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王道か邪道かの返信の返信の返信の返信(元記事)
恥ずかしながら異世界バトロワで調べたところそこそこヒットして、未開拓のジャンルじゃないのだと今知りました。
うおー!チート能力者同士でバトロワさせるとか凄すぎだろ発想力!とか舞い上がってました。
やっぱり邪道路線で行こうと思います。難しいだろうけど、単純にそっちの方が楽しそうなので。
王道か邪道かの返信の返信の返信の返信の返信
投稿者 大野知人 投稿日時: : 1
情報を要求しておきながら、返信遅れてすみません。
邪道路線に決めたとのことですが、折角なので少しばかり意見を書かせて頂きます。(邪道路線に反対、と言う意味ではありません)
何かの参考になれば幸いです。
①王道路線を書くとしての話。
一番のデメリットは質問者さんのご存じの通り、『インパクトに欠ける』点だと思います。一方で、『主人公周りのインパクトの薄さ』と言うのは、逆説的に『一話ごとの敵役のキャラを濃くしても、話がもたつかない』という事でもあります。
『こういうキャラ出したいんだけど、性格に難がありすぎてレギュラーには出来ないよなぁ』ってアイデアが浮かぶこと、ないでしょうか? 快楽殺人者であれ、部分的な人格破綻で致命的な問題を起こす人であれ。
そういう、『美味しいキャラだけど、狂人すぎて長く映すと読者が疲れる』キャラを出すことが出来るのも、王道路線の強みだと思います。
また、人間的成長と言う軸を入れられるので、『あそこでの経験がここで生きた』『感情を知った事で弱くなってしまった』みたいな、ありきたりですがわかりやすい展開をしやすいのも利点です。
テンプレ、と言うのは悪いことと受け入れられがちですが、決してそれだけではありません。
人間、『理解できない物を一気にまくしたてられる』とその時点で物語を読むのをやめてしまいます。ですが、『大筋は理解できるけど、その中に奇妙なキャラクター・尖った展開が散りばめられている』のであればどうでしょうか。それは『独特な個性』と呼べるものになります。
デメリットについてですが、質問者さんの描いておられることが大半だと思います。
②邪道路線を書くとしての話。
邪道路線、良いと思います。趣味だけで言うなら断然こちらを推したいです。
メリットとしては、どこまでも自由に物語を展開出来る事です。主人公の異常っぷりを書く以上、極端に言えば『バトロワを端から突き崩してもいい』し、逆に『全く何の問題も起こらずにバトロワが進行する』のでも、ある意味意外性があります。(大抵のデスゲーム物は、主人公がバトロワを崩しに行きますからね)
あるいは、『主人公の異常性を理解して、主人公を話術で操ろうとする他の異能力者』みたいなのが居てもいいかもしれません。
また、主人公の精神的成長に尺を裂かなくていい分、その空いたスペースにギャグシーンや日常パート、あるいはアクションを詰め込んでもいいでしょう。
『人間性を取り戻したように見せかけて、ヒロインを殺す』主人公としては、穏やかな日常や息の合った共闘を演じるシーンもまた、必要なのではないでしょうか。
また、この書き方は難しいことも多いですが、『主人公以外の視点を入れる』ことで主人公の異常さを際立たせる事も出来ます。
『大魔王が倒せない』というラノベがあるのですが、これなんかはストーリー
中ほぼ全部が主人公の大魔王以外の視点で進み、主人公の大魔王は『若干サイコなデウスエクスマキナ』と言う感じのキャラとして登場し、中盤から終盤にかけてすべてをぶっ壊していく、という感じのお話です。
今あげたのは極端にしても、主人公詐欺的に『途中で裏切られる側があたかも主人公であるかのように描く』と言うのもいいんじゃないかと思います。
邪道路線のデメリットを上げます。
まずは王道路線で挙げたメリットの裏返しなんですが、『主人公の異常性』を売りにして書く場合、他にキャラの濃い脇役を出しにくい点が挙げられると思います。というか、脇役を掘り下げすぎると『だったら主人公まで異常者な意味なくない?』ってなったり、『異常者の行動を別の異常者が理解した挙句のトンチキ展開』が連続してしまって、キャラ性を追い求めると読みづらくなります。
同様にテンプレが使い辛いのもデメリットでしょう。読者が常に意外性を求めてくることになりますから、ストーリーを作る上で常にいくつもの伏線や罠を張る必要があります。そういう意味では、無双もののような『最終的に裏切った主人公が全部かっさらう』みたいなテンプレを新しく作ってしまうのも手だとも思いますが。
デメリットにもメリットにもなる点として、『人間性が薄く、命令重視の人間』である以上は主人公の目的が見えづらいという所が重要だと思います。この見えづらいというのは、読者にとっても他の参加者にとってもです。
究極的には、『全参加者を殺した主人公が、願いを聞きに来た神に対して「次の命令を下さい」と答えて終わる』みたいな物語でも、良いと思うんです。(賛否出るでしょうが)
ただ、一方で表向きの嘘であっても『主人公の目的』が見えないと作中のキャラたちは警戒しますし、読者は『なんかわけわからん主人公だなぁ』と思いながら読み進めるので、結果的に裏切った時の意外性や衝撃が薄れます。
また、目的のなさはダイレクトにエピローグの描きにくさに直結すると思います。大抵のラノベの場合、『主人公が目的を再確認し、一歩踏み出す』とか『主人公が守るべき日常のありがたみを噛みしめる』、あるいは『主人公が倒すべき敵を見定める』みたいな形で終わると思うのですが、邪道路線の主人公の場合は前の二つがかなり書きづらく、三つ目は『暗殺者らし過ぎて意外性に欠ける』結果になるんじゃないかと思います。代替案を出せなくて申し訳ないのですが、新人賞に出す以上『続きもの』として終わらせる必要性が出てくるのでヒロインを裏切って殺してハイ終わり、とはいかないでしょう。
同様の重点として、『主人公が裏切るまでの、主人公の感情をどう描くか』も気にしたいですね。最初から裏切っていることが読者に見えては拍子抜けですし、かといってテンプレ通りの『段々人間性を取り戻していく主人公』の演技部分だけを読者に見せると、多分それはそれで『普通過ぎてつまらない』と言われそうです。
一方、創意工夫を盛り込む余地があるのも確かで、『人間性への理解が少しズレている』描写として、前半部分を徹底的にコメディチックにして終盤で突き落としても良いですし、『実はコイツは主人公っぽいだけの狂言回しなんじゃないか』と読者が思う程に、他キャラの描写を多くしても上手くいくかもしれません。
無感情系主人公がバイオレンスなことをする作品の参考資料としては『ヒマワリ:unUtopial World』というラノベの1・2巻がオススメです。全八巻なのですが、3巻以降スターシステムで作者の別作品のキャラが出たり、主人公が人間性を取り戻し始めるので、1・2巻だけ読む方が良いかもしれない。
『5年前に4万人近く殺したテロリストのリーダーが、不登校の女子高生として都内に潜伏している』というわけわからん状態から始まり、テロの被害者を更にボコるという凶行に及ぶ話なので、良かったら御一読。
以上。長文失礼しました。