迷える狼さんの投稿
今回の意見は、「主人公の設定について」です。
ラノベを中心としたメディアというのは、読者層からして主人公の年齢もそれに近くないと、色々と問題があるというのが一般的ですが、「バイオハザード」に代表されるパニックホラーの場合、逆に主人公が未成年だと、色々とまずい事があると思います。
とりあえず、例を挙げてみたいと思います。なお、ジャンルは問いません。
主な「バイオハザード シリーズ」より。
「クリス=レッドフィールド」
「ジル=ヴァレンタイン」
「レベッカ=チェンバース」
「クレア=レッドフィールド」
「レオン=S=ケネディ」
クリスは、ジルと同じ初代バイオの主人公で、25歳です。警察官(ラクーンポリスの特殊部隊STARS所属)ですが、空軍の経験もあります。
ジルは、クリス同様に初代の主人公の1人で、23歳。クリスの同僚で同じSTARSに所属する警察官ですが、特殊部隊グリーンベレーの経験もあります。
レベッカはクリスとジルの同僚で新米の18歳ですが、すでに大学の学士課程を優秀な成績で卒業しています。なお、18歳の彼女がいきなりSTARS所属になったのは、直接スカウトされた事によって、途中の行程(警察学校への入学や訓練期間など)を全てすっ飛ばしたからです。
レオンは2の主人公で、21歳。クリスらと違って普通の新米警察官です。
クレアはクリスの妹ですが、19歳の「ただの女子大生」です。ここは重要ですので、覚えておいて下さい。
「ディノクライシス&2」
「レジーナ」ある政府組織の構成員で23歳。
「ディラン=モートン」陸軍特殊部隊所属で26歳。
「サイレント ヒル」(コナミ)
主人公の「ハリー=メイソン」は32歳の執筆家で、戦闘経験などは皆無の一般人。
他にも「アイアム レジェンド」「プレデター」「28時間後」「28日後」など、ゾンビやモンスター、未知のクリーチャーなどによるパニックホラー系は多いですが、これらほとんどに共通しているのは、
「主人公は、分別のついた大人である。」
と言う事です。
私が不本意ながらも、時々やり玉に挙げているのは「学園黙示録」ですが、そうせざるを得ない理由が山の様にあるからです。比較しながら話をしたいと思います。
主に日本を舞台にした話で、未成年が主人公になれない理由ですが、まず1つ目。
「未成年は免許を持っていない。乗り物の運転技術が無い」
基本的に18歳未満は普通免許が無い為に自動車に乗れませんし、運転技術もありません。バイク程度は乗れるキャラも居ますが、自動車の運転は出来無い事が多いです。
学園黙示録でも、基本的にバスなどの自動車は教師などの大人が運転しています(なぜか、途中から主人公達も運転していますが……)。
2つ目は、
「銃器の扱いが出来無い」
これも、日本なら至極当たり前の話です。引き金を引けば誰でも撃てると思っていたら、大間違いです。
正しい手順を踏まないと、不発や暴発など事故の危険性があります(仮に、「安全装置はどこ?」と聞かれても、普通は答えられないと思います。それが当たり前です)。
学園黙示録では、仲間である「平野 コータ」が、夏休み中の短期留学で、元特殊部隊の軍人に師事していたと言う事で、拳銃やライフルを平気でぶっ放したり、工具を改造してハンドメイドガンにするなど、かなりのゴリ押しをしています(しかも、途中から主人公達も平気で銃器を扱う様になっています)。
次に、
「物語上で必要な専門知識が無い」
事です。例えば、
「何かの薬品が必要だが、それを作り出す方法を知らない。」
だったり、
「道路をふさいでる機械の操作方法を知らない」
などです。
そして4つ目ですが、これが最も重要です。
「理性的な判断や行動が出来る事」
です。
なぜなら、主人公を大人にしないと、何事にも未成熟な未成年の場合、自ら危険に飛び込んであっさり死んでしまい、そこでストーリーが終わってしまう危険があるからです。
それを防ぐ為には、いわゆる「主人公補正」「デウス・エクス・マキナ」などの神の手(と言う名のご都合主義)を使うしか無く、一瞬で白けさせてその作品の価値を貶めてしまいかねません。
学園黙示録でも、それらの手法はふんだんに使われており、いくら「奴ら」に囲まれたり、時には自分から奴らの群れに飛び込んでも、案外平気だったりします。
簡単に言うと、
「大人じゃないと、出来て当たり前の事が出来無かったり、知ってて当たり前の事を知らなかったり、冷静な判断が出来無い為に、生き残る事が出来無いから」
です。
ただし、ゲームの場合、実際にキャラクターを操作して行動するのはプレイヤーですので、その気になれば、
「5歳の幼稚園児にピストルを持たせてゾンビを銃殺」
なんて事も可能です(日本の警察官が貸与される「ニューナンブ」でしたら、子供でも持てるでしょう。小型ですが「デリンジャー」は反動が大きい為、子供では扱えません)。
なお、「バイオハザード2」において、警官であるレオンの制止を振り切って、クレアとサブキャラである「シェリー(8歳)」が好き勝手に行動する為、レオンが振り回されています。
さて、バイオ2のクレアは女子大生であり、特に何の訓練や経験もありませんが、兄のクリスから手ほどきを受けているという設定があります(しかし、いくら手ほどきをされたからって、ロケットランチャーやミニガンまで使えるのだろうか)。
一番良く解らないのは、「コードベロニカ」で登場したサブキャラの「スティーブ」ですが、銃器の扱いはもちろん、監獄島から脱出するのに輸送機を操縦したり、南極では雪上車を運転したりしています。しかも、年齢は17歳となっており、クレアよりも年下です(一体どこで覚えたと言うのか……)。
なお、彼の場合もキーアイテムである「ゴールドルガー」を持ち出すなど、クレアを振り回しています。
さて、ここまで来て「結局何が言いたいのか?」と思われるでしょうが、私が言いたいのは、
「大人が主人公では、本当にいけないのか?」
と言う事です。
最近では「GATE」という作品もありますし、「銀河英雄伝説」など、「戦い」や「戦争」が中心の物語では、主人公が未熟な子供や少年少女だと、まず生き残る事が出来ません。
「どこか隅っこでガクブルしていれば、勝手に助けが来る」
なんていう、甘い状況はやって来ないのです。
「主人公の成長が大事な要素である」事は認めますが、未熟なキャラクターが主人公では、成長する前に死亡してしまい、話が終わってしまいます。
また、主人公が大人だと、ヒロインも年齢が高くなると言いますが、銀河英雄伝説の場合、没時33歳の「ヤン」に対して「フレデリカ」が、結構な年下(7歳違い)です。
もっとも、この作品は登場キャラクター自体が大人であるので、あまり参考にはならないかも知れません(一応、「ユリアン」と「カリン」の例もありますが……)。
また、前述したGATEの場合、ヒロインは主人公よりかなりの年下(あるいは、そう見える)です。
つまりは、
「主人公の年齢に見合った内容の作品や、主人公が大人(や青年)じゃなければならない作品を書けば、それで良くは無いですか?」
という意見です。
長文すいませんでした。あと、間違いなどあれば遠慮無くご指摘いただきたいと思います。
2016/05/22(Sun)