拝見しました。
想像ですが、詩乃丸さん(なにげにセンスの良いHNですね)は、おそらくアニメなどに親しんだ経験からストーリーの進め方のコツを感覚的にはつかんでいらっしゃるのだと思います。示していただいたストーリーは、確かに穴があるし起承転結のバランスが悪いですが、イメージ的には一応形になっているようでした。
例えば第1話6と17で咲姫と2回口論していますが、どうして衝突しているのか分かりませんでした。先に読み進んでも理由が書かれていません。
ただ一つ分かったのは、後半のストーリーが咲姫を救う展開になるんですね。そして、
第五話12
>守るべきものを見つけ、強くなることを誓う
とありますから、序盤では二人を衝突気味に描いておいた方が後半が際立つということはありそうです。つまりツンデレ型なんですね。
そういう関係性のキャラの場合、初登場シーンで咲姫がいきなり妙にクソ生意気な態度をとるとか、ちょっとしたことで急にキレて突っかかってくるとか、そんなふうに演出するものというイメージが有ることは有ります。
感覚的にコツをつかんでいらっしゃるようだと思ったのは、例えばそんな部分です。
もう一つあげるなら、第二話に登場する女妖怪。
一読したときは敵なのか味方なのかよく分からなかったのですが、このキャラは味方なんですね。おそらく瑞希の母をめぐって過去に何かあったのだと思われます。で、最初は穏やかだったのが、瑞希の素性を知った瞬間、顔色が変わってビンタしてくると。
咲姫にしろ女妖怪にしろ、アニメなどにわりとよく出てくるタイプのキャラで、初登場ではどんな感じ、先に進むとどういう動きをするかというテンプレができています。テンプレはテンプレでかまわないし、アニメやラノベはテンプレの組み合わせで作るものでもありますが、それだけだと前半は何とかなっても、後半まとめに向かわなければならない局面で破綻してきます。
提示されたあらすじは、起承転結で言うと、起・承の前半・転の10分の1くらい・結。そんな感じです。
このストーリーの重要な折り返し地点は、言うまでもなく第四話6です。ここまでは話を広げていけば良いのでテンプレを感覚的につないでいくだけでもできてしまうのですが、ここから先はさらに話を広げつつ、ストーリーの終着点に向かってすべての設定をまとめていくことが必要になります。そういうのはキャラや設定の関係性を作者がしっかり把握していないと作れないんですね。
ソースは私。
前半はイメージだけでもするする書けてしまうのだけれど、後半に至って立ち往生してしまうという経験が私にもあったりします。
なので。
打開する方法としては、キャラや設定の関係性を整理して考え直してみるといいです。
上でピックアップした刀・咲姫・主人公の母・女妖怪は、密接に関係している可能性が強いです。
まず、刀の謎、そして母の謎があります。
刀は最初から最後まで重要なアイテムになっていますよね。そして、妖怪達との戦いや融和をめぐり、母はどんな役割を演じ、なぜ居なくなったのかということがあります。
主人公が最初から刀を持っていたことを考えると、それはおそらく主人公の家に伝わる宝具のようなもので、母の素性や行動とも関連性があるのだろうと思われます。
咲姫は刀の守護霊ですから、当然強い関わりを持ちます。女妖怪も、主人公と母に対して強い屈託をいだいています。過去に何かあったのでしょう。
こう考えると、玲奈と鎌鼬はプロットの中心にあまり密接にからむ要素ではないんですね。玲奈は主人公のサポートしかしていないし、鎌鼬は物語にスペクタクルを与えるための悪役というポジション。
いや、それはそれでエンタメ・ストーリーには重要な存在ではあるのですが、置き換え可能なキャラだということです。むしろ玲奈と鎌鼬を無理に物語の核心にからめようとすると、話が混乱してしまうリスクもあります。この二人(?)は物語を華やかにしたり緊迫感を与えるための単純に魅力的なヒロイン、凄みのある悪役と位置づけておく方がいいかもしれません。
まず背景として、妖怪と人間の関係性は現状どういうものなのか? それに刀・咲姫・主人公の母あたりを軸として、設定を深めてみるのが一つの方法かなと思います。女妖怪は、本筋に密接には絡むけれど狂言回し程度の立ち位置としておくのがいいかも。
もう一つ、付言すると、「主人公、弱すぎない?」という感じがなきにしもあらず。終始、助けられてばかりですよね?
まあ、弱さを克服して咲姫を助けるために立ち上がるというのもありだとは思いますが。しかし、クライマックスにあたる第五話7・8・9でまだ学校の生徒達や女妖怪に助けられているのは一考した方がいいかもしれません。
あと、主人公が最終的に見つけた守るべきものが咲姫だとすると、ヒロイン玲奈とのバランスをどうとるのかも注意が必要かと。