小説の創作相談掲示板:小説の書き方Q&A。執筆の悩み相談をしよう!

文章から音楽を連想させるにはの返信

元記事を読む

文章から音楽を連想させるには(元記事)

絵画を連想させる文章が書きたい場合、男が立っていて、鳩が顔を隠している、という風に、絵に描かれた状況を書けば、やりようによってはその状況が「前衛絵画を見ているように感じ」させることができると思います。
しかしながら、音楽はどうでしょうか。
テーマソングを文体と対応させればそれを弄ることで音楽らしさは出せるかもしれませんが、そこから音楽を連想するかというと違う気がします。
例えばドビュッシーの音楽を表現したいとして、不協和音をどう表現するのか、スケールはどうか、というようなことは、どのように表現すれば良いでしょうか。

三島由紀夫は肉体の動きは文章で表せないというようなことを言っていましたが、現に官能小説のようなものがあるので、結局のところ「書けないもの」と言われているものも語彙からの連想で補えるのではないかと思わないでもありません。

文章から音楽を連想させるにはの返信

投稿者 手塚満 投稿日時: : 0

音楽そのものを言葉でどう表現するかは、プロ作家でも苦労しているようです。まるで聞こえるように言葉で表現できるとしても、実際に聞くのに及ぶべくもないわけですから、当たり前かもしれません。

ネット記事ですが、音楽を上手く表現しているとして、引用して紹介しているものがあったりします。例えば以下。

・音楽が聴こえてくる小説たち。その一
https://shimirubon.jp/columns/1679382

・音楽が聴こえてくる小説たち。その2(上記の記事の続き)
https://shimirubon.jp/columns/1680429

記事執筆者個人の選ではありますが、確かに工夫があり、優れた表現になっているように思います。ですが、個人的には退屈な文章でもあります。既に申したように、音楽は実際に聞いてナンボのモンですから。いちいち説明されたってなあという感じです。

ラノベはキャラ小説だとよく言われているようです。個人的にも、確かにそうだと思います。登場人物を通して見える時代や世界に感動するのではなく、逆にその時代・世界の中でキャラがどうするかで感動するものが多いんじゃないかと思います。

キャラ重視で音楽をどうするか、という問題に絞ったほうがよさそうです。ということは、音楽を聞いた視点キャラ(一人称主人公、三人称視点キャラだけでなく、三人称の地の文語り手も含む)がどう感じるか、思うかが大事になってきます。

これには既に読者が視点キャラに感情移入できていることが必要です。冒頭ではなかなか難しい。冒頭で音楽シーンを入れるとしたら、作中のキャラではなく、読者本人がどう感じるかを考えての音楽シーンが必要でしょう。

しかし、そもそも音楽を言葉で表現するのは難しいという話なのでした。主人公に感情移入するとしても、どういう音楽を聞いたらどう思うか、感じるかにも感情移入ができるか。となると、堂々巡りです。

となると、読者本人がどう感じるかを重視すべきということになります。それなら、まず第一に作者本人の経験に基づくべきとなります。内面まで見える、感じられるのは自分だけですから。親しい友人が音楽を聴いて興奮し、詳しく感想を言ってくれたとしても、自分の中にあるものから、友人の気持ちを類推しているわけですので。

人が音楽を聴くといっても、その内面だけでも、いろんなケース、状況があります。自分を例に取りまして、私が音楽を聴く場合、大別すると2通りのケースがあります。

――――――――――――――――――――――――――――
1.音楽そのものを聴いている

スレ主さんがお挙げの曲はクラシックのようですね。クラシックですと、私も音だけが目的で聴いています。特に聴き入りときは目を閉じることもあります。

ある種の感情は掻き立てられるわけなんですけれども、言い表しがたい感じです。これは当たり前かもしれません。イラストなんかですと、R18指定とか、グロ警告があったりします。音楽でR18やグロをやれるか。無理だと思います。音楽は明瞭、具体的に何かを表すのは無理でしょう。

