするごとに、疑問が生じ、続いて種明かしで「あ、そうか」となるような展開は時系列では発想しにくいものです(天才作者以外は)。

帰納は「こうなっているのは、こうだったからだ」と時系列を逆にたどる発想です。推理ドラマなら、例えば「現場のここに犯人の指紋が残っている」と犯人に事実を突きつけるラストを考えたとします。次に「なぜ指紋がそこにあったのか」を考え、犯人のミスを組み立てていくわけです。

この帰納なら何とかなるかもしれません。なにせ、結果ありきですから。見事な結末にたどり着くのはどうするか、ではなく、見事な結末前提でどうするか考えるなら、見事な結末自体は崩れません。

2.思考過程の圧縮

受験生のときに予備校講師にならった「賢そうに見える書き方」邪道の技があります。まず、きちんと論理を積み重ねる、平易で首尾一貫した文章を書いておきます。疑問に思うところがない、分かりやすい文章となります。が、それだけに普通の印象しか生じません。

その文章から、適当に文単位で削除します。論理が飛躍した、ちょっと考えながら読まないと意味が通じない文章となります。ですが、それが高確率で「賢そうな文章」に見えるわけです。

なぜなら、読み手は考えながら読まないと分からない。話のテンポは元より格段に速い。となりますと、「書き手は頭が良さそう、この文章もそれが現れている」と感じがちです。でも、元の文章から情報が減ったに過ぎません。少しも内容は良くなってない。

リアルで使うのは邪道です。が、フィクションなら有効です。緻密に考えた筋道(キャラの行動、言動)を、飛ばし飛ばしに手早く見せれば、キャラに思考力がありそうな印象にしやすい。要は過程を適当に省けばいいわけです。

3.マジックに習う

サタンさんが、詐欺の手口を研究するようお勧めで、自分も確かにと思うものがあります。類似ではマジック(手品、奇術)があります。マジックは詐欺から技術流用することもあります。ギャンブルでのトランプカードのすり替えは、カードマジックで使われたりしています。

マジック教本が多数あり、やり方も詳細に説明されていますね。なにせ実際にやってみる前提で書いてあるわけですから。いかに観客を騙して、あり得ないことが起こったかに見せかける技が満載です。種を知るとガッカリしがちなのがマジックですが、トリックを知るのが面白いのも事実でしょう。

この場の思い付きですが、マジックの応用で少しやってみます。サンプルですんで、面白みの足りない点はご容赦ください。

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 沈みゆく船で救命ボートを出そうしていた男は、逃げ遅れた最後の女に呼びかけた。ボート一艘しかなく、一人乗りだから、あなたが乗れと。しかし女は男が先だったからと、互いに相手が乗れと主張して譲らない。
 男はコインを取り出した。
「じゃあコイントスで決めよう。当てたほうがボートに乗る。それでいいよね?」
 男はコインを弾き上げ、手の甲でパチンとキャッチした。
「いいわ。表」
 男は急にしゃがみ込み、自分の右足の先を見つめる。女が不審そうに覗き込むと、男は言った。
「ほら、ここ! 表だったよ」
「落としたの?」
 男は頭を掻いた。
「いや、生まれて始めたやったから」
 女がボートに乗り込むのを見届けて、男は左足をどかした。裏を見せるコインがあった。
 予め床に置いていた二枚のコイン。表のは右足で踏んで、裏のは左足で隠していた。そして、手の甲にあったコインは、頭を掻くときに隠したのだった。
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 書いてみると、やっぱりつまらないですね。筆力が足りないせいですが、こういうトリックは手品教本に満載です。

4.凄いとか面白いと思える作風は実は苦手分野のことが多い

がっくりさせそうな話ですが、自分が思いつかないものは感心、感動しがちです。意外性が際立ちますからね。面白いと思ったらやりたくなるものではあるんですが、やれるようになるまでの道のりは長いと覚悟する必要があります。繰り返しですが、苦手だからこそ面白がれるわけです。

自分でも容易に思いつけることには、感銘を覚えません。それを命題として、対偶を取ると「感銘を覚えるならば、自分では思いつけない」からだとなります。真である命題の待遇は真です。

ただ、面白いと思えたことについて、モチベーションの効果は高いです。困難を乗り越えるだけに、やり遂げたときの感動も大きくなります。

それほど面白いとも思えなくても自分がやれることで読者に感動してもらうか、自分がやりたいと思ったことが茨の道でも進んでみるか、考えておくべきだろうと思います。

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