ライトノベル作法研究所
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  4. 審査基準公開日:2014/02/03

下読みによるラノベ新人賞攻略Q&Aまとめ

●審査基準について2

■質問 2014/03/28
 選評でわたしの作品が、ひとつの完成の域にある作品だと評されながらも、コンセプトや語り口全般にライトノベルの流行を逃していると烙印を押され、一次を通過できませんでした。
 そしてその対策として最新のライトノベルの研究を勧められました。それでいいのでしょうか?
●ジジさんの回答
 研究はぜひしてください。
 別に分析する必要はありません。今なにが売れているか、どのようなジャンルがうけるのか、読者が求める読みやすさとはなんなのか、手当たり次第ではなく自分が書きたいジャンルのものにあたりをつけ、受賞作とともに最近の人気作を読めば大丈夫です。
 今感というものはネタそのものである必然性はありません。
 だとすれば、作品の軸となる設定がたとえ「古い」ものだとしても、最近の傾向を踏まえてさえいればそれは「オリジナリティ」に変わる可能性が高くなるわけです。

■質問 2014/03/27
 トレンドをどこまで取り入れていいのか?
●ジジさんの回答
 賞を狙うなら、今感はかならず取り込んでください。
 ただ、この今感は「テイスト」であり、「ネタそのものである必然性はない」という点は重要です。
 やりたいものの中に今っぽいテイストを混ぜる、それだけで応募作はそれなり以上に確立します。割合はやりたいもの8:今感2くらいで充分かと思われます。
 ようするに、「読んでみて古く感じなければいい」のです。
 ですので、今感が出やすいセリフまわりには気をつけるべきですね。

■質問 2014/03/26
 ラノベでは40歳過ぎで受賞は厳しいでしょうか。
●ジジさんの回答
 それこそ近年(2014年頃)は40過ぎの受賞者が複数いますし、問題ないです。
 少なくとも私が関わっている賞においては、応募者の方の年齢で作品の評価を変えることはありません。
 むしろ年齢によるご自身の内の今感の目減り、その防止と今感を取り入れる方法について考えるべきです。

■質問 2014/04/26
 ラノベでは40歳でデビューは無理なのでしょうか。
●ラノベ編集者さんの回答
 歳をとるにつれ感覚が古くなり、体力もなくなり、モチベーションが落ちるのが一般的です。
 同じ売り上げだった場合、若手なら継続して書いてくれるけど30代や40代だと書いてくれない場合もあります。
 そういうことを経験的に知っていると新人賞でも中々担当をしたいとは言い難くなります。
 またラノベはどちらかと言うと小説よりも漫画寄りの世界です。
 ある程度年齢が高くなってしまうとデビューのハードルは高くなります。
 それでもデビューが無理というわけではありません。

■質問 2014/04/26
 40歳ぐらいだと審査の際不利だということですか。以前下読みの人に同じ質問をしたら不利になることはないと言われたのですが。
●ラノベ編集者さんの回答
 社の編集者と下読みを含む社外の人間では判断基準が異なります。
 編集者にもたまに他レーベルの下読みの依頼がくることがありますが、そういう時は単純に面白いものを通します。
 下読みの仕事はそれが全てなのでそれでいいんです。
 しかし自分の出版社の新人賞を編集者として選考する場合には、面白い、だけが判断基準ではありません。
 実際に電話をしたり会ったりしてその人の担当になれるかを見極めようとする編集者もいます。
 ここら辺は編集者として選考に臨まなければ中々わからない部分だと思います。

●ジジさんのコラム 2014/03/26
 選考方法ですが、第一に「設定(ネタ)がいい」、第二に「キャラがいい」というところをまず見ます。
 「感性=好み」や「基準=システム」ではなく、応募作のプラス面とマイナス面を洗い出しつつ「総合的におもしろいが勝るか否か」を相対評価し、上げる感じです。

●ジジさんのコラム 2014/03/26
 ラノベと一般のもっとも大きな違いは「応募段階で問われる完成度」です。当然ラノベのほうが完成度を問わないわけですが、これは応募者が全体的に若く、編集部が「伸びしろ」を重視するからですね。
 2014年現在では、昔に比べて応募者の年齢も上がってきていますが、この伸びしろ重視主義はまだ変わっていません。

