第4研究室 創作に関するQ&A 580P | トップへ戻る |
hopesevenさんからの質問
 ラノベでは少女がヒロインでなくては駄目なのか。

 初めまして。小説を書いてはや6年目になります。
 はっきり言ってこの質問は、自分の中でもある程度消化してしまっているのですが、
 あえて皆様に聞いてみたいと思います。

 ラノベで二十代や三十代のヒロインを出すのは駄目なのでしょうか?
 悲しいことに、自分の作品は物語がラノベ寄りでありながらキャラクターの年齢層が高くなる傾向にあり、
(自分自身、そういうキャラを書くのが好きであり、得意でもあるので)
 ヒロインが二十代であることなどざらです。
 もちろん、仲間内では需要が無いので受け入れられません。
 しかしながら、ラノベの賞などの標榜では常々、新しい境地の作品が求められていることも事実。
 私としては、二十代三十代のヒロインでも
 読者に魅力的に見えるよう努力をしているつもりなのですが……。

 ということで、ヒロインの年齢について皆様にご意見をうかがいたいです。


●答え●

マギウス あひるさんからの意見
 こんにちは、あひるです。
 長文乱文失礼します。

 まずはこのサイトにある情報をご確認ください。
 「タブー、これをやってはいけない!」より「幼い子供を主人公にしてはならない」

 「創作Q&A」の「主人公の悩みについて」より「若すぎる主人公は主役に向かない?」

 若い主人公について書かれていますが、
 これは年齢の高い主人公についても、同様のことが言えます。


 人によって違うとは思いますが、中学生にとっての高校生、高校生にとっての大学生、
 大学生にとっての社会人は、「自分よりお兄さんお姉さん」であると同時に、

 「自分とは違う世界に生きる人」と思う傾向にあります。

 更に中学生にとっての大学生や社会人に至っては、「大人」として憧れる他、
 「おじさんおばさん」などと呼ぶこともあります。
 hopesevenさんは中学生の時、大人を見てどう思いましたか?
 良いにしろ悪いにしろ、「自分とは違う世界に生きる人」と言う点では、
 同等に見ていたのではないかと思います。

 そんな人がヒロインですよ。
 主人公か、主人公と恋仲になる人ですよ。

 憧れこそすれ、共感はできないと思います。

 「若すぎる主人公は主役に向かない?」でお答えになっている嶋さんに倣い、問題点を挙げてみます。
 順番等も参考にさせていただいております。

1:成熟している筈なのに、子供と同じ問題に四苦八苦する。
 中学生や高校生から見たら、大人はスーパーマンみたいな存在です。
 本来導き手である大人が、あの人に想いを伝えられないだの、
 あの人もいいけどこの人もいいだので悩んでいても、
 「いい大人なんだから何とかしようよ」で終わることが大半だと思います。

2:決断力や体力などが、圧倒的に違い過ぎる。
 大人でも子供並の人はいると言うことは差し置いて。
 取り敢えず、中学高校の若い教師と思ってください。
 大勢の生徒の相手を、しっかり面倒見てくれる人、ですよね。
 恋や進路の相談をしてみた経験はありませんか?
 この頃は、迷った時や悩んだ時、頼りになるのが大人なのです。
 子供より何歩も前に進んだところから、手を差し延べる存在です。
 また、飲酒や喫煙も堂々とできますよね。
 子供に出来ないことが出来るので、主人公やヒロインに据えてしまうと、無敵キャラになりがちです。

3:カリスマ過ぎてついて行けない。
 カリスマモデルなどと若い読者に持て囃される人は、同じくらいの年齢の人です。
 雑誌業界が読者年齢に合わせてモデルを選ぶように、
 ラノベ業界でも読者年齢に合わせて主人公やヒロインを選びます。
 年齢というのは意外と大切なのです。
 自分と同じくらい生きて来た人が、すっごいことをするから憧れるのであって、
 自分より10も20も違う人がすっごいことをしても、「大人は違うなぁ」でオシマイです。
 また、その「すっごい」の度合いも凄すぎて、読者がおいてきぼりを食らうこともあります。

4:筋が通り過ぎて、逆に意味が分からなくなる。話が複雑になり過ぎる。
 筋が通るのはいいことなのですが、中学生高校生が理解できる範囲を超えてしまうことは問題です。
 例えば飲酒。
 子供からすれば「大人から禁止されているから」ですが、
 大人からすれば「法律で禁止されているから」だの「成長期の脳にダメージが云々」だの、
 難しい方向になってしまいます。
 成長ホルモンがどうのだの、法律がどうのだの、中学生高校生は分からない人が大半です。
 だってそんなの学校で習ってねぇし、みたいな。
 世間体だの何だのを気にする大人より、意外と単純なんですよ、子供は。

