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選んだ題材を、物語に必要不可欠な要素にする方法の返信

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選んだ題材を、物語に必要不可欠な要素にする方法(元記事)

自分の書いた小説を、友人や新人賞の下読みの方に読んでもらったところ
「選んだ題材が、他のものとすげ替えても成立してしまう」と言われてしまいました。
仮に題材が「天使(ヒロイン)と悪魔(主人公)」だったとすると、
「天使と人間」や「人間と人間でも」作品は十分成立してしまうそうなんです。
しかしその指摘を受けても、何をどう改善すればいいのかいまいちよく分かりませんでした。
というか捻くれた見方をすれば、どんな作品の題材でも他のもので成立してしまうのではないかと思っている自分もいます。
たとえば猫型ロボットの『ドラえもん』だって、犬型でもいいし、たぬき型だって成立はすると思うんです。
(もちろん、猫型でないと微妙につじつまが合わないこともあるとは思いますが)

なので、どのように人物や物語を書けば、題材を必要不可欠なものにできるのかを教えてもらえればと思います。
できれば、例のようなものを交えて説明してもらえるとたいへん助かります。
厚かましい質問でもうしわけないんですが、よろしくお願いします。

選んだ題材を、物語に必要不可欠な要素にする方法の返信

投稿者 手塚満 投稿日時: : 3

ご友人や下読みさんに「選んだ題材が、他のものとすげ替えても成立してしまう」と批評された作品を読まずに、どう回答できるか難しいものがあります。考えあぐねてしたら、既に複数の良回答が出てまして、以下は被るところ多々ですがご容赦をお願いしたいと思います。

まず、作者視点からすれば、天使と悪魔を、天使と人間、人間と悪魔等々、挿げ替えできるのは、実は当たり前です。古来から「換骨奪胎」という言葉すらあるほどですから。作者はできて当然、しかし読者にそう受け取られたら(挿げ替えできるんじゃね?)失敗なんです。

おそらく、ご友人、下読みさんは読者として、主人公、ヒロインのキャラの作り方に問題を感じたのではないでしょうか。よく言われる感想としては「キャラが立ってない」というものがあります。無個性とか、あまりにもテンプレ、あるいは作者の操り人形等々の失敗パターンがあります。

よくある事例をいくつか考えてみます。

――――――――――――――――――――――
1.キャラの特徴が肩書

キャラ設定が悪魔だとして、一応、本人から「地獄から来た」「千年前にはとある王国の王を堕落させ、国を滅ぼしたこともある」とか言う。だけど、舞台となる高校に普通に転向してきて、普通に友人付き合いを続けているとします。どこが悪魔なんだろう、となります。

あるいは、物凄く強い空手家主人公だとします。コンクリートの壁も蹴破れると自慢はするけど、一向にキックを披露しなかったら、単なる設定に堕します。

前者なら悪魔らしい行動も必要です。言葉巧みにそそのかす、のはちょっと難しいですが(悪魔レベルの知恵、話術が必要)、悪魔がターゲットの目を見つめると、ターゲットは魅了されるシーンとか入れればいい。後者なら、実際にコンクリートの壁を蹴破って現れるシーンがあればいい。

要はキャラに肩書(設定)を与えたら、肩書にふさわしい行動(シーン描写)を取らせる必要があるわけです。でないと、作者がキャラに与えたのは説明だけで、読者が感じるのはカタログスペックだけになってしまいます。それではキャラが立たず、「この主人公、誰でもいいじゃん」になりがちです。

2.キャラに強烈な個性がない

肩書とも関連するんですが、特徴的なポイントをキャラに与えてあるかどうかですね。アニメですと、例えば天使であれば、頭上に輪っかがあり、背中に羽根があって、ときどき飛んでいれば天使っぽいと感じさせることは可能でしょう。

しかし文章作品です。たとえ「頭上の輪を輝かせ、背中の羽で優雅に飛んでいる」と書いたところで、言葉という記号に過ぎません。絵やその動きをイメージするのは読者です。作画、動画化、演出等々の映像・音声に関わる部分は読者が脳内で再現します。読者に任せる部分で強烈な特徴、個性を出すことは至難と考えておくのが無難です。

しかし絵ではできず、文章でやりやすいのはキャラの内面です。アニメですと、天使が主人公を心配しているとして、例えば椅子に座って心配そうな顔をしているくらいしかできません(内心台詞という手はあるが、ウザくなりがち)。

文章なら内面をダイレクトに書けます。主人公をどう心配するか。そこにキャラ特徴、個性を出せます。主人公が弱いと思って心配するか、あるいは主人公が戦う敵の強さを恐れるか、はたまた主人公との死別か。死別を心配するとして、絶対に嫌なのか、覚悟はあるがその後の悲しさか、いろいろあるはずです。

