第4研究室 創作に関するQ&A 229P | トップへ戻る |
ワタルさんからの質問
 ファンタジー世界における「リアリティ」について
 
 どうも、ワタルです。
 先日の質問では皆様に多種多様な返答を頂き、大いに参考にさせて頂きました。
 どうも有難う御座います。

 今回皆様にお尋ねしたいのは、
「ファンタジー世界の『リアリティ』とは、具体的にどういう事柄を指すのか?」
 という事です。
 
 良くファンタジー系の小説の感想に、
「リアリティ(現実味)が無く、御都合主義だ」
 等と言った物を見掛けます。
 このリアリティというのは、

1、現実世界の法則に如何に準じているか。

 という事を指すのでしょうか。
 それとも、

2、その世界特有の法則又は世界情勢等について、如何に細部まで理由を付けて設定しているか。

 という事を指すのでしょうか。
 個人的には2の方なのかと思うのですが、今一良く分かりません。
 皆様の御意見をお聞かせ下さい。


● 答え ●

まーさんからの意見
 とりあえず、ラ研内のリンク

第1研究室
 リアリティのある世界観を作ろう 


 先に言っておくと、「ご都合主義」と言われてしまうのは、
 情報の出し方(複線)に失敗しているものが大半です。


 直接的には『リアリティ』と関係ないものを多く含みます。
 どれほど突拍子もない展開であろうと、理由があり、
 それを読者に受け入れさせる下地作りをしっかりしていれば、大体は問題は起こりません。
 
 現実にありえなくても、「ありえる理由」をでっちあげることに成功すれば、
 ご都合主義などとは言われないものです。
 
 失敗する一番多い例は、その「ありえる理由」を後から説明してしまうことです。

 無理矢理つじつまを合わせたと思われるからです。情報は前倒しで出しておきましょう。
 勿論、作者の都合だけでそれまでの内容を完全に裏切るものもあって、
 それは完全に「リアリティがない」わけですが、
 それは「ファンタジー世界」に限った話ではないでしょう。

 さて、本題。
 
 どうあがこうと、読者が「現実世界の人間」である以上、
 読者は「現実世界の法則」で物語を観測します。

 
 水は高いところから低いところへ流れるし、紙は火をつければ燃えるし、
 人間は空を独力では飛べません。
 でも、物語によっては「ファンタジー世界の法則」が適用されます。
 ただし、読者はその「ファンタジー世界の法則」を知りません。
 それを理解するために、「現実世界の法則」を持ってきて、注意書きを加えるのです。

【現実世界の法則A】
・人間は独力では空を飛べない。
(注)ファンタジー世界では適用されない。

 「現実世界の法則」という辞書を持ち替えて
 「ファンタジー世界の法則」という辞書を手に取るわけではないのです。
 「現実世界の法則」という辞書を持ったまま、(注)を新しく加えるのです。
 辞書を一冊全部読んで理解するより、必要な部分だけ注意すれば楽だからです。
 「現実世界」と「ファンタジー世界」は表面上非常によく似ているので、
 それで不都合が起こることは滅多にないように思えるからです。

 しかしながら、1つの注意書きは、「現実世界の法則」に更なる注意書きを要求してしまうのです。

【現実世界の法則A】
・人間は独力では空を飛べない。
(注)ファンタジー世界では適用されない。

【現実世界の法則B】
・人間は高いところに上るため、「階段」や「はしご」を発明した。
(注)人間が空を飛ぶファンタジー世界では適用されないことも考えられる。

 これは、放っておけばどんどん増えていきます。
 そして残念ながら、読者はいつまでも「ファンタジー世界の法則」という辞書に持ち変えることなく、
 「現実世界の法則」という辞書を持ったまま、(注)を新しく加えるのです。
 辞書を持ち変えて全部理解するなんて面倒なことはしません。
 するくらいなら、物語を読み解くことを止めます。
 その際に出てくる台詞が「リアリティ(現実味)が無い」という言葉なわけです。
 「ファンタジー世界の法則」の全てを知っているわけではないというのに。
 
 でもその理由の1つに、読者は作者ではないのだから、
 「ファンタジー世界の法則」という辞書を手に入れることができない、
 ということを忘れてはいけないのですが。

 当然、作者はいわば「法則」という辞書の翻訳家であるわけですから、
 読者の努力不足を責める資格はありません。己の力不足を責めねばならないのです。

 増え続ける注意書きを、いかに広範囲に拾い続けることができるか。
 増え続ける注意書きを、いかにして増えないよう理由をつけるか。


 リアリティを出すというのは、そういう作業です。

 ……と、私は思いますよ。
 上手く説明できたか、質問の答えになっているかわかりませんが。


鈴忌さんからの意見
 こんにちわ、鈴忌です。
 ファンタジーに限りませんが、小説に置ける『リアリティ』は1と2のどちらでもなくて……

 『作品に十分な説得力があるかどうか?』

 という話だと思います。1も2も、そのための手段の一つであって、
 それを目的にしていると『リアリティ』を損ないます。
 達成するための手段という意味なら……

・行動などに必然性を持たせる
・読者が理解可能な心理描写で行動を補強する


 などの「キャラ側面」からの手段とかもあります。

 ワタルさんが仰る2は、やりすぎると面白さ自体を損なうので、
 さじ加減が重要だろうと思います。まぁ、鈴忌もさじ加減が苦手なわけですが……笑。

 修行中の人間の一意見ですが、何かの参考になれば幸いです。
 では、失礼します。


ahoさんからの意見
 私的見解でいくなら、2ですね。
 その世界は、その世界の理によって動いているのですから、それに添って書けばいいのですが。
 ここで落とし穴。