5:知性が圧倒的過ぎてついて行けない。イカレっぷりに年齢が加算されて、もう犯罪者レベル。
 3や4同様、子供には意味不明な思考回路で結論を出すのが大人です。
 そこには年齢分の経験が積まれていますが、子供が見る小さな世界では到底理解できないのです。
 また例えますがね、電車で御老人や妊婦さんに席を譲るとしましょう。
 この頃はまだ、「大変そうだから」で譲ります。
 これが大人になると、「自分もいずれ世話になるから」だの
 「妊娠してる時って辛いよねぇ」だのになってきます。
 子供とは思考のベクトルが違うのです。
 また、子供が自分のキャパシティ(許容範囲)を超えてイカレることは、
 割と一過性ですし、比較的小規模です。
 あまり言いたくありませんが、「子供なんだから……」で大体済みます。
 ところが大人ですと、「いい大人なんだから……」となります。
 同じ「○○なんだから……」でも、そのあとに続く言葉が全く違って来ませんかね?
 そうした面でも、大人と子供は違うのです。

6:知力ゲームが高等過ぎてついて行けない。
 簡単に言うと、小中学生にとっての「9」は、
 「1+8」「2+7」「3+6」「4+5」または「1×9」「3×3」です。
 高校生にとっての「9」はそれらに合わせ、「3の2乗」です。
 小中学生から見ると、「2乗って何?」どころか、「3の上の小さい2って何?」
 「どうしてこれが9になるの?」「3が2つあるんだから、6じゃないの?」です。
 高校生から見ると謎な思考回路かも知れませんが、知識が少ないので仕方のないこと。
 「3の上の小さい2」を、「3が2つあって、その間に×が入っていることを表す」
 とは学んでいないのですから。
 知力ゲームにもそれが言えます。
 「○○の裏をかいて……」の「○○」が、まず理解できるものでなくてはいけません。
 「○○」は言わば加減乗除の基礎であり、「○○の裏」は2乗のような応用ですからね。
 「○○の裏」は多少理解しにくくても、きちんと説明出来ればいいとは思いますが、
 肝心の「○○」が分からなければそこから教えなくてはなりません。
 年齢が高いと、その説明をすっ飛ばしてしまいがちになりますし、
 説明自体が冗長になって飽きられることすらあります。

7:ヒロインと思想で対立する悪役や仲間と釣り合いが取れない。
 極端な話、ヒロインが「レベル100」くらいで、敵や仲間が「レベル10」だとしましょう。
 アンタが倒せよってなります(笑
 そうならないようにするには、敵も仲間も「レベル100」にするのが手っ取り早いのでしょうが、
 そうするとお話が破綻してしまいますよね?
 仮に出来たとしても、レベルアップの楽しみとか、新技開発の苦しみとかがありません。
 成熟しきってしまっていて、これ以上成長できない状態では、面白みが欠けてしまいます。

8:そうでなくても出来ることが多くて、話を広げ過ぎる。
 結婚も未成年よりは簡単に出来ます。
 仕事も出来ますし、飲酒喫煙パチンコ徹カラなど、未成年では出来ないことが多々あります。
 だからこそ、「あれやりたい」が、「あれもやりたい、これもやりたいけど、それもやりたい」になって、
 最悪「どれをやりたいの?」になってしまいます。
 そうなると、風呂敷を畳むのも大変になって来ます。

9:以上8つの問題を1つでもクリアしてしまうと、年齢不相応を越えてリアリティが無くなる。
 丸写しごめんなさい;
 例を挙げてる方にも申し訳ないのですが、
 「もうすぐ30なのに全く頼りにならないドジっ娘なお姉さん」がいたとしましょう。
 大人な視点ではなく、子供の視点で見てください。
 「いい大人なのに……」と幻滅されてしまいます。てか、私もします。
 例えプラスの面を見せられても、全く釣り合いが取れなくなります。
 幻滅度が100くらいで、プラスの補正が1、みたいな。
 そこに作者の「ここ萌えるところ! 萌えるところだから!」が見えて、更にげんなりしてしまいます。
 少なくとも、私は同年代でそんな人は絶対イヤだ(笑
 同年代ですらイヤなんですから、それを憧れの眼差しで見る少年少女のげんなり具合は、
 想像に難くないでしょう。
 重要なポジションのメインヒロインがそんなラノベは、読者ウケが悪いのです。
 子供から見た大人の、オトナの魅力の面を見せるには、やっぱりメインヒロインには抜擢出来ません。
 オトナの魅力はスパイスにはなるでしょうが、常に傍にあっては欝陶しいものですから。

