横やり失礼します
元記事を読む
「何」という文字の使い方についての返信(元記事)
使い分けのルールというか、基準はあるのですが、心得ている方が少ないのだと思います。かくいう私もあやふやですが。笑
こちらの記事など参考になるかと思います。
幻冬舎のコラムです。
https://www.gentosha-book.com/method/novel/hiragana-kanji/
横やり失礼します
投稿者 あまくさ 投稿日時: : 0
横やり、失礼します。
リンク先、読んできました。こういうサイトがあったんですね。内容は私も知らなかったことも多々あり、参考になりました。横やりですが、教えていただいてありがとうございます。
ところで。
リンク先が例示していた「基準」ですが、どちらかと言うと公用文・ビジネス文では気をつけた方がよいというものが多く、小説の場合はあまりああいうのにはこだわらない方がよいと思いますよ。
顕著な例としては最後の方に、
(引用始め)
また、モラルの問題から漢字の使用を控えるべき言葉もあります。
<例>
障害=障がい
子供=子ども
(引用ここまで)
と書かれていました。これは害・供が差別的だと言いたいんですね。しかし、こういう理由で「子供」より「子ども」を推奨するというのは、小説ではそぐわないでしょう。
また、もっと文法的な案件にしても。
(引用始め)
下さい ⇔ ください
この二つは、明確に用法が異なるので注意が必要です。
あるものを要求するときには「下さい」、ある動作を促すときには「ください」を使います。
つまり「水を下さい」と「水を売ってください」の違いです。
漢字・かな表記のどちらも使用できますが、一方は誤りになると言えます。
(引用ここまで)
これはね。
「売ってください」の「ください」は補助動詞と言って、独立して意味を持ちません。この場合は「売ってくれ」を丁寧表現にしているのですが、補助動詞には他にも「風が吹いている」の「いる」などもあります。一方、「水を下さい」の「下さい」は独立して成立する動詞(くれの丁寧語)ですから、意味と用法が明確に違うのはたしかです。
ただし。
だからと言って、補助動詞の場合だけ「ください」と平仮名で書くのが正しいというのは、合理的な理由があるのか無いのかはっきりしません。「風が吹いている」を「居る」は何かが居るわけではないので漢字で書かない方が良いというのはわかりますが、「水を下さい」の「下」には「あげる」「もらう」という意味がそもそも無いですよね? 下と書くのはおそらくへりくだった意味を持たせたいからなので、だったら補助動詞の方の「ください」と機能的には同じということになってしまいます。
すなわち、この例は文法的に違うのは確かなのですが、漢字の当て方については合理性があるとは考えられないんですよ。
これはおそらく、二つの「ください」が紛らわしいので「じゃあ、区別するために片方だけ漢字を使わないのが正式とすると都合がいいんじゃね?」と比較的現代に近い時代の誰かが考えたのだろうと思われます(文部省? 知らんけど)。きわめてお役所的な発想です。
小説を書くのなら、漢字と平仮名の使い分けは「読みやすさ」に重点をおいて考えるべきです。
平仮名を多めにすると文章が平易でやわらかい印象になりますが、あまり平仮名ばかりだと区切りがわかりづらく読みにくくなります。それと漢字は表意文字と言ってそれ自体に意味を含んでいるので(象形文字が変化したのが漢字)、ぱっと見て意味がわかりやすいという特徴もあるんですね。
なので、平仮名続きの文章にアクセントをつけ、速読がしやすくなるなどの効果が漢字にはあるんですよ。
漢字・平仮名は使い方によってリーダビリティをかなり左右するものなので、小説の文章の場合は「何が正しいか」ではなく「どうすれば読みやすいか」あるいは「表現したい雰囲気に近いか」を考慮して、文章センスで選択するべきです
カテゴリー : 文章・描写 スレッド: 「何」という文字の使い方について