そうしたことを描かず、例えば浅く「心配だ心配だ」とだけ言っているようでは、いくらでも替えが利くキャラになってしまいます。このキャラならこう思うはずだという段取りを描写しておき、イベント発生でその通り(読者の期待通り)にする、あるいは逆にして意外性を出す、といった工夫が必要なわけです。

3.天使と悪魔の対立性と人間との差異

これも個性、特徴などと関係しますが、相対的な面についてです。仮に天上世界でストーリーが終始すると、天使しかいません。天使がどうして天使なのか描きにくいのです。なぜなら、「普通」という判断の基準を示すべきキャラが天使しかいないから。善人だけがいる村、とかと差異が出せません。

天使がいるなら悪魔もいるべきであるわけです。悪魔は悪行を行い、天使は善行を尊ぶ。悪魔の行いを天使は邪魔し、逆に天使が何かしようとすれば悪魔がちょっかいかける。これで天使と悪魔の違いは出ます。

ですが、まだ足りません。天使と悪魔しかいないなら、読者はどちらかを価値・判断の基準とするでしょう。すると、天使と人間(相対的に人間が悪)、人間と悪魔(相対的に人間が善)と差異が出しにくくなります。これもキャラの置き換えが利いてしまう原因となります。

ですので、人間キャラも登場してもらう。読者人間ですから、人間キャラが出てきたら、そのキャラを基準にしやすいはずです。すると善と悪との中立ポイントが分かり、天使がいかに善か、悪魔がいかに悪かが分かりやすくなります。すると、キャラの入れ替えも用意ではない感じが出て、キャラの立ち位置が安定します。

4.キャラに変化がない、ないしはキャラが(ご都合主義的に)いかようにも変化してしまう

キャラ設定を決めたら、その設定をいかに見せるかは工夫したくなります。ですが、例えば悪魔キャラを描いていて、選択肢が出る状況だったら常に悪の道を選ぶとしたら、単調になります。キャラが機械的といってもいいでしょう。

機械的な反応するだけなら、キャラに魅力は生じにくくなります。やはり迷い、ブレも入れておきたいところです。その迷い、ブレでキャラに特徴ができ、個性が生じて、他のキャラで代用することができにくくなります。

これとは逆に操り人形と呼ばれるタイプのキャラも替えが利く感じがつきまといます。例えば、作者が進めたいストーリーのためだけに行動し、作者が言いたいことだけを代弁してしまうようなキャラです。作者がそのキャラの皮をかぶっているだけなので、皮の部分は替えが利いてしまいます。そのため、そのキャラならではの魅力が生じにくい。
――――――――――――――――――――――

例を挙げだすとキリがないですから、これくらいにしておきます。替えが利くと批評された題材が、必ずしもキャラだけとは限りませんし。

いろいろ原因例をあげてみましたが、実は最も気になるのが「スレ主さんの考察が浅くないか?」ということです。

例えばドラえもんについては、確かに犬型やタヌキ型ロボットで換骨奪胎できるでしょう。しかし、ドラえもんの作品でドラえもんを犬型ロボットにデザインしなおして、自然かどうかは疑問です。

例えば、ドラえもんの初登場は「引き出しの中から出てくる」です。タイムマシンがそこにあるからですね。引き出しの中からひょっこり出てくるって、狭いところが好きな猫的な演出です。

犬でイメージするのは主人に忠実ということです。主人公の言いつけを守る。ですが、ドラえもんはのび太の性根を叩き直すために未来から来ています。行動原理が逆であるわけです。一方、猫は勝手に動き回り、飼い主が後を追うように世話をします。飼い主が気に入らないことをすると、猫は引っかいたりします。ドラえもんが(当初)やろうとしていることと似ていなくもありません。

こう申し上げると、こじつけに聞こえると思います。実際、こじつけです。ですが、スレ主さんが仰る「犬型でもいいし、たぬき型だって成立はする」と同レベルでもあります。

スレ主さんは「指摘を受けても、何をどう改善すればいいのかいまいちよく分かりませんでした」と仰ってますね。それは、もしかすると批評に対し、(おそらく無意識に)反対材料を探してしまっているからではないでしょうか。

批評を受け入れる、受け入れないは別として、ご友人や下読みさんがどうして「選んだ題材が、他のものとすげ替えても成立してしまう」という難点があると感じたのか、その人の思考、気持ちに沿ってシミュレートするべきではないかと思います。

言い換えれば、「仮に批評が正しいとすれば、原因はここだろうか」という仮説を立てて検証すべきということです。結果、批評が間違いと判断したなら、それでいいでしょう。逆に部分的には正しいと分かったら、収穫です。改稿や次作に活かせます。

以上、当該作品を知らずに、あくまでも可能性の1つとして模索、説明してみました。大ハズレの可能性も高いですので、その場合はご容赦をお願いします。

カテゴリー : 文章・描写 スレッド: 選んだ題材を、物語に必要不可欠な要素にする方法

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