■質問 2014/03/26
 よく受賞理由等でのびしろがあったので、と言う話を聞きます。この場合のびしろとは何を指すのでしょうか?
●ジジさんの回答
 有り体に言えば、文章も構成もお粗末だけれども設定(ネタ)やキャラがすごくいい! というのがいわゆる「伸びしろです。後付けで伸ばせる技術ではなく、その人間ならではの感性が買われるわけです。

■質問 2014/03/26
 「毒」はどこまで許容されるのでしょうか。
●ジジさんの回答
 応募作に限定すれば、それがメインの「設定(ネタ)」にならないのであれば味つけ程度に抑えるべきです。
 毒は読者に対し、まさに毒のようなキャラと物語へのマイナス印象を蓄積させていくからです。

●ジジさんのコラム 2014/03/26
 ラノベだけではないですが、エンタテイメントの必須事項は第一が設定(ネタ)、第二がキャラです。
 このふたつが無理なく立てられており、ドラマチックに描けているかをチェックするのが下読みのなによりの目的なので、文章よりも構成が読者に「普通」に理解できるかどうかを見ています。
 文章は、応募者の方が思うほどには加点要素にも減点要素にもなりません。

■質問 2014/03/26
 面白い作品と面白くない作品の違いや特徴は何ですか?
●ジジさんの回答
 おもしろい応募作はもれなく「設定(ネタ)がいい」です。
 独自性のあるネタこそ、おもしろさとおもしろくなさを分けるデッドラインですね。

■質問 2014/03/26
 ホモやレズといった同性愛要素(もちろん恋愛要素の範囲)については何か審査基準などがあったりしますか?
●ジジさんの回答
 味つけ程度のものなら問題になりませんが、同性愛要素が濃いほどに減点要素が増えます。。

●ジジさんのコラム 2014/03/26
 「読者がオリジナリティを感じてくれる設定(ネタ)」と「読者にとって魅力的なキャラ」にこだわってください。

■質問 2014/03/26
 グローバル化グローバル化といわれているこの世の中ですが、「海外の人にもウケる」というなことも考慮して選考なされるのでしょうか。
●ジジさんの回答
 完全に日本人のみをターゲットにして、さらに言えば中高生を中心に据えて選考しています。

●ジジさんのコラム 2014/03/26
 一次選考突破に必要なのは、「オリジナリティのある設定」と「魅力的な主要キャラクター」です。
 二次以降では「設定を主要キャラによってうまく回せているか?」、「設定とキャラを使ってカタルシスのあるドラマを作れているか?」も重要になります。
 少年向けレーベルの応募作には、文章力と中身のおもしろさが反比例しているものが多いです。文章技術を磨くよりアイディアをひねってください。

●ジジさんのコラム 2014/03/26
 一次落ちした作品を別の賞に送ることはオススメできません。
 改稿作を送るなら1回だけと決めて、あとは評価シートのアドバイスを踏まえて新作を送るようにしてください。

■質問 2014/01/12
 よく「一次選考では内容が面白いかどうかの踏み込んだ評価はしない。日本語として理解できる文章が書けていれば一次は必ず通過する」、つまり一次選考では設定やストーリーがよくないという理由では落とさないので一次で落とされたならそれは言葉遣いの問題だという話を聞きますが本当ですか?
●ジジさんの回答
 ウソです。
 一次審査を通る作品というのは、通常の場合全体の1割です(賞の規模やスタンス、年度によって変化がありますが)。
 基本9割の作品が落ちるわけですから、その審査は質問1のようなことを言う人が想像する1000倍くらいは厳しいものになります。

■質問 2014/01/12
 応募先の規定字数が10万字ですが、まだ9万字しか達していません。少しでも字数が少ないと選考から外されるでしょうか?
●ジジさんの回答
 10万字“程度/相当”なら10万字近く(9万8千くらい)まで伸ばしたほうがいいでしょう。
 10万字以内なら、極端に少なくなければ大丈夫です。ちなみに、ちょっと多い場合もたいがいは目をつぶってしまうものです

