ライトノベル作法研究所
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  4. 流行のヒット作を追いかけ続ける!公開日:2014/01/20

流行のヒット作を追いかけ続ける!

 小説を書くためには、小説を読むことが基本的な訓練になります。
 この際、現在、売れているラノベを追いかけて読み続けるのがベストです。流行のヒット作をドンドン読みましょう。
 ラノベは10代の少年をメインターゲットにしたエンターテイメントです。
 しかし、困ったことに、今、あなたが25歳であったとしたら、中高生の気持ち、何を楽しいと感じるか? 何を求めているのか? を想像することは、難しくなっているでしょう。
 現代における社会の変化は凄まじく、3年一昔とさえ言われます。
 3年も経つと、人々はまったく異なる技術や常識の中で生きるようになっており、その中で育ってきた少年少女は、我々とは、微妙に異なる価値観や感性を身につけているのです。

 このため、作者の感性や嗜好というのは、新しいエンターテイメントに触れて、常にアップデートし続けていかないと、年々、古くなっていきます。

 実際にラノベ界の流行の移り変わりというのは激しく、10年以上シリーズが続くというのは稀です。これは単に作者がネタ切れを起こしたというだけでなく、そのシリーズが時代性に合わなくなったためという側面が確実にあります。
 2000年代の後半には、1990年代の大ヒット作であった『スレイヤーズ!』(1990年1月刊行)が、古典文学と揶揄されるほど、古臭くなってしまいました。また、1998年に刊行された大ヒット『フルメタル・パニック!』は、ソビエト連邦が崩壊していないIFの世界を舞台にしていましたが、2000年代になるとソ連を知らない読者が増えて困ったことになったと、作者の賀東招二さんは語っています。1990年代後半においては、ソ連が崩壊していない世界に魅力があった訳ですね。

 また、2002年に刊行されてヒットした『NHKにようこそ!』は、ひきこもりの青年を主人公にしていました。この作品がヒットした理由は、ちょうどひきこもりが社会問題化しており、多くの人の関心を集めるホットな話題だったからです。2014年1月現在においては、ひきこもりは世間の流行から外れたネタですので、ひきこもりを主役にしても、大勢の人の耳目を集めることはできないでしょう。
 小説のネタには、鮮度や賞味期限があり、その時の流行を取り入れる必要があるのです。
 『スレイヤーズ!』も、ドラゴンクエストやTRPGなどのゲームによるファンタジー熱の高まりがヒットの背景にあります。

 しかし、新しいヒット作を読んで、現在の読者の嗜好を知る、流行を追う作業というのは、年を取れば取るほど、難しくなっていきます。10代の頃はラクラク、20代半ばくらいまでは余裕ですが、それ以降、30代近くなってくると、だんだん、流行のヒット作についていけなくなります。
「こんな作品がヒットするなんて、けしからん! これはラノベが劣化し衰退している証拠じゃ。だから、少年の凶悪犯罪が蔓延するんじゃ!」
 などという、老人の妄言を吐くようになっていってしまうのです。

 人間の価値観は、21歳ぐらいまでに形成され、それ以降は何か大きなことが起こらないと、変わらないと言われています。
 このため、年をとれば取るほど、現在の中高生との間に価値観のズレが生じ、読者にとっておもしろくない作品を書いてしまうリスクが高まるのです。
 『流行を追うというのはミーハーであり、伝統を大切にするべきだ』という考えは、単なる怠惰の言い訳です。常に新しいエンターテイメントをインプットして、価値観や感性を若く保たないと、必ず読者にそっぽを向かれるようになります。

 また、伝統的考えにおいても、流行を追うことは推奨されています。
 松尾芭蕉が俳句の奥義として『不易流行』という理念を残しています。。
 新しい風を求めて変化を重ねていく流行性こそが物事の本質、不変の伝統であるという考え方です。良い作品を作ろうとしたら、流行も追うし、伝統的な考えも取り入れるし、その2つは、別に矛盾してないものなんだよ、と芭蕉は語ったとされています。
 例え、あまりおもしろいと感じなかったとしても、勉強のために流行のヒット作をドンドン読みましょう。

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