ライトノベル作法研究所
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  4. 副詞の正しい使い方とは?公開日:2013/06/25

副詞の正しい使い方とは?

  そらさんの質問 2013年06月24日

 現在副詞について勉強しているのですが、なんだかよくわからなくなってきたので創作相談用掲示板を利用しました。

例1 彼は巨漢を『物の見事に』投げとばす。

例2 彼は『物の見事に』巨漢を投げとばす。

 私個人の感覚だと例1、例2も違和感を覚えないのでどちらが正しいのか判断できません。
 どちらが正しいのでしょうか?

●答え●

m2さんの意見2013/06/24

 要するに、投げる(技として)のが凄いのか、巨漢を投げたことが凄いのかってことですよね?

 正しいか間違ってるかは、前後の文章に関わってきます。
 巨漢をどの程度押してたとか、技のキレを押してたとか、状況によって変化すると思います。
 その文だけなら、どちらも正解です。

E.mewさんの意見2013/06/24

 桑原武夫氏曰く、一つの文にたくさん副詞節などがでる場合は、長いものから順に並べるのが正解です。これは小説を書くときの技法ではなく、一般的な、評論などの文章を書くときの技法となります。

 「彼はスーパーマンのように巧みな手さばきで力強く懸命に車を持ち上げた。」  
 副詞節をいくらか加えて以上の例文ができましたが、このように上が大きい下が小さいと統一感を持たせることで、文は綺麗になります。これに意味を正確に導く読点を加えることで100%ですが、なくても遜色ない場合もあります。

 逆に小さい方から読んでみてください。なんとなく文が波打っているように思えませんか?

 小説的な文法解釈では、どのような副詞配置でも可、でしょう。作者の意図など、含みがあるのがほとんどですから。

沢渡まゆさんの意見2013/06/24

> 例1 彼は巨漢を『物の見事に』投げとばす。
>
> 例2 彼は『物の見事に』巨漢を投げとばす。

 どちらも、間違っていませんが、わかりやすさを取るなら例1です。
 投げ飛ばすまで、相手が巨漢であると解っていない読者はいないでしょう。
 どのように投げ飛ばしたかが重要です。
 重要な修飾語と被修飾語は離れていない方が解りやすいです。

飛車丸さんの意見2013/06/24

 文章として言うなら、副詞は基本的に動詞や形容詞を修飾するものなので、位置的には前者が正解。

 ただし小説的には、副詞の掛かっている先が作者の意図通りであれば、どちらでも正解。
 作者の意図と逆に掛かっていれば、どちらも不正解。
 取り立ててどちらに掛けようという意図が無い場合、どちらも正解ですが他の問題が生じている可能性があります。

たまきさんの意見2013/06/24

 そもそも「見事に」って副詞でしたっけ?
 慣用句「ものの見事に」で副詞的な使い方をしますが、「見事に」自体は分類的には形容動詞の連用型だったと思います。連用修飾語ですね。

 まあ、論点はそこではないのでしょう。

 本題です。
 中学校で習ったことだとは思いますが、副詞(ここでは連用修飾語)いというものは用言を修飾する詞であり、「副」詞や「修飾」語の名の通り、あってもなくても文章が成立します。
 ようするに、「ものの見事に」は「投げとばす」を修飾していますが、「彼は巨漢を投げとばす」だけで通じるんですよね。

 つまり、例1も例2も動詞の前に連用修飾語があるので、文法的には全く問題ありません。
 当然「ものの見事に彼は巨漢を投げとばす」でもいいし、倒置法を用いれば「彼は巨漢を投げ飛ばす。ものの見事に」でも成立しますね。つまりどれも正しいのです。

 ではどう使い分けるのかというと、強調したい部分がどこなのかを踏まえて考えればいいわけです。
 倒置法以外は、基本的に文の最初にあるものほど強調したい要素であると考えられます。

 例1は「巨漢を」を強調しています。普通自分より大きな相手を投げ飛ばすことは難しいですから、そこに注目させようとしているわけですね。
 例2は「ものの見事に」を強調しており、「彼」の技術の凄さに注目を集めさせたいということです。

 そういったことを考えて何を表現したいのかを明らかにすれば、自ずと書き方が定まるでしょう。
 参考になれば幸いです。

m2さんの意見2013/06/24

 うわっそうなんですか?