 余程実力が備わっていなければ、成人ヒロインを上手く使い熟せないと思います。
 
 仲間内では受け入れられないとのことなので、
 失礼ながらhopesevenさんには、まだその実力がないのでしょう。
 実力があるなら、需要はなくても受け入れられるもの。
 新境地を切り開くのは、そんな人であり、ごく一部の人間だけです。
 仲間ですら引き込めないのなら、赤の他人を引き込むことは出来ません。
 厳しいことを言いますが、自分の実力をしっかり把握しましょう。

 私見やら他人の褌やら揚げ足取りやらですが、参考になれば幸いです。
 長文の一読、ありがとうございました。


峡さんからの意見
 ラノベということで言えばダメでしょう。
 それで新人賞をとっても編集からダメが出ると思います。
 
 『灼眼のシャナ』という作品のヒロイン・シャナはロリキャラで有名ですが、
 もともとの設定では20代だったそうです。

 なので新人賞を取るまでで言えばアリですが、出版してライトノベル化させるならナシです。
 ついでに言えば編集者が読めば「改変すれば出版できるな」と考えてくれるのですが、
 下読みを採用している新人賞では一次通過率に若干影響が出る可能性があります。

 そのくらいでしょうか。


ポワトリンさんからの意見
 その気持ちも分かりますが、ラノベの読者はほぼ十代がメインですので、
 年齢の離れたキャラを持ってくるとなると、やはりウケがよろしくないでしょうね。


 非常に残念ではありますが。もちろんプロよりも遥かにずば抜けた内容で、
 飛び抜けて面白い作品であればまた違ってくるのでしょうが。
 とりあえず読者のニーズに合わせることが一番じゃないですかねえ。
 どうしても年増の女をヒロインにもっていきたいのならば、
 ラノベじゃなくべつの場所で挑む方が妥当と思いますねえ。


文長さんからの意見
 ハライチ、銀シャリ、スリムクラブがおもろかった・・・文長です。

 世間的には“すっかりオトナのヒロイン”はBBAなどと言われてコケにされるのがオチだと思います。
 もちろんそれが愛ゆえの(?)あだ名とされることも多いですが・・・
 やはり正ヒロインが10代を超えると厳しいかな、という印象があります。
 文長はどちらかと言えばロリキャラ嫌いな方ですが、
 それでも20代、ましてや三十路以上のヒロインが出てくる作品にはあまり期待や関心が持てず、
 少なくとも萌えの対象にはならない・できないです。。
 オトナの女性となると萌え的なかわいさよりエロス的な美しさの方が滲み出てそうで、
 それはそれで露骨なロリキャラ並に嫌です。
 何より処女性の問題も・・・。

 サブヒロインに据えたり、「見た目は子ども、中身は大人」という手の設定ならアリだと思いますが、
 大人のヒロインを前面に出してラノベで勝負、となると、
 昨今の状況からして正直厳しいのではと思います。


つぼみんさんからの意見
 こんにちは、つぼみんです。

 私、女教師なら全然アリだと思うんです。
 ただ好きなだけなんですが。

 二十代はまだ遊びたい盛りだろうし、女子大生気分が抜けきらない感じの人もいると
 勝手に思ってるんで十分ヒロインになる素質があると考えてます。
 でも三十代になれば立場も変わってくると思うので無理があると思います。
 身勝手な線引きって恐ろしいなぁ…。

 コンセプトの問題だと思うので「もうすぐ三十路なのに全く頼りにならないドジっ娘なお姉さん」とか、
 「俺がいないと何もできないんだな」と思わせる一面と「やっぱり大人だな」と思わせる一面。
 ギャップと年上ならではの魅力はいい武器になると思ってるんですが難しいのかな。


深海飛行士さんからの意見
 ヒロインは女性としてではなく、女子として描かれます。
 それはターゲット年齢層の問題でもありますが、世間一般的にも、
 20代、30代が『女子』だったら、ちょっと引くとは思いませんか?
 ついでに言うと、ヒロインを『女性』として描くおつもりならば、
 ラノベとして世に送り出すのは無理だと考えて下さい。


