第1研究室 ライトノベルの書き方 | トップへ戻る |

投稿、ユーモアのネタ・コツ

灯太さんからの投稿・過剰な偏見

 こんにちは。初めまして。灯太という者です。
 最近読んだ本で、すごく面白かったギャグがあったので紹介します。
 その本は電撃文庫の、川上稔著『終わりのクロニクルD下』です。
 場面は主人公の佐山たちが戦っている戦場に、
 オドー大佐とその部下ロジャーがかけつけてきた場面です。


「ロジャー、ロジャー、どう思う?この戦場を。そろそろ終わりのようだが我々は間に合ったのか?」
「Tes(テスタメント).、オドー大佐、私の記憶によれば戦いはまだまだ続行中かと。
 何故なら日本では自爆を超える最後の武器として竹槍を持つ筈ですが、それがまだ出ておりません」
「何?竹槍?竹槍だと?奴らはエコロジーを実戦段階まで漕ぎ着けているのか!?」
 Tes.、とロジャーの頷きが響き、
「カモフラージュとして、日本では夏に小型迎撃ミサイルとしての笹を刈り、
 そこにZEN のパワーによる呪言を書いた札を掛けるほどであります」
「恐ろしい、恐ろしい東洋文化の塊だなこの国は!ヒオの脳は大丈夫だろうか!!」


 ……どうでしょうか?西洋人による東洋の偏見がここまで面白くなるとは思いませんでした。

 『終わりのクロニクル』は他にも面白いギャグがたくさんあります。
 特に「まロい」などは、『終わクロ』ファンでは公用語です。興味のある方は是非ご一読を。

                              以上、灯太でした。

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阿波座泡介さんからの投稿・お題目と化した正義

 以前に見たアニメの一場面です。
 迫害されている少年が叫んでいました。

「なぜ、僕らは迫害されるんだ。
 異教徒だからか。
 異民族だからか。
 昔、支配階級だったからか」


 笑う場面じゃありませんが、私は笑いました。
 だって、迫害されるよ。そんな奴は。

 さて、ここでおかしいのは何でしょうか。
 少年の告白は切実なものです。本来なら、笑うところではありません。
 しかし、彼は問いかけておきながら、実はその理由をすでに十分理解しているのです。
 そこがおかしいのです。

 ここでおかしいのは『お題目と化した正義』です。

 人を迫害することはいけないことですが、
 人間は自分とは異質なモノを排除する心理を持っています。
 この少年は、その本質的な心理に目を向けず『お題目と化した正義』にすがりついているのです。
 
 他にも、戦争が起こっている時に『都内はディーゼルエンジンを使った車両は入れません』と、
 自衛隊の進入を拒否する都職員がいたら……笑いますよね。
 飢餓の危機にあるときに、
 目の前に鯨の大和煮があるのに食べないグ○ーンピースメンバーがいたら……笑っちゃうでしょう。

 これは、ある意味で暗い笑いに属します。使用には注意が必要かもしれません。

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雨杜 潤さんからの投稿・前後の展開や人間関係を活用したギャグ

 ライトノベル作法研究所いつも利用させていただいております。雨杜と申します。
 今回は、『おもしろいギャグの作り方』に投稿させていただきます。
 手放しで「こりゃ、もう面白い!」と思う表記がありましたのでつい……
 好きな作品なので、ベタ褒めの半分のろけ(?)話になってしまうのですが;;;

 出典は吉田直氏の『トリニティ・ブラッド-Rage Against the MoonsV-ノウ・フェイス』
 『MIDNIGH RUN』より、アベル・ナイトロードとアントニオ・デ・ボルジア・イ・ボルジアが
 船着場で会話しているシーンです(正式に書くとこんなに長くなるんですね;;;)


「公子には、これから私と一緒に街を出ていただきます」
 時刻表で最終船の時間を確認すると、アベルは断言した。
「リストの隠し場所には、明日到着する回収チームに向かってもらうとして、
 今夜のところはあなただけでも、街の外へ出ていただきましょう」
 この船着場からは、デュッセルドルフ行きのライン川貨客船が出ている。
 デュッセルドルフまでたどりつければ、そこからローマ行きの夜行列車に接続できるはずだ。
「残念だけど、それは無理だネ」
「どうして?」
「ボクさァ、乗り物酔いするタチなんだよねェ。船も汽車もまるでダメってカンジ。
三半規官が弱いんだョ」
「…………」
 多分、今の自分は、次の犠牲者を物色中の殺人鬼か、
 怒っているときの上司(カテリーナ)そっくりの笑顔をしているに違いない――
 ソーセージにぶっすりとフォークを突き刺しながら、アベルはにこやかに先を促してやった。
「で?」
「移動するなら、飛行機か飛行船にしてくれないかなァ? 
 ああ、前に家族旅行したとき、寝台特急をまるまる借り切ったんだけど、
 そのときは不思議と酔わなかったなァ」
 楽しい思い出にひたっている若者の側で額を押さえ、神父は呻いた。
「おお、主よ、すっげえムカつきます……そんな予算、生き血搾ったって作れません! 
 ここは絶対に船に乗っていただきます。たとえ内臓ごと吐き戻すことになろうと!」
(以下略)

 この文章で非常にユーモアのある点。

●前半のアベルのセリフから判るように、事態は極めて深刻な場面です。
 今から逃げなきゃアンタ死にますよ? って感じの勢いのはずなのに当の公子(アントニオ)は
 「乗り物嫌〜い」とか「飛行機がいいな〜」とワガママ言うところ。
 悠長と言うか、何と言うか;;お気楽な金持ち坊ちゃんならではのセリフです。

●『多分、今の自分は、次の犠牲者を物色中の殺人鬼か、
 怒っているときの上司(カテリーナ)そっくりの笑顔をしているに違いない』
 と言う表記から上司であるカテリーナが殺人鬼並みに怖いと言う説明をさり気なく入れています。
 尚且つ、今の自分の笑みは彼らにそっくりという説明を入れることで、
 今アベルは非常に恐ろしい笑みを浮かべていると言う描写を作り出しています。
 面白い+状況・心理がよく伝わります。

●『おお、主よ、すっげえムカつきます』より、
 あからさまに毒を吐かずに神父らしく婉曲した形を使っているのがハイセンスだと思います。
 ヘタレでダメ神父のアベルにしか言えないセリフです。

 前後の展開や人間関係を充分に活用したギャグを作ることで、
 ギャグそのものや人物が充分に生きてくると思います。
 シリアスなストーリーだからこそ、自然にウケるギャグもあると思います。
 他にもあるんですが、ワンシーンで判りやすいのはココかなと思って。

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