 「基本的な事」だけは現実に即しておかないといけません。
 
 つまり、その世界では主人公は死なない。
 これでは興ざめです。
 例え絶対に誰も死なない世界を作るなら、「リバーワールド」シリーズのように、
 「何者かによって死んだ人間がすべて生きている世界。
 しかも神でもすぐに生き返る世界」だけどその理由や種明かしもちゃんと用意してある。
 
 ここまでやらないと、何でもありでは呆れられるだけです。
 ある程度の「基本原則」は現実に即し、
 その上にある世界観にあわせて書き込むのは如何ですか?


仁ノ河一城さんからの意見
 
どうも、仁ノ河です。

 1か2かで聞かれたら、どっちでもない、というのが答えでしょうね。
 フィクションを書くということは嘘を吐くということです。それがファンタジーでなくとも。

 下手な嘘は聞かされた方も不快になります。
 上手に嘘を吐くこと。それが「リアリティ」ということではないでしょうか。


 現実世界の法則に準じていなくても。設定が細部まで至っていなくても。
 読んでいておもしろく思ってもらえるなら、たとえ多少の無理や矛盾があったとしても、
 上手に嘘を吐けたということだと思います。

 逆に、強引な嘘やたどたどしい嘘、
 目に付く矛盾を孕んだ嘘は聞いていてイライラしてきて不愉快です。
 楽しく騙されたいから小説を読んでいるのに、全然目的を果たせませんよね。

 そういう看過できない強引さや、前もって決めた展開や結末に
 (それがたとえハッピーエンドだったとしても)
 無理矢理引っ張っていきたい作者の足掻きを見せ付けられたとき、
 読んでいる人は不快感を覚えることでしょう。
 
 だって作者の自慰行為を見たくて読んでるわけじゃないんですから。

 そういう直接的に表現しづらい感情が、
 「リアリティが無い」「ご都合主義だ」という言葉に表れているんだと思いますよ。


みずさんからの意見
> 1、現実世界の法則に如何に準じているか。
> 2、その世界特有の法則又は世界情勢等について、
 如何に細部まで理由を付けて設定しているか。


 といわれればどちらでもないと思います。
 しいて言うならば、1と2の複合、

 基本的に現実の法則に従いながら、現実と異なる点については、
 納得が出来るようなその世界特有の法則を示す。

 ではないでしょうか。

 1に従うなら、ファンタジーにお決まりの「魔法」「異種族」の存在が全否定されますので。
 基本的に読む側としましては、
 基本事象は現実世界の法則がそのまま当てはまると思っているでしょう。
(通常の生物は地面に生きているし、男は女より体格があって力もあるし、魚は水にすんでいる、等)

 それと異なる部分は説明が必要。それを怠ればリアリティの欠如。
 その世界特有の法則を示したとしても、それが、
 「仮にそういうものがあったなら、こうなるのが理解できる」
(火の魔法を使えるので、土砂降りの中でも焚き火が燃えている、とか)
 ものであることが重要、というこではないでしょうか。

 例えば「人魚」がいるとして、
 海に人魚の村がある。→異種族が存在する世界だというファンタジー要素の付加
 砂漠に人魚の村がある。→「砂漠」に「魚」がいるという、
 現実の事象との矛盾(説明の必要性、それを怠るとリアリティの欠如)

 大剣を振り回す人物がいるとして
 筋骨隆々たる大男→現実には厳しそうだけど特に矛盾はない
 か弱そうな少女→現実の物理法則から矛盾
 (腕力を補強するか、剣の重量を軽減するような説明の必要性、それを怠るとリアリティの欠如)

 魔法が一般的な世界だとして
 誰もが魔術を使えるのに、科学技術が進歩している。
  ↓
 魔法で用が済むなら誰も科学技術の研究しないんじゃ?
(世界の法則が矛盾。説明不足だとご都合主義)

 隕石を落とすような強大な魔法を使える人がそのへんにごろごろいる
  ↓
 何でその世界滅びずに無事に存在してるんですか?
 戦争にかりだされたりとかしないのか?
(これで「みんな平和主義だから」とか言ったらただのご都合主義)

 いくつか挙げてみましたが、あんまりいい例えじゃないかもしれません。


Azifさんからの意見
 読んで説得力を感じれるかどうか、です。
 1はリアルではあってもリアリティではありません。2は設定に過ぎず、物語ではありません。
 
 リアリティとは、読者がその物語を読み、納得させることが出来るものだと思ってください。
 
 細やかな定義は色々有りますが、大概はそれで有っています。
 つまり、どれほど荒唐無稽な設定だろうと、
 其処に読者を納得させる事が出来ればリアリティが生じます。
 逆説、「リアリティが無い」と感想に書かれるのは、作者の都合ばかりが露出し、
 登場人物たちの思いや行動が軽くなっていると言う事でしょう。


