ゴチャゴチャした長い文章ほど、わかりにくい悪文はありません。
例を上げてみましょう。
●例1
賢治は悲鳴を上げながら、恐怖のあまり錯乱に囚われて、無我夢中で、拳銃の引き金に絡んだ指を屈伸させた。
この文章は、賢治という主語に対して、『悲鳴を上げる』『錯乱に囚われる』『指を屈伸させる』という3つの述語が対応しています。
この様な文は、一目で内容を理解するのが難しいです。
主語に対して、述語は1つ、多くても2つ以内にすると良いでしょう。
この例文をわかりやすく直してみます。
●改善例
賢治は悲鳴を上げ、恐怖のあまり錯乱に囚われた。
彼は無我夢中で、拳銃の引き金に絡んだ指を屈伸させた。
このように、長い文章は短い2つの文章に分けてみましょう。
文章が短くなれば、内容がぐっと理解しやすくなります。
ちょっとこの文章は長いかなと思ったら、迷わず2つに分解できないか考えてみてください。
文章をわかりやすくするための最高のコツは、とにかく文章を短くすることです!
もう一つ、例を上げてみましょう。
言語明瞭、意味不明瞭の代表選手、日本国憲法前文の一部です。
●例2
われらは、いづれの国家も、自国のことのみに専念して他国を無視してはならないのであって、政治道徳の法則は、普遍的なものであり、この法則に従ふことは、自国の主権を維持し、他国との対等関係に立たとうする各国の責務であると信じる。
清々しいほど、わかりづらい悪文です。何を言いたいのかサッパリ分かりません。
読者に対する配慮がゼロ、いや幻惑しようとさえしています。
『われらは』と『いずれの国家も』と初めに主語が2つ現れ、意味がわからずに首をひねっている最中に、『この法則に』と、さらに主語が現れます。
一体何が文章の主役なのでしょうか?
また『政治道徳の法則は、普遍的なものであり』という余計な装飾が付いており、これがこの文章を意味不明にするために効果的に作用しています。
トドメは『であると信じる』という、典型的責任逃れの曖昧表現。
これなら読む人間の都合の良いように、どうとでも解釈できますね。
僭越ですが、この超弩級の悪文をわかりやすく直してみましょう。
●改善例
我らは、自国のことのみに専念して他国を無視してはならない。
この法則に従うことは、自国の主権を維持し、他国との対等関係に立たとうとする各国の責務である。
余計な装飾を削り、文章を2つに分けてみました。
これで、グッと読みやすくなりましたよね。
携帯版サイト・QRコード
当サイトはおもしろいライトノベルの書き方をみんなで考え、研究する場です。
相談、質問をされたい方は、創作相談用掲示板よりお願いします。