たくあんさんからの意見
 ラノベじゃなくてアニメだけど。
 『おねがいティーチャー』のヒロインは23歳で、『ラーゼフォン』のヒロインは29歳だなー。
 あ、主人公は10代ですよ。

 見せ方次第で、不可能ではない、とは思うけど。
 難しいさね。


ボギーTさんからの意見
 今晩は。ボギーTです。

 僕は、今、「長編の間」で、大人のヒロインを登場させた作品を公開していますが、
 年増だからダメだ、との感想は一度ももらってませんね。
 要は読者がそんな些細なこと気にしないくらい面白く書ければいいんじゃないですか? 
 傾向を研究することは大切ですが、さほど気に悩むこともないでしょう。

 萌え重視の読者には確かにダメかもしれませんが、ラノベを読む人はそれ目的だけではないでしょ?
 大人の格好良さに憧れる、というのもあると思いますよ。

 ラノベとヒロインからは外れますけど、ルパンやら銀魂、大人向けですか? 
 不二子を見て、年増だからダメだ、と言う人がどれだけいるのでしょうか?

>しかしながら、ラノベの賞などの標榜では常々、新しい境地の作品が求められていることも事実。

 そう思うなら、それはそれでいいと思いますよ。頑張ってください。


リンチェさんからの意見
 「めいたん メイドvs名探偵」(樺薫・著 ガガガ文庫)という作品の女主人公は、26歳です。


ひとさんからの意見
 誰だラノベの読者が10代ばかりだと思っているヤツは。

 アリだと思いますよ。
 『精霊の守り人』は児童文学ですが、ヒロインは三十路ですよね。
 児童文学でアリなのだからラノベでナシって事はないんじゃないかと。
 ただ、万人受けはしないでしょう。

 「バクマン」で言うところの、「9割には見向きもされないけど残りの1割には絶対ウケる」
 を目指せばいいのでは?


●追伸
 三十路女として一言言わせて頂きたいですが、
 「いい大人なんだから……」と言われると耳が痛いです。
 大人はそんなに少年少女に対して基礎面でアドバンテージありません。正直、迷いっぱなしです。
 大人が理屈で理解出来る事は、10代にもわかります。
 賢い10代が理屈で理解出来る事は、馬鹿な大人にはわからなかったりします。
 
 じゃあ何が違うかと申しますと、「経験」と「専門性」ではないでしょうか。
 それもきちんと経験を積めている人にしか当てはまりません。
 今書いたふたつのキーワードは自分にブーメランしてきやがりました。
 30過ぎても娯楽性を求めてラノベを手に取る人は増えてるんじゃないかと思います。


有蛇さんからの意見
 こんにちは、大学生の有蛇(ゆうじゃ)と申します。

 僕自身としては駄目と言うほどの感想を持っているわけではないのですが、
 想うところがあったので未熟ながらも発言させて貰います。


 そもそもライトノベルは十代の中高生、大学生などの若い読者層を狙っています。
(まあ、最近は二十代の人やそれ以上の方も狙われていますが)

 中高生には憧れや希望などがあり、
 自分もこうなれたらと言う思いこそがライトノベルやアニメを見る理由です。


 その自分が感情移入するべき主人公が、成熟し大人としての魅力に満ちあふれた女性ばかりと
 仲良くしていては感情移入するのは難しいでしょう。
 しかし、身近にいる中高生の女の子と仲良くしている主人公には感情移入しやすいでしょう。
 
 恋愛ものに限らずバトルものでも、大人の女性を自分たちの様な子供が守るなんてどうよ?
 と思われてしまうでしょう。


 また中高生ではない二十代以上の人たちには自分たちの青春時代を思い出し、
 こうなってみたかった、あの時ああしていればこんなになったかな?
 などの夢を持たせる部分もあると思っています。
 その時に二十代の女性が過去の自分の青春時代において仲良くしていても
 過去の自分との不一致で感情移入しにくいでしょう。

 全ての人がそう言うわけでは無いですし、人それぞれ好みがあるとはいえ
 基本的に人を好きになるとき自分と十歳近く上の相手を好きにならないでしょう。
(僕の偏見かも知れませんが)

 ヒロインというのメインにしろサブにしろ読者を惚れさせなければいけないと僕は考えています。
 だから読者を惚れさせるほど魅力的だと思えば正直二十代でもヒロインにして良いと思います。


 長々と書いてしまいましたが参考になれば幸いです。
 読んで頂きありがとうございました。

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