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ホラーについて ほんとうにこわいものの返信

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ホラーについて ほんとうにこわいもの(元記事)

ホラーに興味があるんですが、ホラー小説とはどんなものかと言う概念はある時を境にずいぶん変わったと思います。
こう言うとあまりにありきたりと思われるかもしれませんが、特に関東より北に住んでいる人なら、東日本大震災です。関西より南なら、それより前の阪神淡路大震災かもしれません。
ホラーというのはそれまで、ある種の約束事の上にできあがっている世界でした。慣れた人なら、その約束事のキーワードが出てくれば、『アレだ』と気づき、そして怖がる準備が始まります。恐怖感を盛り上げてくれるわけです。
ホラーという分野は、人生における本当に怖いことを描いているわけではなく、怖いと思う気持ちを盛り上げてくれるものであって、高度に洗練された記号学みたいなところがありました。作家と読者のあうんの呼吸と言い換えてもいいでしょう。
でもこういった約束事の根本には、人間のほとんどは本当の恐怖を知らないという前提があります。皆がそれをはっきり認識できない、恐怖感はふわっとしたつかみ所のないもので、それを小説の言葉が具現化するのです。人は初めてそこで、恐怖の形をイメージできる。でもそれが正しく恐怖を描いているかどうかは、実は読者は認識できていないのです。怖いとは感じるが、本当に怖いのかどうかはわからない。
でも恐怖を楽しむことはできた。
でも震災の時、それを体験した人だけでなく、その存在を知った日本人のほとんどが、本当の恐怖が何であるのか知ってしまったんだと思います。本当の恐怖は予告もなく表れ、約束事もなくすべてを奪っていく。死ぬことと死なないことの境界は約束されたストーリーではなく、単なる偶然に過ぎません。それを知ってしまうと、ホラー小説の前提が崩れてしまうのだと思います。実際震災以降一定期間、ホラー分野の小説や映画がさっぱり売れなくなりました。みんな作り物の匂いが鼻についてしまったからです。今はそれほどでもないですが、それでも、恐怖の約束事は変わったように思います。一般小説でも震災後は震災前とは違ってしまったところがありますが、ホラーは顕著だと思います。
そういう意味では、これからのホラーは新しい形が必要になるでしょう。でもそれがホラー小説として洗練された作品に昇華するかどうかはわかりませんが。

ホラーについて ほんとうにこわいものの返信

投稿者 にわとり 投稿日時: : 0

 当時は津波や土砂崩れの心配がない場所にいたので、揺れは怖いっちゃ怖いけど命の危険は全く感じなかったし、後日ニュースの映像を見ても第一印象は「出来の悪いディザスタームービーみたいだな」って感じだった。被災地で起こってることがあんまりにもあんまりなので、却って悪い冗談みたいに感じたっけ。
 被害は痛ましいと思うけど、別に自分は震災前後でなにか生活が変わったってこともなかったので特別な恐怖感はなかったな。通り魔とか過労死とか虐待死とか海外の銃乱射のニュースを見て怖いなと思うのと同程度の経験のひとつでしかないですね、自分にとっては。大半の日本人も似たようなものなんじゃないかと思う。
 一方で震災がなくても日々命にかかわる怖いことはたくさん起こっていて、新聞の三面記事を読んでいればいくらでもそういう出来事を知ることができるわけです。震災ってそんなにわれわれにとって特別な体験だったのかな。ちょっと、かなり疑問です。

 ふと連想したのだけれど、社会に大きなインパクトを与えた出来事がジャンルの盛衰を決めたっていうロジックは、笠井潔の大量死理論(第一次世界大戦で"大量の無意味な死"を経験した社会が、その反動としてたった一つの特別な死を描く探偵小説の流行を生んだとする主張)と相似だなあ。大量死理論も辻褄は合うかもしれないけど証拠がないって批判されてたし、そういう意味でも似てる。

 ちなみに被災した人はホラーを忌避するようになったのかと言うと、むしろ被災地に特有の怪談が流布しているという研究( https://www.huffingtonpost.jp/2016/03/07/yuka-kudo_n_9398868.html )があったりする。身近で人がたくさん死ぬと、生と死の境界が曖昧になるというか、死者が身近に思えてくるみたいなことはあるのかもしれない。

>そういう意味では、これからのホラーは新しい形が必要になるでしょう。

 ホラーの新しい形、ねえ……。なんとなく、あなたが求めている新しい形のホラーって実話怪談系のホラーとしてすでに結実してるんじゃないのかなという気がする。説話的なオチとか因果応報があるわけじゃなくて、体験者の目線で超常的な怖い現象に遭遇するのだけれど、意味は最後までわからないタイプの作品群。理解不能で通り魔的、災害的な怪異のイメージ。まさに『本当の恐怖は予告もなく表れ、約束事もなくすべてを奪っていく。死ぬことと死なないことの境界は約束されたストーリーではなく、単なる偶然に過ぎ』ないという現実認識を創作に落とし込んでできたもの、という感じがします。この手のジャンルは90年台からあるけど、『恐怖の約束事は変わったように思います』というのが正しければ、今後さらに幅を利かせるようになるのかも。

カテゴリー : ストーリー スレッド: ホラーについて ほんとうにこわいもの

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