ライトノベル作法研究所
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  4. 時点移動に注意公開日:2013/08/26

時点移動に注意

 マンガやアニメ、映画などではよく回想シーンが入ります。
 現在から過去へ戻り、現在のシーンの補足や説明をするという技法です。
 よく見かけませんか?
 『あれが俺とヤツの最初の出会いだった』なんていう風に因縁の始まりを説明したり、死んでしまった恋人と海辺で戯れている場面にワープしたり……

 コレが短い文を使って登場人物の頭の中で行われるのではなく、時間軸そのものを過去へと移動させると『時点移動』になります。
 実は、これには2つの大きなデメリットがあります。

1・物語の流れが一続きではなくなり、内容を理解しにくくなってしまうこと。
2・回想シーンは現在の補足であり、回想中は本編の進行がストップした状態になること。

 回想シーンは多用したり、長くやりすぎると、本編の進行が阻害され、さっさと話を先に進めろよ! というイライラ感を生みます。
 本編をおもしろくするための、あくまで補足的なストーリーだということを忘れてはいけません。

 また、小説は文章だけしか読者に物語を伝える手段がありません。
 文章だけで、あなたの頭の中で考えたストーリーを他人に伝えるというのは、ものすごく難しいことなのです。
 そのため、少しでも内容が読者に良く伝わるように、理解しやすい構成にすることが大切です。

 例えば、『現在⇒10年前⇒現在⇒15年前⇒現在⇒5年前』のように、話の時系列がバラバラ過ぎると、一体今がいつなのか? 話が進行しているのか? 意味不明になりやすくなります。

 時間は現在から未来へと流れていくもので、その逆はありえません。
 それを過去へ飛ぶというのは、本来、不自然なことなのです。
 不自然なことを混乱なく読者に受け入れてもらうためには、注意して行う必要があります。

 マンガのように『絵』という視覚に訴える強烈な媒介があれば、時点移動を行っても読者はストーリーを容易に理解することができます。
 でも、小説の場合だと読者の混乱を招く、マイナス要因になりかねないのです。

 物語は原則的に出来事の起きた順番通りに並べて作ってください。

 万全を期するなら、エピソードの年表を作成して、時系列が入り乱れてないかチェックするという手がオススメです。
 どうしても、主人公の過去のトラウマなどを描くために時点移動を行わなければならないなら、時点移動の欠点を良く理解した上で、緻密に構成を練って行ってください。
 安易な使用は危険です。

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