■質問 2014/01/09
 下読み殿的には面白いと思った作品でも、読者に受け入れられないなと商業的な判断をしたならば、その作品は落選になるのだろうか。
●ジジさんの回答
 その応募作がおもしろいと評価できる作品なのであれば、あとのことがどうだろうと私は上げます。
 下読みの正義は「おもしろい作品を上げること」。加えて言えば、それがどうおもしろいか、どこがダメなのかを洗い出すことです。それをして「おもしろい」が勝るなら、それはもう上げないわけにいかないですよ。
 そして商業的判断をするのは編集部の仕事です。

■質問 2014/01/09
 下読みをしていて「おっ、大賞が獲れるかはわからないけど、間違いなく受賞はするだろうな」と感じて、実際受賞してしまった作品をあった?
●ジジさんの回答
 これまでの下読み経験の中で、受賞を予感した作品が賞を取らなかったことは一度もありません。
 これは不思議なもので、賞、特に大賞を取る作品というのは、「誰が読んでも上がる」んですよ。
 この年はこの作品の年だった、などと審査員選評で目にされたことはないでしょうか? 大賞作というものは、今感やネタ性、キャラ立て、その他のすべてが「今年はコレ!」となるものなのです。
 ただ逆に、「賞は取れないだろうけど、評価シートを読んでもらうことで次はきっとパワーアップしてくれるはず」という気持ちで上げた作品が銀賞やら特別賞に入ることはけっこうあります。私だけでなく、他の下読みや審査員が同じように思い、編集者が「この人は絶対伸びる。伸びたら売れる」と推したからこそかと思います。

■質問 2014/01/09
 新人賞応募の際、たいてい応募歴のようなものを書く欄がありますが、例えば、その賞で昔(あるいは別の賞でも)高次まで残った経験(四次選考落選など)がある人は、一次はほぼパスという選考をしたことがございますか?
●ジジさんの回答
 選考に関わる人間ならすべからく、そのようなことはしないです。
 私の例で言えば、どの賞にも商業で書かれた経験のある方からの応募作が少数混ざっているものですが、普通に一次を通せなかったことが何度となくあります。理由はまさに「一次を上げられる作品ではなかったから」。
 選考とは公平且つ公正でなければなりません。その原則が破られたら、それはもう「プロアマ問わず」の文言を掲げて作品を募集する意義がなくなってしまいます。

■質問 2014/01/07
 選考で上にあがる方というのは、皆さんが下読みさんのように分析的な読み方ができる能力をお持ちなのでしょうか?
●ジジさんの回答
 選考で賞を取るだけなら、別に分析力は必要ありません。
 その年度における「今感」があり、他作品よりもプラスもしくはマイナス方向に熱量や勢いが高く、応募者の方がのめり込めているのが見て取れるような作品であることのほうが重要かと思います。
 分析力が必要になるのは、いわゆる二次や三次の常連組……毎回評価シートを受け取りながらも受賞に至らない応募者の方ですね。なぜ受賞できないのか、それをシートから分析しきれないからこそその位置に留まっているのです。 

■質問 2014/01/04
 一次落ちした作品を批評に従って改稿し、翌年は三次選考へ進みました。
 そしてそのときの批評に従って改稿し、今回も送りました。
 同じ作品を改稿して、何度も送るのは危険でしょうか?
●ジジさんの回答
 問題ありません。
 しかし、個人的には改稿作を送るより、その都度新作を書き起こすのをオススメしたいです。
 理由は、他の作品が書けない、新しい発想を送り出せない作家性の低い人間、と判断されがちだからです。
 そして改稿作は、「○年前に考えたネタ」で作られたものですよね? ネタというものは年数を経るごとに、ラノベでは非常に重要な時代性、今感がどんどん目減りしていきます。 

■質問 2014/01/04
 応募作の選考方法について教えてください。
●ジジさんの回答
 基本的に選考は、【他作品との相対評価】で行われます。
 物語や文章の完成度よりは「設定とキャラ」が重視されます。

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