出城さんからの意見
 こんにちは。はじめまして、出城と申します。
 私の考えは、1・2どちらとも違います。

 リアリティとは、「作者がいかに上手く、現実という情報の集合体から、
 『真実』といえる因果律を抽出できているか」ということだと、私は考えています。


 瑣末な事実を追いかけたり、言葉の上だけで辻褄あわせをしたりせず、
 ワタルさんの目で世界を観察し、そこにどんな真実が存在するのかを見つけ出し、
 作品に反映させるよう心がけて下さい。
 と、私はアドバイスさせて頂きます。


ユダさんからの意見
 ちょっと質問から逸れますが、少し言いたい事があります。
 それはファンタジーに於ける『魔法』についてです。

 まず、魔法の定義ですが……
《原理や理論がはっきりしておらず、『何故だか分からないが、使えるもの』》を指します。

 『魔法』はもともと錬金術師が行っていたもので、
 科学技術が進歩した現代では魔法が『科学』として解明されたものもあります。

 つまり、原理が分からない技術は『魔法』。
 原理が分かっている技術は『科学』を指します。

 ファンタジー作品の中には魔法についてのリアリティを出すため、
 いろんな原理を持ち出して説明しているものがありますが……
 オレはそれを『魔法』だと言っている事にリアリティを感じないのです。

 例えば『魔法』の理論が解明されれば、それは魔法とは言わず『科学』、
 または新しい学問として呼ばれるはずです。
 『魔法』と呼ぶからには解明されてない部分がないといけないと思うのです。

 こちら(現実世界)から見ればそれは『魔法』かも知れないのですが、
 あちら(異世界)から見ればそれは何の変哲もない『科学』に過ぎないかも知れないのです


 それをこちら(現実世界)の視点から書く・読む、
 と言うのはあちら(異世界)の世界観が少しボケている気がするのです


kkkさんからの意見
 うーん、1・2どっちでもないような気がしますね。
 小説を読むときに、そんな細かいこと気にしたことないですし。
 小説を読んでまず気になるのは人間描写(会話シーン、心理描写など)なので、

 私が「リアリティ(現実味)が無く、御都合主義だ」と批判する場合、
 大抵以下のように、「人間が描けていない」場合ですね。


・キャラクターが単純すぎる。
 (何の葛藤もなく、ただ威勢の良いことを叫んで、戦闘を開始するだけ、というような)
・会話シーン(特に男女の恋愛がらみの)が何か嘘っぽくて気持ち悪い。
・大人や異性の描写がステレオタイプで薄っぺらだ。
・主人公が用意周到な策略家という設定なのに、
 その策略が穴だらけで行き当たりばったりのものだ。


雷さんからの意見
> こちら(現実世界)から見ればそれは『魔法』かも知れないのですが、
> あちら(異世界)から見ればそれは何の変哲もない『科学』に過ぎないかも知れないのです

 あるいは、こちらにとっての『科学』が、あちらでは『魔法』に見えるかもしれませんね。
 そもそもの科学と魔法の立ち位置が、逆転するかもしれません。

「レモン汁に銅板と鉄板を差し込んで線でつなげば、ほら電球が光った」
「へえ、呪文も魔法陣も使わずにそんなことができるんだ。
 おまえ、すごい魔法が使えるんだな。まるで『科学』みたいだぜ」
(……)

「僕たちが立っているこの大地が、自転をしながら太陽の周りを公転している。
 それで天体が動いて見えるし、月も満ち欠けする。
 季節が変化するのも、地軸が傾いているからなんだ」
「あなた今どきそんな『迷信』を信じているの? まるで子供ね」
(……)

 ほとんど言葉遊びですね(笑)。
 でもこういうセリフを出すだけで、その世界のあり方を読者に伝えることができるんです。
 この例は、すこし極端ですけど。

 「リアリティ」って、こういう小さな「リアル」の積み重ねだと思うんです。
 
 ただしこのリアルは、僕らが実感できる、もしくは理解できる「リアル」でないといけない。
 あるいは、異世界のリアルと現実世界のリアルをつなぐ 
 「のり」を物語の中に組み込んでおかないといけない。
 そうしないと、物語のあり方に納得できなくなる。

 この「のり」が、異世界に迷い込んだ主人公だったり、
 描写だったり説明だったりするんですけど……。

 質問に答えるのでしたら、やはり「1でも2でもない」と言うしかありません。
 
 ただ、ご都合主義にならないためには、
 とにかくプロセスを大事にすることが肝要だと思います。
 また、物語の登場人物の言動にしっかり説得力を持たせることです。


 こちらは、むしろ方法論ですね。
 あまり参考になりませんね(笑)。
 しかもユダさんに答えてんだか、ワタルさんに答えんてんだか分からない文章だし(爆)

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