美少女とは、男性を惹きつける性的魅力に優れた女の子でもありますよね。よって、下ネタを使って、彼女の魅力をアピールするという手段も有効な方法です。
2010年代に入ったあたりから、ライトノベルの主人公によるヒロインに対するセクハラが過激化していますが、下ネタは人によって好き嫌いの差が大きく、特に女性には嫌われやすい表現です。
ですので、あくまでカラっとした表現や、バカっぽさ、ユーモア性の強い物にするように工夫した方が良いでしょう。ユーモア性を強くすることで、下品なイメージを薄めることができます。
例を上げてみます。
その躊躇と恥じらいが入り混じった様子で、そわそわと内股をこすりあわせる仕草――そのいじましい姿自体が、むしろ見る者の鼻息を荒くしてしまう。
見られたくなくて身体を揺すっているに、その動作が最後の防衛戦である手ぬぐいをひらひらさせてしまって、大事なところが見え隠れしてしまうのだ。それに彼女は気づいていない……!
フルメタル・パニック『音程は哀しく、射程は遠く』より引用
賀東招二の『フルメタル・パニック』からの引用です。
ヒロインと一緒に温泉に行くというお約束の展開でのワンシーンです。
『フルメタル・パニック』は、1998年にシリーズがスタートした古いタイトルでもあるためか、下ネタといっても、かなり控えめで、直接的な表現は避けています。
それでも本作は女性ファンが多かったためか、この描写を入れた回は苦情もそれなりに来たようです。
10代の少年向けだと、おそらくこれくらいの表現が健全さを保つためのボーダーであるように感じられます。
2010年5月にシリーズがスタートした上栖綴人の『はぐれ勇者の鬼畜美学』になると、もっと過激で直接的な表現やシーンが多くなります。版元であるHJ文庫が、ジュブナイルポルノ出身の作家を多く抱えているためか、文庫のカラーはエロ萌え、年齢層はやや高めあたりをターゲットにしている印象です。
全体的に衣服は小さく――特に胸がキツかった。そのため、よく胸の辺りのボタンを飛ばしたり、時には割ったりもしてしまって。ついには家にあった代用できるようなボタンを、すべて使い果たしていた。そしてこのパジャマの上着に、ボタンはもう残っていない。
『はぐれ勇者の鬼畜美学』2巻より引用
引用したのは、主人公と同居しているヒロイン、ミュウが主人公の行方不明の妹の服を借りたものの胸のサイズが合わなくて、ことごとくボタンを壊しているというエピソードです。
これによって彼女の胸がいかに大きいか間接的に表現し、その格好を読者に想像させることで、物語に引き込もうとしています。かなり巧みな技であると言えます。
本作は、ヒロインに対する主人公のセクハラが過激すぎて、ここで紹介するのがはばかれるようなエピソードが満載です。女性ファンは完全に切り捨てている潔さがあります。
下ネタはうまく使えば、男性読者の心を撃沈し、魅惑のワンダーランドに引きずり込むことができます。破壊力抜群です。萌えです。
しかし、下品な印象も与えるので、直接的な表現は避けたり、バカっぽさを押し出したり、ユーモア性の強い物にするように工夫した方が良いでしょう。
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