> 例1は「巨漢を」を強調しています。普通自分より大きな相手を投げ飛ばすことは難しいですから、そこに注目させようとしているわけですね。

 巨漢を強調しているから、技が優れていないと投げられないと判断してまいした。

> 例2は「ものの見事に」を強調しており、「彼」の技術の凄さに注目を集めさせたいということです。
「ものの見事に」を強調していると、逆に巨漢を投げ飛ばすことが凄いになり、彼自身の凄さを強調していると判断してました。

 勉強になりまりした。ちょっと衝撃です、正反対だった……。
 見事に投げ飛ばす
 見事に巨漢を投げ飛ばす
 こう、切り取ってみると、そう感じてしまうんですよね。

 気になったので参考になりそうな記事を参照します。
『修飾語と被修飾語をはっきりさせる』

たまきさんの意見2013/06/24

 えーと、すいません説明が悪かったかもしれませんね。

 どっちにしろ巨漢を投げ飛ばすのはすごいことなので、「彼」の技術の高さやシチュエーションの異常性を伝えていることには変わりありませんよ。ただ、どちらの言葉を用いて伝えているかの違いです。

 まずこの例の最も基本的な文章は「彼は巨漢を投げとばす」です。
 強いて大事な部分を挙げるなら「巨漢を投げとばす」です。

 さて「ものの見事に」は「投げとばす」を修飾しているのですが、それはあくまで修飾であって強調ではありません。というより、元々存在しなくとも意味の通じる文章にわざわざ修飾語を用いるということは、その修飾語自体が強調されている語句であることを意味します。
 つまり例1も例2も、大前提として「ものの見事に」を強調している文章ということになります。

 その上での話ですが、連用修飾語は文字通り用言に連なる修飾語ですから、「ものの見事に」は「投げとばす」の直前にあるのが妥当です。
 すなわち、例1の「彼は巨漢をものの見事に投げとばす」が普通の文章ということになりますね。
 それを敢えて「彼はものの見事に巨漢を投げとばす」と目的語より先に修飾語を持ってくるのは、「ものの見事に」を何よりも強調したいからです。

 つまり例2は「見事に投げとばした!」ということを伝えたい文章であり、例1はあくまで本筋である「巨漢を投げとばした!」ということを伝えるための文章です。そういう意味で例1は「巨漢を」が強調されていると申しました。

 目的語である「巨漢を」も、連用修飾語である「見事に」も、両方用言である「投げとばす」に掛ります。

巨漢を投げとばす     ← 基本文。伝えたい物事の本筋。 
巨漢を見事に投げとばす ← 文法に従って基本文に修飾語を挿入。本筋は変わらない
見事に巨漢を投げとばす ← なくても構わないはずの修飾語が真っ先にある

 こう比較すると分かりやすいかもしれません。

m2さんの意見2013/06/24

 なるほど、あのあと気になったのでサイトで調べてみたのですが、修飾語は後の語句かかるとありましたので、私の認識が間違っていたのではなく、強調の順位の判断が間違っていたことに気が付きました。
 ただ、一般的に投げ飛ばすにかかれば、技の事をさすと思っていたので、混乱してしまいました。
 ありがとうございます。

井戸中カエルさんの意見2013/06/24

 文のリズムについて誰も触れないので、一言。

> 例1 彼は巨漢を『物の見事に』投げとばす。
 
> 例2 彼は『物の見事に』巨漢を投げとばす。

 例1の方がリズムが良くて読みやすく好感が持てます。
 比べると、例2は語呂が悪く見えます。「彼は」の後に「、」(読点)を打つと少し良くなる感じです。

 語呂が良すぎて定型誌的なニオイがするのを嫌うのなら、あえて例2を選択するのもありかな。
 ケースバイケース。正しい正しくないを言えばどっちも正しいですが、前後のつながりからどれを選ぶかも大事、と思います。

たとえば、こんな映像。
巨漢    ――<そのイメージのストップモーション>――
投げ飛ばす ――<一転して動きのあるシーン>――

 これを念頭に文章化すれば、

 巨漢である。が、ものの見事に彼は投げ飛ばすのだった。

 てなります。

ゆーき。 さんの意見2013/06/24

 感覚的な話なのですが。

 1の方は「彼は巨漢を投げ飛ばした」
 2の方は「彼は物の見事に投げ飛ばした」

 という意味が強調されている感じがしますね。
 理屈はわかりませんが、強調したいニュアンスに合わせて使い分ける感じでいいと思いますよ。
 どっちが正しい、というのはないと思います。

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