つまり、感情は掻き立てるんだけど、具体性を欠いているわけですね。例えばホルスト「惑星」の「火星、戦争(戦い)をもたらす者」ですと、圧倒的に迫るものがありますが、何が迫って来るかは分からない、あるいは、そのときのイメージ次第です。
(前に、遊びに来た近所の3歳児に「火星」を聞かせたら、怖がって泣き出したことがあります。「火星」は本能的な何かに触れるものがあるのかもしれません。)

「火星」を聴いている描写を工夫するとして、例えば技法的には正しい「弦を弓で引くことで得られる力強い響きが」と書いたとして、迫力が上手く読者に伝わるとは思えません。むしろリスナーの感覚を主体に、身体感覚であれば「まるでロードローラに押しつぶされるような」とか、視覚的ならば「足並みをそろえ、地響きを立てて押し寄せる大軍勢」などのほうが、まだ伝わる気がします。

2.音楽が記憶のトリガーになる

私はAKB48系列は聴かないんですけれども、ファンは多いですね。ファンがAKB48の歌だけを聴いているとしても、脳内イメージとしてはAKB48のパフォーマンスや、メンバーのことを思い浮かべているケースがほとんどじゃないかと思います。

過去の経験の追体験であり、蓄積された快いイメージに浸っているわけです。つまり、楽曲がパフォーマンスやルックス、好きな気持ちを掻き立てるツールになっているということですね(そのため、知らない人、関心がない人には響きにくい)。

これを言葉で表現するとしたら、歌手や演奏者のパフォーマンス的な視覚表現が主体になると思います。冒頭で示しましたリンク先での表現引用でも、熱の入った演奏者の様子を描写したものがあります。1の場合とは違い、歌手・演奏者が読者に見えたら、音はほぼ自動的についてきます。

となりますと小説中で、現実には存在しないしない歌手・演奏者・バンドが見えて、聴こえるようにするためには、歌手・演奏者・バンドが具体的にイメージできるよう、事前に描写しておく段取りが必要になります(簡単に済ますには、作中世界観次第ですが、例えば「まるでAKB○○のような」でも可)。
――――――――――――――――――――――――――――

上記以外もあるんですが割愛しまして。いずれにしても、音楽そのものの客観表現を追求しても、少なくともラノベではメリットが少ないということです。音楽を表すに、言葉は音に勝てません。だから、音楽を聴いているキャラを描写すべきということです。

これは、例えばキャラの見た目描写にも通底するものです。ヒロインの美しさを表現しようと、長い髪の艶とか、透き通るような肌とか、輝く瞳とか、言葉を連ねても特徴でしかありません。そのヒロインを見る視点主人公の情動(や他のキャラの反応)を描いて、はじめてヒロインの美が読者に認識可能になります。

我々は言葉という記号しか使えず、五感や情動は読者が記号を解釈して再現するということを、常に意識しておく必要があるように思います。

カテゴリー : 文章・描写 スレッド: 文章から音楽を連想させるには

返信する!
コメントは4500文字以内。

「私はロボットではありません」にチェックを入れてください。

トップページへ ページの先頭へ

「文章から音楽を連想させるには」の返信一覧

他の相談一覧

書きたい話があるんです。

投稿者 tourdion 回答数 : 15

投稿日時:

初めまして。ちょっと相談したいことがあります。ここの利用者の方で、書きたい話があるから創作を始めたという方はいらっしゃいますでしょう... 続きを読む >>

「何」という文字の使い方について

投稿者 ベン・ウィラード 回答数 : 4

投稿日時:

 こんにちは、皆様お久しぶりです。以前は多くのアドバイスをお寄せくださり、まことにありがとうございます。  さて、今回は「何」とい... 続きを読む >>

書き始めるページ量

投稿者 まろひこ 回答数 : 5

投稿日時:

はじめまして。 私は、人生で一度も小説を完成させたことがありません。しかし、最近書いてみたいアイデアが湧いてきました。一応、原稿用... 続きを読む >>

▼書き込みの検索

▼投稿者の検索

小説の書き方Q&A:創作相談掲示板の使い方・利用規約(必ずお読みください)。お問い合わせ